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AISASの特徴や5段階行動とは?AIDMAとのマーケティングにおける違いも解説<英語のIT用語集・6>

2023年7月19日

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AISASの特徴や5段階行動とは?AIDMAとのマーケティングにおける違い

ここ数年でインターネットやSNSが発達し普及したことにより、消費者の購買行動は少しずつ変化しています。

ネット社会における消費者購買モデルとして認知され、企業や事業主が把握しておくべきAISAS。

古くから活用されてきたAIDMAと同じく、マーケティング戦略を考える際に役立つフレームワークです。

今回は、そんなAISASがなぜ今の時代に合った購買行動モデルとして注目を集めているのか、本質を理解し効果的な施策のイメージを紹介します。

AISASとは?

AISAS(アイサス)とは、消費者が商品・サービスの選定から契約・購入に至るまでの行動プロセスを段階分けしたもので、主にインターネット上での利用を想定した購買行動モデルです。

マーケティング理論の1つで、Attention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)の5つの頭文字からきており、「AISASの法則」と呼ばれることもあります。

AISAS消費の5段階ステップ

AISAS消費における5段階ステップ図

AISASは、5つのステップからなる購買行動モデルのひとつで、それぞれ以下のような行動を指します。

Attention:注意

ユーザーがテレビやインターネット広告、SNSなどのさまざまな媒体を通じて、商品・サービスの存在を知り、注目する段階です。

Interest:興味

ユーザーが商品・サービスを認識した後に、自分にとって意味がある、利用しやすい、役に立つかもしれないなどといったきっかけで関心をもつ段階です。

Search:検索

ユーザー(見込み顧客)が、興味を抱いたその商品・サービスをさらに知るため、使用感や価格、口コミ、他社商品などを検索エンジンやSNSなどで情報収集や比較検討をしながら理解を深める段階です。

Action:行動

ユーザー(見込み顧客)が比較検討などを経て、その商品・サービスが自分にとって必要である、価値があると判断した場合に申し込みや購入などの行動を起こす段階です。

Share:共有

ユーザー(利用客)が、契約や購入したその商品・サービスに期待以上の価値がある、満足度が高い、不満があるといった利用体験や感想をSNSや口コミサイトなどで共有し拡散する段階です。

ほとんどのユーザーが商品・サービスを購入する際には、自然と上記の流れを辿っています。

つまり、このAISASに沿った行動を無意識に行っているのです。

どれか1つのステップでも効果が薄いと、全体の影響が弱まってしまうため、各ステップの内容を把握しておきましょう。

AISASとAIDMAの違い

AIDMAにおける5段階ステップ図

AISASと似ている消費者の購買・利用行動モデルとして、AIDMA(アイドマ)があります。

何十年も前から活用されてきたAIDMAとはどのような意味をもつのか、AISASとどのような違いがあるのか解説します。

AIDMAとは

AIDMAは、100年以上前と古くからあり、消費者が商品やサービスを購入するまでの行動プロセスを表した購買行動モデルです。

1920年代に、アメリカのサミュエル・ローランド・ホールによって提唱された概念で、長い間マーケティングの法則として伝えられてきました。

AISASの元となったのが、このAIDMAの購買行動モデルであり、両方とも非常に近い構造をしています。

AIDMAは、Attention(注意)・Interest(興味)まではAISASと同じですが、そこから先は、Desire(欲求)・Memory(記憶)・Action(行動)と続きます。

AIDMAの購買行動

5つのステップからなるAIDMAの購買行動は、以下の通りです。

Attention(注意)

ユーザーがニュースや広告などの媒体を通じて、商品・サービスについて認識する

Interest(興味)

商品・サービスの存在を知ったユーザー(見込み顧客)が、興味や関心をもつ

Desire(欲求)

ユーザーが興味や関心をもった商品・サービスを手に入れたいという欲求をもつ

Memory(記憶)

日常生活の中で、ユーザーがその商品・サービスが欲しいという感情を思い出す

Action(行動)

