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彼岸花やコスモスなど…紅葉狩りのついでに寄りたい秋を彩る花・植物の観光スポット

2023年8月18日

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秋の花、ヒガンバナ(彼岸花)

秋の観光といえば、遠くに見える山々が真っ赤に様変わりする紅葉。

紅葉シーズンになると、仏閣や渓谷などの名所に意識が集中し、意外にも秋に咲く色とりどりの花に目が向かないことも多いでしょう。

今回は、秋の行楽として定番の紅葉や銀杏が注目される中、その陰で鮮やかな彩りを見せてくれる秋の花・植物、それぞれの生態や特徴を解説します。

また、その花や植物を実際に観ることのできるスポットも紹介しますので、遠出や観光ついでの寄り道としてご参考になれば幸いです。

ヒガンバナ(9月下旬~10月上旬)

ヒガンバナ(彼岸花)

ヒガンバナ(彼岸花)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、お盆が過ぎたお彼岸の時期に咲くことから名づけられたとされています。

諸説ありますが、ヒガンバナを食べた後はその毒性から「彼岸(死)しかない」といわれることから由来しているともされ、不吉な花といわれることがあります。

また、サンスクリット語で「天界に咲く花」を意味して「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」という別名もあり、ラテン語で「リコリス」という名前でも流通しています。

ヒガンバナは、1本の真っ直ぐな茎の先端に直径約10センチ前後の花を咲かせます。

他の花に比べて独特で、幅は5ミリ程度で長さは約4センチの細い花びらが、放射状に広がり鮮やかに咲く様子から、まるで現世で咲く花とは一線を画すほど荘厳な見た目です。

生態も他の植物とは違い、ヒガンバナは球根から花が出てきて、その花が枯れた後に葉が成長していきます。

葉がない状態で花が咲くため、花と葉を同時に見ることができないことから「葉見ず花見ず」といわれ、昔の人は恐れをなしたといわれています。

花びらの色は品種改良が進み、種類によって白や黄、クリーム、ピンクなどがありますが、日本で一般的に多く見られるのは赤です。

道端や人里に近い川岸、田んぼなどのあぜ道などに群生し、夏の終わりから秋にかけて咲く風景が印象的でしょう。

巾着田曼珠沙華公園

巾着田は、高麗本郷を流れる高麗川に囲まれた場所にあり、巾着のような形に見えることから名づけられ、約22ヘクタールの平地がその昔全てが水田だったとされています。

そのうち約3.4ヘクタールある群生地に、約500万本もの彼岸花が咲き誇り、雑木林の中を赤い絨毯で敷き詰められたような空間は、まるで天上にいるような世界観です。

巾着田曼珠沙華公園では、「彼岸花」ではなく「曼珠沙華」と表現しており、大規模な曼珠沙華群生地として珍しい景観ですので、一度は観にいかれるとよいでしょう。

タイミングが合えば、同じ敷地内にコスモスが咲いていますので、ついでに寄っていくこともおすすめです。

巾着田曼珠沙華公園
住所:埼玉県日高市大字高麗本郷125-2
交通アクセス:西武池袋線「高麗駅」より徒歩約15分
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バラ(10月中旬~11月上旬)

バラ(薔薇)

花の女王とも呼ばれるバラ(薔薇)は、ヨーロッパや北アフリカ、中東、中国など自生地はすべて北半球に限られており、春バラは5月上旬から5月下旬ごろ、秋バラは10月中旬から11月上旬ごろにかけて花咲きます。

葉や茎に棘ををもつ種類が多く、花びらは基本的に5枚の一重咲きですが、園芸種では大部分が八重咲きです。

バラは、気品のある美しい姿とよい香りをもち、華やかな花姿や種類の多さから、アレンジメントやブーケなどにも多く使われています。

赤や白、黄、オレンジ、ピンク、アプリコット色、クリーム色、ブルー、茶など花色が豊富で、最近は一口にいって何色といえない複色の品種も増えています。

生田緑地ばら苑

生田緑地ばら苑のバラの数々

生田緑地ばら苑は、バラの咲く春と秋の年2回に期間限定で一般公開しています。

多摩丘陵の雑木林を抜けると見えてくる苑内は、約1.2ヘクタールある広さで、皇室にちなんだバラを集めた「ロイヤルコーナー」、小道を歩いて鑑賞を楽しめる「中央の丘」、50周年記念に新設された「イングリッシュローズコーナー」、バラのトンネルが見事な「パーゴラ通り」など、春には約800種・3300株、秋は約625種2900株のバラが咲き誇ります。

