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お盆とは?起源や時期、期間中の過ごし方やお供え物の意味

2023年8月12日

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お盆の迎え火・送り火

日本に古くから伝わる風習である「お盆」。
8月も半ばに近づくと何かと慌ただしくなりますが、お盆は全国的には夏に行われる先祖供養のための行事です。

お盆になると、家族が実家に集まったりお墓参りをしたりしますが、そもそもなぜお盆という行事があるのか、またどんな意味があるのか、なんとなく頭ではわかっていても詳しくわからない人も多いのではないでしょうか。

また、お盆の期間には何をすればいいのか、お墓参りはどのタイミングで行くべきか、ご先祖様には何をお供えすればよいのか疑問に思う人も多いでしょう。

今回は、ご先祖様や亡くなられた方があの世からこの世に戻ってくる期間である、お盆の意味や起源、お盆に関わる決まりなどについて紹介します。

この記事からお盆の過ごし方などを理解できた上で、これまでより深く意味のあるお盆期間を過ごせたら幸いです。

他の年中行事・イベントについては、下記記事でまとめていますので併せてご参考ください。

お盆とは?

お盆は、ご先祖様や亡くなった人の魂が、あの世と呼ばれる世界(浄土)からこの世(現世)に帰ってくるとされる期間のことです。

故人が生前に最期まで過ごした場所である自宅でお迎えして、再び戻っていくあの世での冥福をお祈りする機会となっています。

ご先祖様をお迎えし供養するために、お盆の期間は遠方に住む家族が帰省してきたり親戚が訪ねてきたり、人が集まる時期でもあります。

簡潔にいうと、夏に故人の魂をお迎えし、おもてなしをしてお見送りするまでの一連の行事を行う時期を「お盆」と呼んでいます。

お盆のろうそく

お盆の起源・由来

お盆は、正式名称で「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれており、仏教の「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」というお経に由来しているとされています。

盂蘭盆経の「盂蘭盆(うらぼん)」は、サンスクリット語の逆さ吊りを意味する「ウラバンナ」と、ペルシャ語の霊魂を意味する「ウラヴァン」からきた言葉とされています。

お釈迦様の弟子の1人である、目連尊者(もくれんそんじゃ)にまつわる言い伝えからきており、お盆には「逆さ吊りのような苦しみを解く」という意味があります。

その言い伝えとは、亡き母が地獄に落ちて逆さ吊りの刑を受けていることを知った目連が、お釈迦様に母親の救済方法を相談したことがきっかけです。

その時に答えたお釈迦様の教えは、「夏の修行が終わった(旧暦の)7月15日に、多くの供え物を捧げて供養すれば母親を救えるだろう」ということでした。
目連はお釈迦様の教え通りにしたところ、母親は極楽往生を遂げられたことから、親や先祖の魂に感謝するお盆の風習が始まったとされています。

それ以来、旧暦の7月15日はご先祖様に感謝を捧げ、供養する日となりました。

日本で最初にお盆を行ったのは推古天皇で、西暦606年という飛鳥時代です。
お盆は長い間、貴族や僧侶だけが行う特別な行事でしたが、江戸時代に入り、ろうそくや提灯が大量に生産されるようになると、一般の人たちにも定着していったといわれています。

現在の8月15日になったのは、明治時代の改暦で30日遅れとなりました。

新盆と旧盆で異なるお盆の時期

職場や学校などで耳にするお盆休みというと、なんとなく8月15日ごろというイメージがあるでしょうが、お盆は全国的には毎年8月13日から16日に行われる夏の恒例行事です。

しかし細かく見ると、お盆の時期は7月の新盆と8月の旧盆があります。

一般的なお盆期間は、旧盆といって8月15日を中心に8月13日から16日までとしている地域が多いですが、都市部や地域によっては、新盆といって旧暦と同じ7月13日から16日になっている地域もあります。

