寒中見舞いの目的や役割、送る時期は？7つのシーン別に送る文例・書き方

寒中見舞いは本来、暑中見舞いと同じように寒さの厳しい時期に相手を思いやり、近況を報告する季節の挨拶状でした。

近年では、年賀状を送りそびれてしまった時や、相手や自分が喪中である時に送ることが多くなっています。

また、お歳暮やお年賀の贈り物をいただいたお礼やお返しする時の贈り物にも使うことがあります。

とはいえ、寒中見舞いはどういった場合にどういう形で送るのか、同じ時期に送る年賀状とどう使い分けるのか、など具体的なことまではあまり知らない方も多いのではないでしょうか？

今回は、近年における寒中見舞いの目的や役割、送る時期などを紹介します。

また、寒中見舞いの基本的な書き方やシーン別に送る文例もまとめていますので、状況に応じてご参考になれば幸いです。

寒中見舞いとは

寒中見舞いは、もともとは暑中見舞いと同じで、普段なかなか会えない友人や親族、いつもお世話になっている方、主に豪雪地帯・寒冷地などに住む方へ送る、冬の挨拶状です。

しかし現在では、年明けの松の内（1月7日）までに出せなかった年賀状の返礼に使われることが一般的となっています。

また、喪中であるために年賀状が出せない場合の代用にも使われることも多くなってきました。

寒中見舞いの目的・役割

寒中見舞いは、暑中見舞いと同じように、厳しい寒さを見舞う挨拶状だと思われがちですが、近年では送る目的や役割が変わってきています。

後述しますが、寒中見舞いを送る時期が1月から2月初旬であるため、近年では以下の通り、年賀状を出せなかった相手へのご挨拶などに寒中見舞いを送ることが多くなっています。

いただいた年賀状の返信

相手から年賀状をいただいた場合、自分からは年賀状を送っていない時は基本的に松の内である1月7日までに年賀状で返信を出します。

もし、年賀状の返信が松の内までに届かない場合には、寒中見舞いとして出します。

喪中にいただいた年賀状への返信

自分が喪中であることを知らせる喪中ハガキを送り損ねた場合は、相手から年賀状が届く可能性が大きいため、寒中見舞いとして喪中ハガキを送れなかったお詫びを兼ねて報告します。

また、喪中ハガキを出したのに相手から年賀状が届いた場合も、寒中見舞いとして年賀状のお礼とともに喪中であることを報告します。

喪中である相手への挨拶状

旧年末に相手から年始の挨拶を欠礼する喪中ハガキが送られてきた場合は、年賀状の代わりに松の内が明けてから、寒中見舞いとして挨拶を兼ねて返事を送ることができます。

また、喪中ハガキを受け取っていなくても、相手への心遣いとして寒中見舞いを出すこともできます。

喪中と知らずに年賀状を出したお詫び

相手が喪中であることを知らずに年賀状を送ってしまった場合は、寒中見舞いとしてお詫びを送ることができます。

お歳暮とお年賀をいただいた返礼状

年末のお歳暮や正月のお年賀として贈り物をいただいた場合は、松の内が明けてから寒中見舞いとして返礼状を送ります。

お歳暮とお年賀が遅くなった贈り物

年末のお歳暮、正月のお年賀が遅くなってしまった場合は、松の内が明けてから寒中見舞いとして贈り物を渡すことができます。

その際には、熨斗（のし）の表書きを「寒中御見舞」にして渡します。

お返しは基本的に不要ですが、お歳暮をいただいた相手が目上の方であったり、高価な贈り物をいただいたりするなど、お返しをしないと気が済まない場合は、松の内が明けてから寒中見舞いとして贈り物を渡すことができます。

お歳暮については、下記記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

自分や相手が喪中であるのにもかかわらず、年賀状を送っていただいた方や送ってしまった方には、そのままにせず寒中見舞いを出すようにしましょう。

これはマナーだからということでなく、こちらの近況が相手にわかると安心するためです。

寒中見舞いを送る時期

寒中見舞いは、暦の上で1年のうち最も寒さが厳しいとされる1月から2月初旬に出す挨拶状です。

実際に寒さが厳しくても、12月に送ることはしませんので注意してください。

具体的には、松の内が明けてから立春までに送るとされています。

松の内が明けるのは関東地方で1月8日以降、関西地方では1月16日以降ですが、地域によって時期が異なるため確認しましょう。

ちなみに、立春は2月4日ごろです。

立春を過ぎてしまったら

もし、立春を過ぎてしまった場合は、「余寒見舞い」となります。

寒中見舞いを立春を過ぎるまで出しそびれたり、立春以降に挨拶状を送る必要があったりする場合は、寒中見舞いではなく余寒見舞いとして出すようにします。

夏の挨拶状である暑中見舞いでいうと、いわゆる残暑見舞いと同じ意味合いですね。

余寒見舞いは寒さが続くうちに出すといわれ、いつまでに出すものか厳密には決まっていませんが、雪が溶け始めるとされる雨水（うすい）にあたる2月中旬くらいには出し終えておくとよいでしょう。

