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建国記念の日ができた由来や本来の意味とは?建国記念日との違いも解説

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ヨーロッパの古地図

2月にある国民の祝日、「建国記念の日」。

文字通り、日本という国ができたことをお祝いする日だとわかるものの、どういう意味なのか、どういった由来があり制定されたのか、まで具体的には知らない方も多いのではないでしょうか。

また、一度は聞いたことがあるだろう「建国記念日」とは、どのような違いがあるのでしょうか。

今回は、建国記念の日はどんな日なのか由来や意味、そして建国記念日との違いについても解説します。

詳しい成り立ちや注意点など、この祝日に対する理解を深められたら、日本という国ができたことに対する感謝の気持ちも出てくるでしょう。

他の年中行事・イベントについては、下記記事でまとめていますので併せてご参考ください。

建国記念の日の意味

建国記念の日は、国家の基礎が確立したことを祝う日として、1966年に制定された祝日の1つです。

国民の祝日に関する法律(祝日法)では、「建国をしのび、国を愛する心を養う」ことを趣旨としています。

日本国旗

建国の精神を守り伝えてきた先人の努力に、心からの敬意と感謝をするとともに、長年にわたる歴史の中で培われてきた文化や伝統を大切にしながら国の発展を期する、という意味です。

つまり、日本という国ができたことに思いを馳せて、国を大切に思う気持ちを育む日といえるでしょう。

建国記念の日は、毎年2月11日で固定されており、月曜日を祝日にしたハッピーマンデーの対象ではありません。

なぜ、建国記念の日が2月11日なのかは後述しますが、起源は明治時代に遡ります。

2月カレンダー

ハッピーマンデーについては、下記記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

建国記念の日ができた由来

建国記念の日は、もともとは「紀元節(きげんせつ)」と呼ばれる、昔の日本にあった祝日に由来しています。

明治時代には、日本の建国を祝う日として紀元節があり、初代天皇とされる神武天皇が即位した日です。

古事記や日本書紀によると、当時では旧暦で紀元前660年1月1日とされていました。

ちなみに神武天皇とは、日本に伝わる数々の伝説や神話に登場する人物で、天照大神の直系でありながら日本を建国したとされる伝承上の人物です。

日本神話によると、神武天皇が即位した時期に合わせて、奈良・橿原の地に橿原宮として都を開かれています。

橿原神宮

神武天皇が祀られているのが、1890年(明治23年)に建立された橿原神宮です。

橿原神宮には、神武天皇陵という周囲約100メートル、高さ5.5メートルの八稜円形墳が立つことから、橿原は日本の歴史と文化の発祥地でもあり、日本の原点ともいえるでしょう。

しかし、戦後の日本を占領していた、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の「天皇の宮中行事と国民行事を切り離す」という考えにより、1948年(昭和23年)に紀元節は一度廃止されます。

それでも国民の間で紀元節を復活させようという動きが高まり、国会でも審議を重ねた末に、改めて建国記念の日として定められたのです。

そして、旧暦の紀元前660年1月1日から、新暦に換算した2月11日を建国記念の日として、1966年(昭和41年)に制定されました。

神武天皇陵(橿原神宮)

建国記念の日と建国記念日の違い

今では、「建国記念の日」という名称で定着していますが、もう1つ「建国記念日」という名前があるのを聞いたり、間違えたりしたことはありませんか。

記念日ではなく、記念の日という名称がつけられているのには理由があります。

前の項で説明した通り、建国記念の日は、神武天皇の即位を祝う日「紀元節」が名称を変化させてできたものとされています。

しかし、建国記念の日を制定するにあたって、神武天皇が実在するかも定かではなく、日本という国がいつ建国されたのか、明確な資料はまだ見つかっていません。

日本の建国は、古事記や日本書紀の神話から伝えられたものです。

地球儀

アメリカの独立記念日やフランスの革命記念日のように、建国した日付がわかっている国とは異なり明確な日付がありません。

そんな日本の正確な建国日がわからない状態で、建国記念日として設定するのはどうかという意見が専門家からも挙がったわけです。

そこで、建国記念日ではなく、日本が建国されたことを祝う日として、建国記念の日という名前がつけられたとされています。

世界で見る建国記念日

前の項で、アメリカやフランスの建国記念日は日付がわかっていることを取り上げましたが、日本を除く世界では100ヵ国以上の独立国が建国記念日に相当する日をもっています。

建国記念日として、日付がはっきり決まっている国を一部紹介します。

アメリカ「独立記念日」

アメリカの建国記念日は、7月4日を「独立記念日」として制定されています。

1776年の大陸会議で、アメリカ独立宣言に署名された日であることが由来です。

独立記念日は「インデペンデンス・デイ」とも呼ばれ、当日を含む1週間はアメリカ各地で花火やコンサートなどのイベントで盛り上がります。

アメリカの独立記念日

フランス「革命記念日」

フランスの建国記念日は、7月14日で「革命記念日」と呼ばれます。

フランス革命の発端となった、1789年7月14日のバスティーユ牢獄襲撃と政治犯解放が由来です。

日本では「パリ祭」の呼称で知られ、当日はフランス各地で花火を打ち上げ、パリでは軍事パレードが行われます。

フランスの革命記念日

オーストラリア「オーストラリア・デー」

オーストラリアの建国記念日は1月26日で、「オーストラリア・デー」という名前で親しまれています。

当日は、オーストラリア全土で祭典が行われ、中でも一番最初に発見されたシドニーではフェリーレースが開催されたり、ハーバーブリッジからお祝いの花火が打ち上げられたり、賑やかになるそうです。