ユーザーがその商品・サービスのキャンペーンなどをきっかけに契約や購入に踏み切る

基礎的なことは、先に説明したAISASと購買行動は変わりません。

しかし、AIDMAが提唱された当時にはなかった、インターネットやSNSなどを考慮した要素に違いがあります。

そのため、現代ではAISASを活用している企業も多く存在します。

購買モデルの変化に伴い、企業と消費者の関係も「企業から消費者」という一方向だったのが、「企業から消費者、そして企業」というインタラクティブ(双方向)な関係に変化しています。

2005年にAISASができるまでは、上記の5段階ステップを踏むことで商品・サービスの契約につなげていました。

これは昭和時代から平成時代初期にかけての購買行動モデルに合致しており、テレビや新聞、雑誌などのマスメディアを主流とする時代の流れを反映しています。

AISASはAIDMAの進化系モデル

前述の通り、AIDMAはテレビや新聞などのマスメディアを主流とした購買行動を表しています。

AIDMAが主流だった当時のマーケティングは、企業側が発信した情報をユーザー(見込み顧客)が受け取って判断を下す受け身で一方通行なやりとりでした。

しかし、2000年代に入ると、GoogleやAmazonなどが日本に参入し、家庭向け光回線サービスの登場も相まってインターネットが普及していき、消費者の行動が変容していきます。

その後にはmixiなどのSNSが流行し、こうした背景により、消費者は商品・サービスを購入する前に「調べる」ことができるようになりました。

特に高額な商品を購入する時には、失敗を回避したい心理が働くため、他社メーカーの類似商品などを比較しながら購入するようになります。

今まで企業から一方的に情報を受け取っていた消費者が、自らの判断で商品・サービスの情報を「検索」したり、購入後の価値や満足度といった評価を「共有」するようになったのです。

消費者の行動が購入までのアクションで終わることなく、個人的な意見や感想などの評価・口コミを発信することが加わったのがもっとも大きな変化だといえます。

まとめ

具体的にまとめると、AIDMAはインターネットがない時代の購買行動モデルのため、関心をもってから欲しいと思ってもらい、さらに店舗に出向いて購入するまで覚えている、店頭で思い起こすという行動が組み込まれています。

一方のAISASは、インターネット社会での購買行動として検索・調査や共有・拡散という新しい行動を取り入れつつ、行動についてもネットでの購入や申し込みといったワンクリックでの手軽さを反映した形になっています。

改めてAISASを簡潔にいうと、インターネットの普及と時代に合わせて進化していった消費者の購買行動モデルということになるでしょう。

なお、現代でもすべての商品・サービスにおいてAIDMAが通用しないわけではありません。

例えば、日用品や消耗品などを購入後にSNSなどで共有されることは考えにくく、従来の実店舗の展開で販売する商品・サービスは、現在もAIDMAが向いているといえます。

AISASを使ったマーケティングの事例

AISASを使ったマーケティングの事例として、スターバックスの戦略を見てみましょう。

スターバックスは、1971年にアメリカシアトルで開業したコーヒーショップで、いまや世界規模で店舗を構えるチェーン店です。

スターバックスの戦略は、「Share(共有)」を上手く活用し、消費者が自らプロモーションを行うような仕組みづくりになっています。

Attention(注意)

スターバックスはSNSによる情報発信が特徴で、Twitterのフォロワー数は約520万人、Instagramは約320万人です。

新商品情報を投稿・発信すると、自然と情報が拡散されていくためファンの手による集客力を得ている形となっています。

SNSに軸を置いているため、新作を発売する際の広告費をかけなくても、商品の認知拡大を図れる体制ができています。

そういえば、タリーズのCMは時々目にするものの、スターバックスのCMは見かけたことがありませんね。

Interest(興味)