なぜ、時期が異なる2つのお盆があるのかというと、明治時代に行われた改暦が関係しています。

改暦は、明治時代に暦の国際基準化を目的として行われ、日本のほとんどの行事が30日遅れとなりました。

そのため、もともと旧暦の7月15日に行われていたお盆も、改暦後には新暦の8月15日に行われるようになったのです。

明治時代の改暦とは
明治時代の改暦は、これまで使用していた太陰太陽暦からグレゴリオ暦(太陽暦)に変更することになり、改暦を行った1872年(明治5年)の12月3日を突然1月1日にしました。
これは、2~3年に1度の閏月(うるうづき)、つまり13ヶ月目の月を入れ、太陰太陽暦のずれを太陽暦に合わせるという方法で、日本の気候風土や農事中心の生活と相性がよかったためといわれています。

とはいえ現在、7月の新盆は東京を中心とした一部の地域のみで、大多数の地域は8月の旧盆です。

この記事では、一般的なお盆の時期である8月13日から16日までを例に説明していきます。

お盆期間の過ごし方・やるべきこと

お盆の期間中はご先祖様を供養するために過ごしますが、具体的にはどんなことをするのでしょうか?

一般的に知られているのは、盆入りする13日に迎え火をしてご先祖様をお迎えし、盆明けの16日に送り火をしてあの世へ再びご先祖様や故人の霊をお送りします。
中日の14、15日には、家族と同じ食事を3度お供えすることが多く、これを「仏膳」と呼び、専用のお椀とお皿などのセットがあります。

住む地域や信仰する宗派によってお盆の風習は変わってきますが、一般的に行われる主な例をお盆前からお盆明けまで説明します。

お盆のお墓参り

お墓の掃除とお墓参り

日常でお客さんを家に招く際には来客前に掃除を済ませることと同じように、お墓参りをする前にお墓の掃除をする必要があるため、盆入り前日の12日、遅くとも13日の午前中までに済ませておくのが理想です。

また、故人が亡くなって初めて迎える初盆の場合は、家族以外の人たちがお参りをする可能性もあるため、できれば8月初めに掃除を兼ねたお墓参りをしておくといいでしょう。

お墓の掃除でやってはいけないことの主な例を挙げると、硬いタワシやブラシでこする、家庭用洗剤で掃除する、ゴミや道具の放置したままにするといった行動です。
暮石はゴシゴシこするのではなく基本的には雑巾などで水洗いをして、しっかり水分を拭き取ることが大切です。

盆の入りとなる13日は、ご先祖様の魂があの世からこの世へ帰ってくる日ですので、お迎えするという意味を込めてお墓参りをします。
地域によっては、迎え火としてお墓からの道筋に火を灯したり、玄関先に提灯を置いて目印としたりするところもあります。

関東地方には、14日・15日の留守参りという風習が残っている地域があります。
ご先祖様がこの世にいるお盆の期間、留守となるお墓を守ってくださる仏様に感謝を表してお参りしたことなどが由来とされており、14日と15日にお墓参りをすることもあります。

そしてお盆の明けとなる16日は、この世からあの世へと戻るご先祖様の魂をお見送りする意味を兼ねてお墓参りをします。

地域によっては送り火を行いますが、精霊舟などを海や川に流す地域では、その舟でご先祖様が帰るとされているため、お墓参りをしない場合もあります。
山に松明の炎で大の字を描く、俗にいう大文字焼きもこの送り火の儀式です。

六曜の「仏滅」「友引」は縁起が悪いと思われる人が多いですが、六曜そのものは仏教とは直接の関係がないため、お墓参りには問題ないとされています。
六曜については、別の記事で詳しく解説していますので下記記事をご参考ください。

迎え火と送り火

迎え火とは、お盆の入りにご先祖様を迎えるために焚く火のことです。

迎え火は、ご先祖様の魂が迷わずこの世に戻れるようにという願いを込め、8月13日の盆入りに門前や玄関前で、素焼きの平皿におがらと呼ばれる皮を剥いだ麻の茎を燃やし火を焚きます。
地域によっては、ご先祖様の墓前で行うこともあります。

