祝日の仕組みやそれぞれの意味、ハッピーマンデーになる日とならない日の違いは？

元日や成人の日、海の日、敬老の日、スポーツの日。

日本には、国民の祝日に関する法律（祝日法）で定められた祝日があります。

それぞれの祝日には意味や由来があり、古くから伝わってきた行事や慣習が行われてきました。

しかしハッピーマンデー制度の導入により、これまで固定されていた祝日の日にちが一部移動されたことで毎年日付が異なり、戸惑う人も多いのではないでしょうか。

今回は祝日の仕組みを説明しながらそれぞれの意味や由来、ハッピーマンデーになる祝日とならない祝日の違いを解説します。

年中行事・イベントについては、下記記事でまとめていますので併せてご参考ください。

祝日法とは

祝日法は、正式に「国民の祝日に関する法律」と呼ばれ、1948年（昭和23年）7月20日に公布され即日施行された日本の法律です。

祝日（国民の祝日）

祝日は、国民の祝日に関する法律（祝日法）で定められており、その第1条ではその意義を以下のように規定しています。

自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。

出典：「国民の祝日」について（内閣府）

現在の祝日は1年間で16日あり、1月1日の「元日」、2月11日の「建国記念の日」のように日にちが固定されているものもあれば、「成人の日」や「海の日」のように「○月の第○月曜日」と毎年連休になるように定められているものもあります。

祝日の種類

国民の祝日にはどんな種類があるのか、祝日法第2条では以下の通り規定されています。

元日：1月1日
年のはじめを祝う。

成人の日：1月の第2月曜日（1月13日）
おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。

建国記念の日：2月11日
建国をしのび、国を愛する心を養う。

天皇誕生日：2月23日
天皇の誕生日を祝う。

春分の日：3月20日または21日（3月20日）
自然をたたえ、生物をいつくしむ。

昭和の日：4月29日
激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。

憲法記念日：5月3日
日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。

みどりの日：5月4日
自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。

こどもの日：5月5日
こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。

海の日：7月の第3月曜日（7月21日）
海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。

山の日：8月11日
山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。

敬老の日：9月の第3月曜日（9月15日）
多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。

秋分の日：9月22日または23日（9月23日）
祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。

スポーツの日：10月の第2月曜日（10月13日）
スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う。

文化の日：11月3日
自由と平和を愛し、文化をすすめる。

勤労感謝の日：11月23日
勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。

※カッコ内は、2025年（令和7年）の祝日

日本は、世界でもっとも祝日の多い国として知られています。

祝日とは、昨今では土曜日と日曜日とは別に追加された単なる休日として認識されていますが、もともとは何かを祝う日のことです。

祝日の本当の意味を知ると、単なる休日にも特別な価値が生まれるでしょう。

振替休日と国民の休日

国民の祝日以外の休日として、祝日法の第3条では以下のように規定されています。

　(1)「国民の祝日」は、休日とする。
　(2)「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
　(3)その前日及び翌日が「国民の祝日」である日（「国民の祝日」でない日に限る。）は、休日とする。

出典：「国民の祝日」について（内閣府）

振替休日

振替休日は、祝日法第3条第2項で定められた休日の通称です。

国民の祝日が日曜日にあたる時は、その翌日を休日とするという振り替え休日制が取り入れられました。

国民の休日

国民の休日は、祝日法第3条第3項で定められた休日の通称です。

祝日と祝日に挟まれた平日を全て休日にする仕組みで、国民の休日として取り入れられました。

2007年以前のゴールデンウィークでは5月3日の憲法記念日と5月5日のこどもの日に挟まれる5月4日が平日で、飛び石連休となることから暫定休日を設けた経緯があります。

2009年にも敬老の日が9月21日（月）で秋分の日が9月23日（水）となり、両日に挟まれた9月22日（火）を国民の休日として秋の大型連休としてシルバーウィークと名づけられたのは記憶に新しいでしょう。