生田緑地ばら苑のフローラ像

花の女神フローラ像は、フラワーショー15周年記念に朝日新聞社より贈られ、母子像は多摩美術大学教授、早川巍一郎氏によって制作されました。

多摩丘陵の緑のパノラマに囲まれており、まるで秘密の花園を彷彿とさせる華やかな世界が広がります。

生田緑地ばら苑
住所:神奈川県川崎市多摩区長尾2-8-1
交通アクセス:
JR南武線「宿河原」駅より徒歩23分
小田急線「向ヶ丘遊園」駅より徒歩20分
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京成バラ園

京成バラ園の風景

京成バラ園は、京成グループが運営する千葉県一のバラ園で、国内最大級のバラ園でもあり、約1600種10000株ものバラを楽しめます。

オープン以来、美しいバラ園作りに磨きをかけ、あらゆる演出で多くの人を魅了している傍ら、世界で開催されている薔薇コンクールでも輝かしい成績を残すなど、バラ文化の普及に尽力しています。

京成バラ園のバラ

また、「恋人の聖地」に選定されたことで、写真映えするスポットとして注目されているほか、房総の魅力500選にも選出されています。

京成バラ園
住所:千葉県八千代市大和田新田755
交通アクセス:
JR総武線「西船橋」駅より東葉高速鉄道に乗換え「八千代緑が丘駅」下車徒歩15分
地下鉄東西線で「東葉勝田台」駅行き「八千代緑が丘駅」下車徒歩15分
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ダリア(6月中旬~11月)

ダリア(天竺牡丹)

ダリアはキク科の多年草で、地下部が塊根になっている球根植物でもあり、夏から秋にかけて開花します。

原産地はメキシコやグアテマラで、日本には江戸時代末期にオランダから持ち込まれたとされており、花姿がボタンに似ていることから「天竺牡丹」(テンジクボタン)という和名がつけられています。

ダリアといえば、幅広の舌状の花弁が幾重にも重なる八重咲きが印象的ですが、豪華で力強く咲く大輪種から優雅な中輪種、可憐な小輪種、シンプルな一重咲きや変化咲きなど、品種が3万種を超えるといわれるバリエーションの多さです。

白や赤、オレンジ、ピンク、黄、紫、複色など色数も豊富で、花色だけでなく花型や大きさ、草丈、葉型などに無限の変化が見られるのが、ダリアの最大の魅力です。

町田ダリア園

町田ダリア園は、障がい者の働く場として町田市が設置した施設です。

約1万5000平方メートルある園内に、約500品種・約4000株のダリアを栽培している西関東で最大級のダリア園で、6月から11月までの期間限定で開園しています。

ダリア独特の花色である二色咲き、絞り咲き、ブレンド(ぼかし)など美しさを楽しむ品種や、花径30センチを超える巨大輪から3センチ程度のポンポン咲き品種まで出揃います。

町田ダリア園
住所:東京都町田市山崎町1213-1
交通アクセス:
JR横浜線・小田急線「町田」駅の下にある町田バスセンター5番乗り場より、山崎団地行きの神奈中バスで 「北一号」下車。
JR横浜線・小田急線「町田」駅北口にあるPOPビル前21番乗り場より、本町田経由野津田車庫行きまたは鶴川駅行きの神奈中バスで「今井谷戸」下車
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コスモス(9月下旬~11月)

コスモス(秋桜)

コスモス(秋桜)は、キク科コスモス属の一年草で、日本では秋の風物詩として知られています。

メキシコの標高1600メートル以上の地域に自生し、18世紀末にアメリカ大陸からヨーロッパに持ち込まれ、幕末時期に日本に渡来したとされています。

コスモスの花名は、美しいなどの意味をもつギリシャ語の「kosmos」からきており、和名の「秋桜」は、花が秋に咲くことと花びらが桜を連想させることから名づけられたのが由来です。

花びらは通常8枚で、ピンクや白に加えて濃赤、黄やオレンジ色、複色が登場していき、咲き方も一重咲きだけでなく、八重咲きや花びらが筒状になったストロー咲き、花びらの縁が色づいた品種など豊富です。

国営昭和記念公園

国営昭和記念公園の花の丘

国営昭和記念公園では、毎年9月中旬から11月にかけて、総面積20000平方メートル以上ある広大な敷地に、総本数約550万本のさまざまなコスモスが咲き乱れて圧巻です。

毎年、テーマを変えてコスモスの組み合わせも異なるため、どういったコスモスが咲いているか断定できませんが、北の方にある花の丘では、白とピンク系統の淡いコスモス畑が広がります。

ある年には、キバナコスモスとレモンブライトの品種に限定し、黄色系統でまとめられたビタミンカラーのコスモス畑となることがあります。

国営昭和記念公園のコスモス

花の丘の裏側にある花の丘北花畑では、オレンジや黄色の小さなコスモスの組み合わせ、濃淡のあるピンクや白のコスモスなどパレードミックスと称して展開されています。

園内の中央にある原っぱ西花畑や原っぱ東花畑でも、さまざまな品種のコスモスが咲き揃います。

国営昭和記念公園
住所:東京都立川市緑町3173
交通アクセス:
立川ゲートへは、JR中央線「立川」駅北口より徒歩約18分
西立川ゲートへは、JR青梅線「西立川」駅公園口より徒歩2分
昭島ゲートへは、JR青梅線「東中神」駅北口より徒歩約10分
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万博記念公園