送り火とは、盆明けにご先祖様を見送る際に焚く火のことです。

送り火は、お盆を共に過ごしたご先祖様をあの世へ再び送り出すため、8月16日の盆明けに迎え火と同じような手順で火を焚きます。

迎え火と送り火は、どちらも火の煙によってご先祖様があの世とこの世を迷わず行き来できるようにという意味が込められています。

一部の地域では山で焚いたり、海や川に火を灯した船を流したりといった、大がかりな行事もあります。
全国的に有名な京都の「五山の送り火」もその1つです。

お盆の迎え火・送り火

盆提灯

盆提灯は、地域や各家庭によりますが、迎え火や送り火と同じようにご先祖様への目印のために用意されます。

上から吊るして飾る御所提灯や、床置きして飾る大内行灯(おおうちあんどん)などがあり、ご先祖様がこの世で過ごされる精霊棚(盆棚)もしくは仏壇の前が一般的です。

お盆飾りとお供え

盆の入りを迎えたら、仏壇の前に精霊棚や盆棚を用意をしてお供えをします。

お盆飾りとして有名なのがキュウリの馬とナスの牛で、爪楊枝や割りばしを足にして、馬や牛に見立てたキュウリやナスを飾ります。
ご先祖様に早く帰ってきてほしいという願いを込めて「精霊馬(しょうりょううま)」、ゆっくりあの世に帰ってほしい願いを込めて「精霊牛(しょうりょううし)」と呼ばれています。
どちらもご先祖様がこの世とあの世を行き来するのに使う乗り物に見立てたものです。

お供えは、団子を積み上げる「お迎え団子」、刻んだナスやキュウリと洗った米をハスの葉などに盛りつけた「水の子」など、地域によってさまざまなものがありますが、フルーツや野菜などご先祖様の好物を供えることも多いです。

お供え物について詳しくは、後の方で解説します。

お盆の精霊馬と精霊牛

各地で行われるお盆の行事・風習

お盆の行事や風習は、地域によってさまざまで、その代表的な一例を紹介します。

盆踊り(ぼんおどり)

子どもの頃から見たことのある方も多い盆踊りですが、地域によっては踊りを奉納することもあります。
お盆の時期にお迎えしたご先祖様の霊をもてなし、一緒に過ごして送り出す行事で、室町時代にはすでにあったといわれています。

やぐらを囲んで輪になり、太鼓や笛の音に合わせて踊る楽しい祭りのため、本来の目的が先祖の供養だということを知らない方もいるでしょう。

盆踊りといえば、長野県の「新野の盆踊り」は国の重要無形民俗文化財に指定されており、富山県の「おわら風の盆」は映画の題材にもなるなど、全国には500種類以上もの盆踊りがあるとされています。
また、秋田の「西馬音内の盆踊り」、岐阜の「郡上踊り」、徳島の「阿波踊り」は日本三大盆踊りとして有名ですね。

今では宗教的な意味合いが薄れてきていますが、地域交流の場や観光客が集まるお祭り行事としても盛り上がっています。

盆踊りの意味を知ると、命を繋いでくれたご先祖様にも想いを馳せながら楽しく踊って夏をより楽しめるのではないでしょうか。

盆踊り

精霊流し(しょうろうながし)

精霊流しは、8月15日または16日に長崎県など一部地域で、藁や木で作った船にお供え物を乗せて川や海などに流す行事です。

無事に極楽浄土までたどり着けるようにという願いを込めた送り火の一種で、初盆(新盆)を迎える故人の霊を弔うために、遺族が精霊船(しょうろうぶね)と呼ばれる船を手作りします。
その船を引きながら街中を練り歩くことで、故人を極楽浄土に送り出せるといわれています。

五山送り火(ござんおくりび)

毎年8月16日の20時から、京都を囲む5つの山に大・妙法・船形・左大文字・鳥居形の5つの文字が炎によって描かれる「五山送り火」。

通称「大文字(だいもんじ)」と呼ばれ、お盆の入りに帰ってきたご先祖様の霊をお盆の明けに見送るため、あの世へ通じる暗い道を明るく照らし、無事に帰れるように願って始められたといわれています。

