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暦注とは何?暦に書かれたその種類や意味、雑注との違いも解説

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暦注のほとんどはカレンダーやスケジュール手帳などで見られる

日付や曜日のほか、大安・仏滅などといった六曜。

他にも、立春や秋分といった単語を一度は目にしたことがある方も多いでしょう。

昔の暦には、天文現象の予報や方位、日々の吉凶などの迷信的な事柄が多く書き込まれていました。

今回は、カレンダーなどに書かれた暦注の種類や、それぞれの意味について紹介します。

以下の記事では、暦の定義として知っておきたい太陰暦・太陰太陽暦・太陽暦について解説していますので、併せてお読みください。

暦注とは

暦注(れきちゅう)は、カレンダーや暦本などの暦に書かれた日付や曜日はじめ、その日の吉凶や運勢などを注釈した、注記事項のことです。

一般的に見られるカレンダーで確認すると、年中行事などの生活に関する情報や、季節ごとの情報も記載されていますが、これらも暦注の1つにあたります。

昔は、日時の吉凶や禁忌などの迷信的な事柄が多く書き込まれており、暦のほとんどは中国の陰陽五行説、十二支十干説などが由来です。

暦注は、記載される位置から、以下のように上段・中段・下段に分類されます。

暦注上段

日付、曜日、二十四節気、七十二候などの天文学的なことや、年中行事など

暦注中段

十二直

暦注下段

二十八宿、九星、六曜、七箇の善日、選日など吉凶に関すること

カレンダーなどに書かれた暦注には上段・中段・下段に分かれる

その中で中段と下段にある暦注は、日々の吉凶を表すものや昔の暦の最下段に書かれていたものが主なため、科学的根拠のない迷信的な扱いとされ、明治時代には使用を禁止した経緯があります。

そのため、現代のカレンダーには中段と下段の暦注が掲載されているのは稀です。

暦注をすべて確認して行動をしようとすると、行動範囲が抑えられて日常生活を送りづらくなるため、あなたにとって最適な日を選ぶための参考にしておくことをおすすめします。

次の項では、上段・中段・下段に設定されている暦注それぞれの意味を解説します。

暦注上段の種類と意味

上段に設定されている暦注の種類は、以下の通りです。

日付・曜日

日付・曜日はいうまでもなく、その月の日付と曜日です。

日付は、日本の伝統的な旧暦や現代の新暦など、さまざまな暦法における1日を示すため、暦日ともいいます。

二十四節気

二十四節気(にじゅうしせっき)は、古代中国で考案された季節の移り変わりを表す指標で、1年を24等分した暦です。

季節の節目にあたるのが特徴で、2月4日頃の立春を起点に24分割されています。

二十四節気については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

七十二候

七十二候(しちじゅうにこう)は、二十四節気をさらに細分化し、1年を72等分した暦です。

24等分した二十四節気が各15日ずつあるのに対し、七十二候はその15日間をさらに3つに分けたもので各5日ずつになります。

七十二候については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

天文学的なこと

天文学的なこととは、その日の十千十二支や月齢などです。

十干十二支(干支)

十干十二支(じっかんじゅうにし)は、十干と十二支を組み合わせた60を周期とする数字の並びで、年・月・日・時間・方角などを特定するために用いられます。

これらを総称して干支(えと)とも呼ばれ、私たちが年賀状や生まれ年に使っているのは十二支のことです。

十干十二支は60組もあるのが特徴で、1つずつ順番に日にちに当てはめられ、60日間で一巡します。

十干十二支は年・月・日・時間・方角などを特定する暦注

月齢

月齢(げつれい)は、月の満ち欠けのことで、新月からの経過時間を日という単位として表した暦注です。

新月を月齢0とし、新月の翌日は月齢1、その翌日は月齢2と続き、月齢15になるとほぼ満月になります。

月齢は月の満ち欠けに基づいた暦注

年中行事

年中行事は毎年、決められた時期や季節に行われる行事を総称したものです。

正月や成人の日、節句など古くから伝わる伝統文化や風習があります。

年中行事については、下記記事でまとめていますのでご参考ください。

年中行事の中には、国民の祝日・休日に当てられたものもあり、詳しくは下記記事も併せてお読みください。

雑節

雑節(ざっせつ)は、季節の移り変わりをより適確に掴むために設けられた特別な暦日のことです。

日本の生活文化や季節に合わせて独自に作られたもので、節分や彼岸などがこれにあたります。

雑節については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

暦注中段の種類と意味

中段に設定されている暦注の種類は、以下の通りです。

十二直

十二直(じゅうにちょく)は、北斗七星の動きを日々の吉凶を判断するのに用いられた暦注です。

建・除・満・平・定・執・破・危・成・納・開・閉の12つからなります。

中国から伝わったもので近年では馴染みがありませんが、飛鳥時代(592~628年)には日本でも吉凶占いとして暦に取り入れられ、日々の生活に使われていました。

十二直は北斗七星の動きで日々の吉凶を判断した暦注

暦注下段の種類と意味

下段に設定されている暦注の種類は、以下の通りです。

二十八宿(二十七宿)