祝日と休日の違い

祝日とは、政府が祝日法として定めた日本国民の祝祭日です。

休日とは、業務・営業・授業などを休む日のことです。

祝日が1年の行事としてあらかじめ決められているのに対し、休日は企業や個人が営業や記念日などを理由に休む日を自由に決めることができます。

ハッピーマンデーとは

ハッピーマンデーは、2000年1月10日より導入された「ハッピーマンデー制度」のことです。

ハッピーマンデー制度の概要

ハッピーマンデー制度とは、国民の祝日にあたる一部を従来の固定日から特定の月曜日に移動させ、週末の公休日となる土曜日・日曜日と合わせて3連休にした制度です。

1998年に国民の休日に関する法律（祝日法）の一部が改正され、成人の日や敬老の日などの日にちが月曜日に移されました。

ハッピーマンデーが適用された祝日については後述します。

ハッピーマンデー制度の意義・目的

ハッピーマンデー制度の意義は、週末と祝日を合わせて連休を取得しやすくすることで国民が余暇を有意義に過ごしてもらい、豊かでゆとりある生活を実現することを趣旨としています。

また国民の旅行や外出などによる消費活動を促して日本国内の景気の底上げを図るための政策の一環も含み、旅行・観光業やレジャー業などを活性化させて経済効果を期待する目的もあります。

現に敬老の日が9月の第3月曜日に移ったことで、シルバーウィークと呼ばれる長い秋休みが生まれたことは記憶に新しいでしょう。

シルバーウィークには長期の旅行に出かける人も多く、大きな経済効果がありました。

しかし一方では月曜日を休みにしたハッピーマンデーは、もともとあった記念日の意義を損ねている、学校などで月曜日のカリキュラムが消化しきれなくなる、週末や祝日は基本的に休診となる医療機関が火曜日の平日まで受診できないなどといった問題点や懸念も指摘されています。

ハッピーマンデーになる祝日と理由

ハッピーマンデー制度により月曜日に移動された祝日は、以下の通りです。

祝日の名称	当初の日付	→ 移動された日付
成人の日	1月15日	→ 1月の第2月曜日
海の日	7月20日	→ 7月の第3月曜日
敬老の日	9月15日	→ 9月の第3月曜日
スポーツの日	10月10日	→ 10月の第2月曜日

ハッピーマンデーの適用で日付移動されたこの4日間を見ると、とくに重大な意味をもっている日とは考えにくいことがわかります。

あえてその日でなくとも、祝日として成立するように思えます。

語弊があるかもしれませんが、簡潔にいうと移動しやすい祝日でありその日であることに特段の強い意味をもたない祝日が対象となったのでしょう。

成人の日について

2000年（平成12年）年1月10日は成人の日で、国民の祝日一部を月曜日に移して3連休とするハッピーマンデー制度が初めて適用されました。

従来は1月15日に固定されていた成人の日を1月の第2月曜日にし、土曜日から3連休にすることで新たに祝日を設けなくても旅行などの需要を生み出せることが理由です。

ちなみに1月15日は、奈良時代から行われていた元服の儀が由来です。

成人の日については、下記記事を併せてお読みください。

海の日について

海の日はもともと7月20日でしたが、ハッピーマンデー制度の対象として適用されてからは7月の第3月曜日へ移り毎年日にちが変わります。

海の日については、下記記事を併せてお読みください。

敬老の日について

敬老の日も、昔から老人の日として定められた9月15日を9月の第3月曜日に日付移動されました。

敬老の日については、下記記事を併せてお読みください。

スポーツの日について

スポーツの日（旧：体育の日）は10月10日から10月第2月曜日に変更され、2003年より海の日と敬老の日もハッピーマンデー制度の対象となり月曜日に移動されています。

スポーツの日については、下記記事を併せてお読みください。

ハッピーマンデーのメリット・デメリット

ハッピーマンデー制度の導入により、土曜日・日曜日・月曜日の3連休はゆとりのある生活や余暇を充実にできるほか、少し遠出の旅行もしやすくなります。

例えば成人の日は、県外に出ている人が帰省するために連休にしたほうがよいというメリットもあります。

敬老の日も遠方にいる祖父母に会いにいったり、スポーツの日は運動会シーズンでもあり身体を休めたりすることも可能です。

しかし、かつて成人の日だった1月15日は小正月（こしょうがつ）と呼ばれ、奈良時代以降は元服といって大人の仲間入りをする儀式が行われていました。

またスポーツの日に固定されていた10月10日は、1964年に開催された東京五輪の開会式にちなんだ祝日であるため、従来から定められていた祝日の由来や本来の意味が薄れてしまうとの批判があります。