お盆に迎えた精霊をふたたび冥府に返す精霊送りの意味をもつため、京都市内の川沿いや御所など開けたところから望むことができ、関係者は静かに手を合わせご先祖様に思いを馳せています。

五山送り火の起源は明確にはされていないものの、文献からは平安時代から室町時代ごろに始まり、江戸時代には定着したと考えられています。
1983年(昭和58年)より、京都市の登録無形民俗文化財に登録されています。

京都五山送り火の詳しい情報は、公式サイトを参考にしてください。

お盆期間にやってはいけないこと

お盆では、環境の変化や仏教の教えからやってはいけないことや避けるべきことがあります。

海や川などの水辺に行くこと

水辺は「三途の川」に代表されるように、古くからあの世とこの世の通り道とされてきました。
そのため、多くの霊魂がこの世に戻るお盆に水辺にいくと、霊に引っ張られるという言い伝えがあります。

もちろんこれは迷信であり、お盆中であっても海やプールに出かけても問題ありません。

ただし、お盆の時期は波が高くなり、勢いの強い離岸流(海岸の波打ち際から沖合いに向かってできる流れ)が発生しやすくなります。
一見して安全に見える遠浅の海岸でも発生しやすいことが特徴で、知らないうちに沖へ流されてしまうこともあるため注意が必要です。

お盆の時期に、クラゲが大量に発生したりサメが沖に近づいたりするニュースもよく聞きます。
水難事故や海難事故といった水辺での事故が多いのも関係しているかもしれません。

魚釣りや虫捕り

お盆は、仏教の教えから「不殺生戒」の時期で、生物の生命を絶つことを禁じられています。

亡くなられた方々を供養するとともに、生き物を大切にするという気持ちを養う期間でもあることから、水辺に行くのは問題ありませんが、釣りをするのは避けた方がよいかもしれません。

また、蚊やハエなどを見つけると手や物などで潰してしまいがちです。
しかし殺生をしてはいけない時期となると、蚊やハエも例外ではないといえます。
無駄な殺生をしないように過ごしておきたいところですので、虫捕りなども控えるようにしましょう。

魚や肉を食べる

先に説明した「不殺生戒」に通じますが、本来はお盆に魚や肉を食べるのも避けたほうがよいといわれています。

しかし現代では、お盆に遠方の家族が帰省したり普段会わない親族が集まったりして、一緒に食卓を囲むことが多いです。

お供え膳のように全てを精進料理というのもなかなか難しいでしょう。
特に、子どもの場合は好みがあり食べられる範囲が狭いので、故人を偲んで、親族が集まったり楽しく過ごしたりするのは、きっとご先祖様も喜ぶことでしょう。
お魚やお肉をいただく時は、私たちのために差し出されたすべての生命に感謝する心を大切にすれば食べてよいと思います。

適さない花をお供えする

お盆には、お墓や仏壇に花をお供えしますが、適さない花もあります。

棘のある花(バラなど)
毒のある花(ヒガンバナなど)
つる性の花(アサガオ、クレマチスなど)
香りが強い花(キンモクセイなど)
死を連想する花(ツバキなど)
花粉で汚れてしまう花(ユリなど)

棘や毒のある花は、死やケガを連想させたり、殺生を連想させたりするためお供えに適しません。

つる性の花は墓石に巻きつく恐れがあり、香りが強い花は虫が多く寄ってくる原因にもなり控えた方がよいでしょう。

花粉が落ちやすい花は墓石を汚しやすく、花弁が丸ごと落ちるような死を連想する花は縁起が悪いためお供えしてはいけないとされています。

ちなみに、お盆のお供えに適した花の一例としては、キク、トルコキキョウ、スターチス、カーネーション、リンドウ、ハス、胡蝶蘭などがあります。

お供えの仏花(菊)