万博記念公園の自然文化園にある「花の丘」では、純白のセンセーションホワイトやセンセーションミックス、キバナコスモスなど、約12万本のコスモスが咲き誇ります。

また、近年では秋の花々が楽しめる「コスモス・コキアフェスタ」を開催し、約4,000株のコキアも一面に広がっており、コスモスとの共演を観賞できます。

万博記念公園
住所:大阪府吹田市千里万博公園
交通アクセス:大阪モノレール「万博記念公園」駅または「公園東口」駅より徒歩約5分
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コキア(9月下旬~10月下旬)

コキア

コキアは、別名で「ホウキソウ」「ホウキギ」とも呼ばれる雌雄同株の一年草です。

ふんわりもこもことした草姿がユニークで可愛らしい見た目が、フォトジェニックな秋の風景として注目を集めています。

草丈は50~100センチほどに生長し、鮮やかな緑色の葉を茂らせた後、秋が深まるにつれて少しずつ紅葉していきます。

緑から赤へのグラデーションを経て真っ赤に色づくと、その後は黄金色へと装いを変化するため、秋の大地を長い期間にわかって彩りを楽しめます。

国営ひたち海浜公園

コキアといえば国営ひたち海浜公園で、全国屈指の知名度を誇る定番スポットです。

春のネモフィラと秋のコキアは全国有数の知名度で、毎年大渋滞が発生するほどの人気ぶりです。

コキアが育つみはらしの丘は、秋が深まるとともに緑から赤へと少しずつグラデーションで変化していき、紅葉のピークには丘全体が真っ赤に色づく圧巻の景色を楽しめます。

国営ひたち海浜公園
住所:茨城県ひたちなか市馬渡字大沼605-4
交通アクセス:JR常磐線「勝田」駅東口より路線バス2番乗り場「海浜公園西口」下車
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大石公園

大石公園のコキアと富士山

河口湖自然生活館のある大石公園は、10月中旬から下旬にかけてコキアが赤く色づき見頃を迎えます。

なんといっても、コキア越しに冠雪したばかりの富士山を見ることができる絶景スポットです。

川口湖周辺の紅葉を巡るなら、真っ赤に紅葉したコキアと雪化粧した富士山の組み合わせも忘れずに寄っていきたいところです。

大石公園のコキアと建物

筆者が訪れた時は、あいにく富士山のてっぺんが雲に覆われてしまい、よい画が撮れませんでしたが、背後が青空で山もくっきりしていたため、博報堂健保河口湖保養所らしき建物と組み合わせてみました。

河口湖駅に着いた時は山頂までくっきり見えていたので、天候が変わりやすいことを頭に入れた上で行動することをおすすめします。

大石公園
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町大石2525-11
交通アクセス:
河口湖駅より富士五湖周遊バス(レッドライン)で所要時間32分、「河口湖自然生活館」下車
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ホテイアオイ(8月中旬~9月下旬)

ホテイアオイ(布袋葵)は、ミズアオイ科に属する水草で、夏から秋にかけて暑かった夏の終わりを告げるように涼しげな薄紫色の花を咲かせます。

別名「ホテイソウ」「ウォーターヒヤシンス」と呼ばれており、熱帯アメリカ原産の水生植物で17世紀にブラジルで発見されましたが、19世紀から20世紀にかけて世界各地に広まりました。

ホテイアオイについては、下記記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

終わりに

冬を迎える前に力強く鮮やかな彩りを見せる、秋の花。

紅葉や銀杏が注目を浴びる中、ほんの少しだけ目線を下に向けると、彼岸花やコキアなど色とりどりの植物がたくさんあります。

秋に咲く花や植物は、普段はなかなか目にすることのない珍しい花が豊富で、比較的長い期間に咲きますので、紅葉狩りのついでに寄り道をしてみてはいかがでしょうか。

この記事で紹介している観光スポットは、筆者が実際に訪れた場所として関東や関西が主になっていますので、遠方の場合はお近くの公園や庭園、植物園のWebサイトなどで開花情報をチェックしてみてください。

※使用カメラは、Cannon EOS 5D MarkⅡ、SONY α7Ⅱ

以下の記事では、春夏秋冬の四季別に咲く花・植物を観光スポット付きで紹介しています。

季節ごとの主役というほどではないけれど、なぜか目を惹く珍しい花の生態や特徴も解説していますので、併せてお読みください。

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