スターバックスは季節ごとの新商品やおしゃれなメニューを打ち出し、消費者に興味をもってもらえるための工夫を施しています。

TwitterやInstagramに映える、写真を撮りたくなるようなメニューの考案や開発を行うことで常に話題性を生み出しています。

公式サイトのツイートや投稿を見た消費者の多くは、投稿された商品や内容に興味をもちます。

その一部では、公式のツイートを感想付きで引用ツイートしたり、購入した商品を写真付きでSNSに投稿したりします。

そして、その投稿を見た別の消費者が興味を抱く仕組みができます。

Search(検索)

スターバックスの商品は、上記Interest(興味)で感想を述べたり写真を撮ったりして発信したくなる特徴をもつため、SNSに写真や感想が投稿される機会が多くなります。

ワード検索やハッシュタグ検索を行えば、たくさんの情報を収集できる仕組みがあります。

興味をもった消費者は、インターネットやSNSなどを利用して商品の情報・口コミの検索を行います。

写真映えする外観やスタイルをもつスターバックスでは、InstagramやTwitterで投稿されることが多くあり、スターバックスの消費者は「#(ハッシュタグ)」から検索したり、Twitterなどのワード検索で「スタバ 新作」などを入力して調べたりします。

Action(行動)

スターバックスは、季節限定や新作で写真映えをするメニューを販売するため、常に来店したくなる仕組みになっています。

店内はWi-Fi完備でコンセントもあるため、店内で商品を味わいながら楽しんだり、店内から感想や写真を添えてSNS発信することもできます。

その評判や口コミを見た消費者はさらに興味をかき立てられ、実際に店舗に足を運び、購入する行動を起こします。

新作商品のリリースがアナウンスされてから、スターバックスに行列ができるのは、もはや一種の季節行事とも言えるでしょう。

Share(共有)

スターバックスは、新作を飲んだ、おしゃれな店内で過ごしたなどといった、SNSに投稿しやすい要素が多いです。

消費者がSNSを使用する割合も高いため、新作のレビューを見て店舗に訪れる新規の顧客が出てくる流れができます。

自然と新たな顧客を獲得できる仕組みが確立されているのです。

スターバックスは、商品も店内も写真映えするため、SNSで共有されやすい傾向があります。

AISASの「Share」が非常に強く、この効果により広告費をほとんどかけずに集客することができています。

上記をまとめると、スターバックスは新作のフラペチーノともなると600~700円ほど高価ですが、学生から大人まで幅広い年齢層の顧客を確保しています。

特に女性は、TwitterやInstagramに投稿をするため、文字や画像による情報が共有・拡散されやすい状況を作り出します。

とはいえ、いくらスターバックスでも直接情報を届けたくても届かないユーザー層もいるでしょう。

それでもスターバックスを訪れた顧客や新作を飲んだ消費者が、感想や写真を添えてSNS投稿によるShare(共有)をしてくれるため、消費者が新たな消費者を呼ぶ広告塔となっています。

スターバックスの事例を見てわかることは、広告費を極力かけずにここまで売り上げを拡大できているのは、消費者の中でも多くのファン層を獲得できているからでしょう。

実店舗に訪れたことや商品を味わったことを日常的にSNS投稿するファンやリピーターは、自分が広告塔になっていることに気づいていません。

つまり、スターバックスは消費者との関係性ができていて、お互いを知らなくても相互の信頼関係があってこそ成立しているといえるでしょう。

終わりに

消費者の購買行動は、テレビや新聞のマスメディアからインターネットやSNSへの移り変わりにより複雑化し、時代の流れに合わせて変化を遂げています。

その心理的・行動的変化のヒントとなるのが、AISASをはじめとする購買行動モデルです。

しかし、どの時代でも消費者や見込み顧客に寄り添い、ニーズを満たすことができる企業が飛躍していることに変わりはありません。

購買行動モデルにはそれぞれの特徴があるため、まずは自商品・サービスの特徴や強みを生かしながら、自身が行いたい、または商品サービスに適したマーケティング戦略を見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。

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