古代中国の天文学で用いられたものですが、やがて日々の吉凶を表すものとなった暦注です。

二十七宿は、二十八宿がインドに伝えられた後、牛宿を削って占いに使用されるようになったものです。

二十八宿・二十七宿については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

九星

九星(きゅうせい)は、古代中国から伝わってきた9つある星のことです。

一白水星・二黒土星・三碧木星・四緑木星・五黄土星・六白金星・七赤金星・八白土星・九紫火星というと、聞き覚えがある方もいるでしょう。

九星と干支、生年月日を組み合わせて、運勢・相性・方位を占います。

九星は干支や生年月日を組み合わせて運勢・相性・方位を占う羅針盤のような暦注

六曜

六曜(ろくよう)は、大安や仏滅などの曜が6つある吉凶で、六曜星(ろくようせい)、六輝(ろっき)、宿曜(すくよう)とも呼ばれます。

1日ごとに順番で巡ってきて、その日の吉凶や運勢を判断するもので、現代のカレンダーにも記載されていることが多いです。

六曜については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

七箇の善日

七箇の善日(ななこのぜんにち)は、天赦日・神吉日・大明日・鬼宿日・天恩日・母倉日・月徳日の7つある吉日を総称したものです。

七箇の善日については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

三箇の悪日

三箇の悪日(さんがのあくにち)は、大禍日・狼藉日・滅門日の3つある凶日を総称したものです。

受死日

受死日(じゅしにち、じゅしび)は、黒い丸印「●」で表記されることから、「黒日(くろび)」とも呼ばれます。

受死日に、葬式は行ってもいいのですが、それ以外は何をやっても悪い日とされ、この日に病気になると死に至るともいわれています。

十死日

十死日(じゅうしにち、じゅうしび)は、十死、十死一生日、天殺日とも呼ばれ、前述の受死日に次いで最悪の日とされているため、葬式や戦闘、嫁取りはよくないそうです。

十死一生というのは、ほとんど助かる見込みがない、生きる見込みがない、という極めて危険という意味があります。

また、十死日に葬儀をすると災難に遭うともいわれています。

暦注に深く関わりがある太陽と月、そして地球

その他

現代で使われることはほとんどありませんが、暦注下段は上記以外にも、五墓日(ごむにち)・地火日(じかにち、ちかび)・地忌日(ちいみにち、ちいみび)・重日(じゅうにち、じゅうび)・復日(きこにち、きしにち)・天火日(てんかにち、てんかび)などがありました。

いずれも凶日とされ、滅多に見ることはないため、こういう暦注もあったという参考程度に留めてください。

選日(雑注)について

選日(せんじつ)は、これまでに挙げた暦注以外の名前を総称したものです。

さまざまな暦注の中に含まれなかった吉凶を指し、別名で雑注(ざっちゅう)とも呼ばれます。

選日には、数えきれないほど多くの種類があるため、主に知られているもの、注目しておきたいものを紹介します。

一粒万倍日

一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)は、一粒の籾(もみ)が稲穂のように万倍にも増えるといわれる吉日です。

起業や開店、種まきなど、何事を始めるにも適している日とされている一方、借金や人から物を借りることに関しては苦労の種が万倍になるということで凶とされています。

一粒万倍日については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

不成就日

不成就日(ふじょうじゅび)は、この日は何事も成就しない日、悪い結果だけを招く日です。

結婚や開店、引っ越し、契約など、さまざまなことが凶となっており、何かを始めるには適さない日とされています。

不成就日については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

寅の日

寅の日は、虎の体毛が黄金色であることからお金にまつわる行動によい吉日です。

また、「虎は千里往って千里還る」ということわざから、1度出ていったものが戻ってくるという意味があり、お金の出入りはもちろん、旅行に行っても無事に戻るとされています。

寅の日については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

巳の日・己巳の日

巳の日は、十二支の巳(蛇)にあたる日で、12日ごとに巡ってくる吉日です。

蛇の中でも特に白蛇は、七福神の一神である弁財天の遣いとされ、金運・財運はじめ、商売繁盛や幸福招来、芸術・芸能を高めるのに縁起がよいとされています。

巳の日・己巳の日については、下記記事で解説していますのでご参考ください。

終わりに

暦に日付や曜日はじめ、方位、干支などその日の運勢を注釈した暦注。

古くからあるカレンダーや暦本には、こんなにも多くの暦注が書かれていました。

中でも暦注下段の吉凶は、迷信的なこととして現在では重要視されていませんが、昔の人たちにとっては、生活する上でその日の行動や決断への目安に必要なものでした。

現代でいう占いが、当時からすでにあったことを考えると、以下に重要なものだったか頷けることでしょう。

これらの暦注を心のおまじないに、何か大きなことを行う時や決める時には1つのきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

スケジュール手帳によっては暦注が事細かに書かれているものもある
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