ハッピーマンデーにならない祝日と理由

前述はハッピーマンデー制度により月曜日に移動された祝日ですが、ハッピーマンデーにならない祝日は以下の通りです。

祝日の名称	日付	旧名・別称
元日	1月1日	正月、四方拝
建国記念日	2月11日	紀元節
天皇誕生日	2月23日	天長節（令和）
春分の日	3月20日または21日	春季皇霊祭
昭和の日	4月29日	天長節（昭和）
憲法記念日	5月3日
みどりの日	5月4日
こどもの日	5月5日	端午の節句
山の日	8月11日
秋分の日	9月22日または23日	秋季皇霊祭
文化の日	11月3日	天長節（明治）、明治節
勤労感謝の日	11月23日	新嘗祭

ハッピーマンデーになる祝日とならない祝日の違い

繰り返しになりますが、ハッピーマンデーとは日にちを固定せずに第○週月曜日が休みとなる祝日のことです。

土曜日・日曜日・月曜日（祝日）の3連休が増えたため、昔に比べてかなり連休が増えました。

ハッピーマンデーにより3連休になる祝日とならない祝日がありますが、この違いは「祝日」と「祭日」の違いでしょう。

もともと「祝日」だった日はハッピーマンデー制度の対象となりましたが、もともと「祭日」であった日はそのままの祝日とされました。

祭日というのは、戦前まで皇室を中心としたお祭りが催されていた日です。

ハッピーマンデー制度ができる以前は、「祭日」という言葉が使われていたのを見たり聞いたりしたことがある人もいるのではないでしょうか。

以前のカレンダーでも予定表を作成するにしても「祝祭日」と入力されていた気がしませんか。

次項ではこの祭日にあたるとされる日の意味を一部だけ簡単に説明しますので、ハッピーマンデーにならない祝日の理由がわかります。

元日

元日はもう説明する間でもなく、1年の始まりを表している祝日です。

もし初日の出を拝む元旦が1月1日ではなく毎年日にちが変わるとなると、元旦の祝日である意味がなくなってしまいます。

元日（元旦）については、下記記事も併せてご参考ください。

憲法記念日・みどりの日・こどもの日

ハッピーマンデー制度の目的は、土曜日と日曜日の公休日に月曜日を合わせて3連休を作ることです。

憲法記念日は祭日ですが、みどりの日とこどもの日を含む3つの祝日が続くことで長い連休となるゴールデンウィークになります。

つまり、すでに形成されている祝日をわざわざ移動させる必要がないためです。

憲法記念日・みどりの日・こどもの日については、下記記事も併せてご参考ください。

山の日について

山の日は、もともとは祝日のない6月・海の日の翌日・お盆前にするといったいくつかの案がありました。

さまざまな考案を経て、定められた8月11日は山にまつわる意味もあるようです。

都道府県によって独自に設定された山の日が8や11を用いていたこと、漢字の「八」の字が山の形に木が立ち並ぶイメージから「11」というふうに山を連想させる数字を選んだともいわれています。

山の日については、下記記事をご参考ください。

勤労感謝の日について

勤労感謝の日は、もともとは五穀豊穣を祝う「新嘗祭（にいなめさい）」が起源です。

新嘗祭は農作物の恵みに感謝する宮中行事であり日本書紀にも記載されているほど古くから伝わる行事で、収穫した農作物を神様にお供えしたり天皇に召し上がってもらったりすることが風習となっています。

そんな新嘗祭が勤労感謝の日になったのは、戦後に天皇の宮中行事と国民行事を切り離すというGHQ（連合国軍最高司令官総司令部）の考えにより、1948年（昭和23年）に「新嘗祭の日」を廃止し国民の祝日である「勤労感謝の日」へと変わりました。

勤労感謝の日については、下記記事をご参考ください。

ハッピーマンデーにならない祝日の定義

結論としてハッピーマンデーにならない祝日は、皇室が関係している祭日です。

文化の日である11月3日は明治天皇の誕生日で、日本国憲法を発布した日でもあります。

文化の日については、下記記事をご参考ください。

また春分の日や秋分の日は春期皇霊祭・終期皇霊祭という天皇家のご先祖を祀る日で、建国記念の日は初代天皇とされる神武天皇が即位した記念日です。

春分の日や秋分の日、建国記念日、天皇誕生日については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

2025年の国民の祝日・休日

2025年における国民の祝日と休日は、以下の通りです。

元日	1月1日
成人の日	1月13日
建国記念の日	2月11日
天皇誕生日	2月23日
（休日）	2月24日
春分の日	3月20日
昭和の日	4月29日
憲法記念日	5月3日
みどりの日	5月4日
こどもの日	5月5日
（休日）	5月6日
海の日	7月21日
山の日	8月11日
敬老の日	9月15日
秋分の日	9月23日
スポーツの日	10月13日
文化の日	11月3日
勤労感謝の日	11月23日
（休日）	11月24日