寒中見舞いハガキの基本的な書き方

寒中見舞いを書く際は、下記5つの構成で書くのが基本です。

（1）お見舞いの挨拶

寒中見舞いの書き出しは、「寒中お見舞い申し上げます」となります。

年賀状などと同じで、「こんにちは」「さようなら」などの頭語・結語は使いません。

また、一般の手紙やビジネス文書に用いられる「拝啓」「敬具」も不要です。

お見舞いの挨拶文は、本文より大きめに書くことで見栄えを良くしましょう。

句点「。」も不要です。

（2）時候の挨拶

時候の挨拶は、寒中見舞いを送るタイミングに合わせた季節感を表す文章、土地や気候など相手の住んでいる地域に適した文章を選びます。

相手が置かれている状況を踏まえた上で、相手の安否を尋ねる文章を続け、お世話になったことがあれば感謝のひと言を添えます。

例：立春とは名ばかりの寒い日が続きますが　いかがお過ごしでしょうか。

寒中見舞いで時候の挨拶をする際は、相手の立場に注意しましょう。
離れた土地に住んでいる人に送る場合は、同じ冬でも気候が同じとは限りません。
相手が住んでいる土地柄や気候に合わせて表現を選ぶと、相手を思いやる気持ちが伝わります。

（3）自身の近況報告

次に自分や家族の近況を書くと、相手に喜ばれるとともに安心するでしょう。

自身の近況報告は、相手との関係に合わせて書くことが重要で、具体的な内容にすることも大切ですが、相手が目上の場合は当たり障りのない文がおすすめです。

例：お陰様で、私どもは風邪ひとつひかず元気でおります。

年賀状の返礼に遅れてしまった場合や喪中の報告をする場合、喪中と知らずに年賀状を送ってしまった場合のお詫びもこの段階で書きます。

詳しくは、後述します。

（4）結びの挨拶

寒中見舞いにおける結びの挨拶とは、相手を気遣う言葉を指します。

一番伝えたいこと、相手への気遣いや感謝を述べて締めくくりましょう。

例：冷え込む今日このごろ、くれぐれもご自愛ください。

（5）日付

寒中見舞いの最後に用いる日付は、地域によって気候が異なるため、無難に「○月」としてもいいでしょう。

例：令和○○年○月

2月4日ごろの立春を過ぎて出す場合は「余寒見舞い」として出しますので、お見舞いの挨拶は「余寒お見舞い申し上げます」となります。
時候の挨拶や結びの挨拶も季節に合わせるように気をつけて書きましょう。

自分も相手も喪中の場合に送る寒中見舞いは、年賀状の代用になるため、「年賀状」や「お慶び申し上げます」などといった、お祝いの言葉を使わないように気をつけてください。

年賀状は「年始状」や「年頭のご挨拶」、お慶び申し上げますは「何よりと存じます」などの言葉に言い換えましょう。

市販のハガキや手作りで印刷したハガキを使用する場合には、手書きで一言添えるとよいでしょう。

手書きが1文でも添えられていると、受け取った相手も好印象をもちます。

シーン別に送る寒中見舞いの文例

年賀状の返礼に遅れてしまった場合や喪中の報告をする場合、喪中と知らずに年賀状を送ってしまった場合のお詫びなど、自分や相手の状況に応じて書き方が変わります。

一般的な例として、シーン別に寒中見舞いを送る文例をまとめてみました。

挨拶状として寒中見舞いを送る場合

年賀状も喪中も関係なく、暑中見舞いと同じように相手を気遣う挨拶状として、自分の近況報告を兼ねて寒中見舞いを送ることができます。

主な文例：
寒中お見舞い申し上げます
立春とは名ばかりの寒い日が続きますが　いかがお過ごしでしょうか
折をみて　ゆっくりとお目にかかりたいと思っております
暖冬とはいえ　さすがに冷え込む今日このごろ どうぞお体を大切にお過ごしください
令和○○年1月

年賀状の返信が遅れてしまった場合

年賀状を出していない相手から年賀状が届いた場合は、なるべく早く年賀状として返すのが理想です。

しかし、帰省や旅行などで年賀状の確認が遅れるといった理由で、返信が松の内を過ぎてしまう場合は寒中見舞いとして出します。

主な文例：
寒中お見舞い申し上げます
皆様お変わりなく良いお年を迎えられましたこと心よりお喜び申し上げます
丁寧な新年のご挨拶をいただきながらも遅れまして失礼いたしました。
おかげさまで家族一同 元気に暮らしております
例年より厳しい寒さが続いておりますので くれぐれもご自愛ください
令和○○年1月