他所のご先祖様にお参りする

お墓参りにきた時に、お隣のお墓に誰もお参りしている様子がなく荒れているのを見ると、ついでに綺麗にしてあげたくなるかもしれません。

しかし、これはやってはいけないことです。
お墓参りとは本来、ご先祖様や故人やに対して感謝を伝えたり会話をしたりしながら供養をすることが目的です。

所縁のないお墓にお参りするほか、墓石を掃除したり、水をあげたり、お線香をお供えしたりするのは先祖供養の正しい態度ではなく、好まれることではありません。

お盆に食べた方がいい料理

お盆に食べた方がいいとされる料理に明確な決まりはなく、地域によっても違いますが、お供えする食材にも関係するため、多くの地域で食べられているお盆の定番料理を意味や理由とともに紹介します。

おはぎ

おはぎに使われる小豆には、魔除けの効果があるといわれています。

そのため、ご先祖様がこの世に帰ってくる時の助けになるとして、昔からお盆にはおはぎをお供えしたり食べたりするのを定番としていることが多いです。

おはぎは傷むのが早いため、ご先祖様のおやつとしてお供えした後は早めに下げて、家族みんなで食べるのがよいです。

おはぎ

団子

お団子もお盆に食べる定番の料理としてよく知られています。
ご先祖様にお供えした後に再加熱し、きなこや餡、砂糖醤油など家族の好きな味付けを施すという風習があります。

また、お団子は、お供えする時期によって呼び方や意味が異なります。

お盆の入り:「お迎え団子」と呼び、ご先祖様の長旅を労り、お迎えする意味として、あんこやみたらしなどの甘味をつけたお団子をお供えします。

お盆の間:「お供え団子」と呼び、ご先祖様のおやつとして、きなこやあんこなどをつけたお団子をお供えします。

お盆の明け:「送り団子」と呼び、あの世にお土産として、何もつけない白いお団子をお供えします。

団子

天ぷら

精進料理に「精進揚げ」といって、天ぷらが盛り付けられているのを見たことがある方も多いでしょう。
自然に囲まれ山の幸が豊富な地域では、お盆に野菜を中心とした天ぷらを食べるのが定番です。

ポルトガルから日本に伝えられたとされる天ぷらは、精進料理と似た扱いをされていたことから、お盆の定番料理になったという説があります。
野菜だけでなく、大葉やタラの芽といった山菜もできそうですね。

天ぷら

そうめん

手頃な価格で手にとりやすいそうめんですが、昔は高級品として扱われていたため、特別な時期であるお盆に食べるという風習が現代にそのまま受け継がれています。

また、そうめんは、細くて長いことから「幸せが細く長く続くように」という願いも込められています。

そうめん

精進料理

精進料理とは、仏教の教えである五戒(5つの戒め)の1つ「不殺生戒」より殺生を禁ずるという意味から、肉や魚、卵といった動物性の食材を避け、野菜や穀物など質素な食材で構成される料理のことです。

ただ、香りの強い食材や香辛料を使ってはいけないなどの決まりが多いため、現代ではお盆に精進料理を食べる習慣は減ってきています。

それでも伝統を重んじるなら、精進料理を作るか注文で取り寄せて食べてみるのもよいでしょう。

精進料理はお供えしたものを下げて食べるのではなく、ご先祖様と家族の分を用意し一緒にいただくのが基本です。

精進料理

お盆に食べない方がいい食材

お盆に食べる料理にこれといった決まりはありませんが、一般的に食べやすいとされているのが精進料理です。
精進料理は、「不殺生戒」という仏教の教えに基づいているため食べやすいのですが、使わない方がいい食材がいくつか挙げてみました。

肉・魚

精進料理では、肉や魚を食べることは禁止されています。
動物や魚に痛みを与えて命を奪うことは、救済を意味する仏の道に反するためです。

野菜や果物などは仏様からのお恵みだという考え方もあるため、食べてもよいとされています。

五辛五葷

五辛五葷(ごしんごくん)とは、臭いが強く辛みのある野菜のことです。
例えば、ネギやニラ、ショウガ、ニンニク、ラッキョウのような食材が挙げられます。

人間は誰しもが煩悩を抱えて生きており、煩悩を消し去ることで悟りを開けて、仏の道を歩めるといわれているため、煩悩を刺激する原因になる五辛五葷は、精進料理には使ってはいけないとされているのです。