しかし、イギリスがオーストラリアを発見したこの日を「侵略の日」として捉える声もあり、当時のアボリジニへの迫害も指摘されたことから複雑な事情を抱えています。

ハンガリー「聖イシュトバーンの日」

ハンガリーの建国記念日は8月20日で、「聖イシュトバーンの日」と呼ばれています。

初代国王のイシュトバーン1世が西暦1000年頃に、キリスト教に改宗しローマ教皇から戴冠を受けてハンガリー王国が誕生した記念日です。

当日は首都ブダペストやドナウ川上で花火が打ち上げられ、さまざまな料理にパプリカが用いられるそうです。

ハンガリーの聖イシュトバーンの日

中国「国慶節」

中華人民共和国(中国)の建国記念日は、10月1日の「国慶節」となります。

1949年10月1日に天安門広場で、毛沢東が中華人民共和国の成立を宣言したことを記念したことがきっかけです。

中国では、国慶節を含む約1週間が大型連休となり、天安門広場で盛大なパレードが行われるほか、中国各地で花火を打ち上げたり爆竹を鳴らしたりします。

神奈川県の横浜中華街でも、慶祝パレードをはじめ、慶祝獅子舞が中華街全域を練り歩くなど華やかなイベントが行われます。

中国の国慶節

建国記念の日に行われる行事や過ごし方

建国記念の日には、どんな行事が行われるのか、何をするのか、どう過ごしたらいいのかわからない方もいるでしょう。

建国記念の日当日には、全国各地の神社仏閣で行われる奉祝式典が代表的です。

ここでは、建国記念の日に行われる行事やおすすめの過ごし方を解説します。

祭典に参加する

建国記念の日は、もともとは紀元節といい、初代天皇である神武天皇が即位した日です。

神武天皇は現在、奈良県の橿原神宮をはじめとする多くの神社で祀られています。

そのため、当日は多くの神社で祭典が行われ、中でも有名なのは縁結びの神様がいる出雲大社です。

出雲大社では、毎年2月11日に「建国記念の日祭」が行われ、参拝者にお餅などを振る舞うため、各地からたくさんの客が訪れます。

1年を通じて行われる神社の式典・祭典のうち、最も重要なお祭りは建国記念の日とされており、代表的な神社の式典を一部紹介しますので参考にしてください。

橿原神宮(奈良):紀元祭

出雲大社(島根):建国記念の日祭

明治神宮(東京):紀元祭

伊勢神宮(三重):建国記念祭

また、地方の神社でも式典・祭典が行われていることがあるため、地方広報誌や神社の公式サイトなどをチェックして参加してみるのもいいでしょう。

橿原神宮の鳥居

奉祝パレードを見る

1987年(昭和62年)に発足した「日本の建国を祝う会」では、東京の神宮外苑いちょう並木通りから原宿・表参道を通り、明治神宮前の五輪橋まで、奉祝パレードを行っています。

パレードでは、東京都立大の吹奏楽部をはじめ、ブラスバンドやチアリーディングチームなども参加する華々しい雰囲気のため、見にいかれる方は温かい服装をしていきましょう。

日本の建国を祝う会とは
日本の建国を祝う会は、前身である「建国記念の日奉祝会」と「奉祝運営委員会」が改組し、1987年(昭和62年)に発足した団体です。
当時は政府後援で首相参列の式典を開催してきたものの、その後は停滞していき政府主催の奉祝行事もなくなり、近年ではコンサートやパレードなど実施する独自の式典を開催しています。

神武天皇について調べる

建国記念の日には、これといった特別な行事はありません。

しかし、せっかく日本ができたことを祝う祝日のため、この機会に日本の初代天皇である神武天皇について調べてみるのはいかがでしょうか。

日本書記では、神武天皇の名前を「神日本磐余彦天皇(かみやまといはあれびこのすめらみこと)」と記されています。

神武天皇は、筑紫の日向で誕生し、数々の苦難を乗り越えながら東征を進め、辛酉元旦に大和の橿原の宮で即位した初代天皇とされています。

このように、「日本という国の成り立ちとは?」と、辿り続けると、神話の世界に繋がります。

改めて日本という国について考えてみるのも、建国記念の日ならではの過ごし方でしょう。

ちなみに、サッカー日本代表のエンブレムにもなっている3本足のカラスは「八咫烏(やたがらす)」がモチーフですが、八咫烏は神武天皇を奈良県の橿原まで導いた使いとされています。

八咫烏(やたがらす)と鳥居

終わりに

建国記念の日は、日本ができた日ではなく、日本という国ができたことをお祝いする日です。

当日である2月11日は、全国各地の神社仏閣で行われる式典が代表的ですが、中でも出雲大社や明治神宮、橿原神宮などでは大きな祝典が開催されますので、この機会に足を運んでみるのもいかがでしょうか。

以下の記事では、世界遺産が多くある奈良県の神社仏閣を紹介していますのでご参考ください。

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