喪中の報告を兼ねて送る場合

喪中ハガキを出せなかった場合に、年賀状の代わりとして喪中である報告を兼ねて寒中見舞いを送ることができます。

主な文例：
寒中お見舞い申し上げます
寒気厳しき折でございますが 皆様にはお変わりございませんか
私方 昨年○月（故人続柄）が他界いたしましたため 年頭のご挨拶を控えさせていただきました
寒さももうしばらく続くと思いますが くれぐれもご自愛ください
本年も皆様にとって良い年となりますよう心よりお祈り申し上げます
令和○○年1月

喪中に年賀状が届いた場合

年賀の「賀」はおめでたい言葉になるため、「お年始状」や「年頭のご挨拶」といった表現に言い換えます。

おめでとう、お慶び申し上げますなどの表現も使いませんので気をつけましょう。

もし、喪中ハガキを出していなければその旨を詫びる文章も添えます。

主な文例：
寒中お見舞い申し上げます
新年早々 ご丁寧な年始のご挨拶をいただきありがとうございました
皆様にはお健やかに新年を迎えられたご様子 何よりと存じます
昨年○月に（故人続柄）が他界しましたため 年頭のご挨拶を控えさせていただきました
本来であれば欠礼のお知らせを差し上げるべきところ行き届かずに大変失礼しました
今年も変わらぬお付きあいのほど よろしくお願い申し上げます
令和○○年1月

喪中の相手に年賀状の代わりとして送る場合

相手からいただいた喪中ハガキの返信は出さなくても失礼にはなりませんが、寒中見舞いとして出すと丁寧です。

また、年賀状を出せなかった代わりに、相手を気遣う挨拶状としても寒中見舞いを送ることができます。

喪中の相手に、年賀状の代用として寒中見舞いを送る場合は、先述の通り「年賀」や「お慶び申し上げます」といったお祝いの言葉を使わないように注意してください。

主な文例：
寒中お見舞い申し上げます
服喪中のことと存じ 年始のご挨拶は遠慮させていただきましたが いかがお過ごしでしょうか
ご家族の皆様はお力を落としのことと存じますが お心を強くお持ちになってお過ごしください
寒い日が続きますので風邪など召されませぬようご自愛くださいませ
令和○○年1月

相手が喪中と知らずに年賀状を送ってしまった場合

年賀状を早い段階で投函した後に、喪中ハガキ（欠礼状）が届いてしまったということもあるでしょう。

そんな時は年賀状に加えて、松の内が明けてから寒中見舞いとしてご遺族の気持ちを気遣う文言と、知らなかったとはいえ年賀状を出してしまった失礼をお詫びする文章を添えます。

主な文例：
寒中お見舞い申し上げます
このたびはご服喪中と存じ上げなかったとはいえ 年始のご挨拶を差し上げてしまい 大変失礼いたしました
（故人続柄）様のご逝去を心よりお悔やみ申し上げます
まだまだ厳しい寒さが続きますので くれぐれもご自愛ください
令和○○年1月

お歳暮やお年賀の贈り物をいただいた場合

お歳暮のお礼状を出す前にお正月になってしまった時は、年賀状とは別に寒中見舞いでお礼を伝えます。

年賀状は、年始の挨拶のみに使う挨拶状ですので、お礼状は別で出します。

お歳暮やお年賀のお礼状は、品物を確かに受け取りましたという報告も兼ねていますので、お礼の挨拶が遅れたことを詫びる一文とともに、日頃お世話になっているお礼も伝えましょう。

主な文例：
寒中お伺い申し上げます
皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます
この度は素敵なお歳暮（またはお年賀）を頂戴いたしましてありがとうございます
お礼のご挨拶が遅れまして大変失礼いたしました
家族皆で美味しくいただきました
いつもながら細やかなお心遣いに恐縮するばかりです
寒い日が続きますので風邪など召されませぬようご自愛ください
令和○○年1月

お歳暮については、下記記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

終わりに

年賀状と比べると、寒中見舞いを送る機会はそれほど多くはないかもしれません。

それでも寒中見舞いは、年賀状の返信が遅くなってしまった場合のほか、喪中のところを年賀状をいただいたり送ってしまった場合などにお礼やお詫びとして送るという、多くの目的や役割があることがわかります。

また、お歳暮やお年賀の贈り物をいただいた場合の返礼状、お返しする場合の贈り物も寒中見舞いとして贈ることもできます。

状況やシーンによって用途が幅広い寒中見舞いのため、華やかさを避け、干支や松竹梅など年賀状をイメージする素材は使わず、季節を感じるモチーフを使うことが望ましいです。

また、送る相手によって文言も変わるため、同じ文面の寒中見舞いをたくさん作らないように注意する必要があります。

そして、年賀状や喪中といった事情は関係なく、暑中・残暑見舞いと同じく厳しい寒さを過ごしているであろう相手を気遣う挨拶状としても送ることができますので、この機会に寒中・余寒見舞いを送ってみてはいかがでしょうか。