お盆のお供え物

では上記の例をもとに、ご先祖様へのお供え物をまとめてみましたので、覚えておくと便利でしょう。

お菓子

お菓子はお供え物の定番で、しばらく仏壇にお供えしておくことを考えて賞味期限が1~2週間あるなど常温で日持ちするものが好ましいです。

ただし赤や黄色といった派手な色のお菓子は避けるのがマナーとされているため、せんべいやかりんとう、饅頭、焼き菓子、羊羹、ゼリーが主に挙げられますが、故人の嗜好を知っている場合は、形式にとらわれずに故人の好きだったお菓子をお供えすると良いでしょう。

精霊馬・精霊牛

先ほども説明しましたが、精霊馬(しょうりょううま)はキュウリに、精霊牛(しょうりょううし)はナスに、割り箸を刺して飾るお供え物です。

キュウリは馬、ナスは牛を表現しており、それぞれに意味が込められています。
キュウリの精霊馬には「足の速い馬に乗って一刻も早く帰ってきてくれるように」、ナスの精霊牛には「牛の背中に乗って景色を楽しみながらゆっくりと帰ってほしい」という意味があります。

なお、地域によってはキュウリとナス以外を使う場合もあるため、親戚や居住地域の人に確認してください。

お盆の精霊馬と精霊牛

水の子

水の子は、ハスの葉の上に洗った米と、さいの目切りしたキュウリやナスを盛り付けたお供え物です。

お盆は、ご先祖様と一緒に餓鬼道(がきどう)に落ちた無縁の仏様も帰ってくるとされているため、水の子は無縁仏へのお供え物となるのです。

他所へのお供え物・手土産

手土産であれば2000円~5000円程度、仏壇のお供え物であれば3000円~5000円程度の相場で検討するのが一般的ですが、相手との関係性によって異なるため、あくまで目安として参考にしてください。

掛け紙は、新盆(もしくは初盆)のご家庭であれば「新盆(初盆)御見舞」で、それ以外であれば「御仏前」「御供」と書くのが一般的です。

お菓子

手土産・お供え問わず一番多いのは、菓子折りです。
皆で好きな時に食べられるように個包装の日持ちするお菓子がよいでしょう。

おせんべいやゼリー、どら焼きなどが定番ですが、他の方と被らないように地域の名産品や少し贅沢ができるメーカーの洋菓子などもおすすめです。

飲み物

飲み物も、手土産・お供えどちらにも人気です。
お酒が好きなご家庭に贈る場合はビールや日本酒、子どもがいるご家庭ならフルーツジュースを選ぶのもいいでしょう。

お線香・ろうそく

仏壇へのお供え物としては最も一般的です。
特にお線香は、「香食(こうじき)」といって仏様はいい香りや煙を召し上がるという考えがあり、仏事的な面からもお供えに向いているといえます。

終わりに

以上で、お盆にまつわる起源や時期、お盆期間の過ごし方や注意点などを解説しました。

ご先祖様や故人を迎え、感謝を込めておもてなしをし、供養するためのお盆。
お供え物の意味や盆踊りの趣旨など、意外と知らなかった発見もあったのではないでしょうか。

また、お盆に食べる料理は地域によってさまざまです。
精進料理や住んでいる地域で、昔から食べられている伝統的な料理を食べるのもご先祖様への供養にもなるのでこの機会に食べるのもよいでしょう。

昔は、不殺生戒という仏教の教えに基づき、肉や魚などは食べない方がいいとされていましたが、時代の流れとともに考え方が変わり、大勢が集まる機会に肉料理や寿司などの豪勢な料理を食べる家庭も多くなっています。

故人が好きだった料理を食べるという考え方も大切ですし、お盆には美味しい料理を贅沢に食べてみんなで笑顔になることが、ご先祖様への最大の供養となるのではないでしょうか。

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