2月24日・5月6日・11月24日は、祝日法第3条第2項に基づく休日、いわゆる振替休日となります。

2026年の国民の祝日・休日

2026年における国民の祝日と休日は、以下の通りです。

元日	1月1日
成人の日	1月12日
建国記念の日	2月11日
天皇誕生日	2月23日
春分の日	3月20日
昭和の日	4月29日
憲法記念日	5月3日
みどりの日	5月4日
こどもの日	5月5日
（休日）	5月6日
海の日	7月20日
山の日	8月11日
敬老の日	9月21日
（休日）	9月22日
秋分の日	9月23日
スポーツの日	10月12日
文化の日	11月3日
勤労感謝の日	11月23日

5月6日は祝日法第3条第2項に基づく休日、いわゆる振替休日となります。

9月22日は祝日法第3条第3項に基づき敬老の日と秋分の日という祝日に挟まれた国民の休日となり、土曜日・日曜日と合わせると5連休のシルバーウィークとなります。

国民の祝日、ハッピーマンデーに関するよくある質問

国民の祝日やハッピーマンデー関するよくある質問や疑問をQ&A形式でまとめました。

3月3日はなぜ祝日ではないのか？

5月5日が端午の節句という男の子の日で祝日なのに対して、上巳の節句という女の子の日である3月3日はなぜ祝日ではないのかという疑問がある人も多いでしょう。

実は、江戸時代には五節句の1つとして端午の節句と同じく上巳の節句も祝日とされていたといわれています。

しかし明治時代に旧暦から新暦に変わった際に、五節句に設けられた祝日が廃止されてしまいました。

現在の5月5日が祝日になっている理由は、端午の節句ではなくこどもの日として定められた国民の祝日であるためです。

こどもの日は男女関係なく全ての子どもに対する祝日であり、詳しくは下記記事をご参考ください。

ちなみに五節句とは、年に5回ある季節の折り目として神祭が行われる日です。

人日（じんじつ）：1月7日
上巳（じょうし）：3月3日
端午（たんご）：5月5日
七夕（しちせき）：7月7日
重陽（ちょうよう）：9月9日

五節句については、下記記事もご参考ください。

6月に祝日がないのはなぜ？

6月は、特別な皇室行事や記念行事がないために祝日がありません。

お盆はなぜ祝日ではないのか？

お盆休みという言葉があるように、8月13日から16日までは企業によって休みとするところもあるでしょう。

また学校はちょうど夏休み期間中ですが、ほぼ休みのない部活動やサークルなどでは唯一お盆期間と正月だけは休みになっていたと思います。

実はお盆休みは祝日法として定められていないため、祝日ではありません。

お盆の時期は新盆で取り扱う地域と旧盆を採用する地域で異なることもあり、地域によっては不公平が生じる恐れがあるため、正式に制定されていないという理由もあるようです。

店舗営業では8月13日から16日までを休業としていることが多いですが、企業は7月から9月にかけて夏休みを決めるという形をとっていることが一般的に見られます。

お盆については、下記記事をご参考ください。

なぜ祭日がなくなったのか？

祭日は、かつて宗教儀礼を行っていた日です。

もともと皇室祭祀令という皇室の祭祀（宮中祭祀）に関する法令があったため、祭日として定められていました。

しかし戦後の日本を支配していたGHQ（連合国軍最高司令官総司令部）の考えに基づき1947年に廃止されたため、現在では祭日という表現の日はなくなっています。

意義あるハッピーマンデー制度まとめ

従来から定められた祝日には、その日だからこそ制定された意味や由来があります。

それを軽視しているようなハッピーマンデー制度には、あまりよい印象をもてない人も多いでしょう。

しかしハッピーマンデーができてから早くも20年以上が経っており、今ではもう違和感がなくなっているのも事実です。

祝日の中でもハッピーマンデーになる祝日とならない祝日には　それぞれの意味が関係していたことを思うと日本の歴史や時代の流れには奥深さを感じます。

ハッピーマンデーには賛否両論ありますが、国民が余暇を楽しく有意義に過ごしてもらうことを趣旨としていることを考えると、3連休の恩恵を素直に受け止め充実した休みにしたいものですね。

以下の記事では、年中行事と国民の祝日をカレンダー形式に一覧紹介しています。

時期や季節に応じて、古くから風習として引き継がれてきた伝統文化を解説していますのでご参考ください。