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Webサイト制作を進める上で必要な要件定義とは?

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Webサイトの制作やリニューアルに向けた「要件定義」は、プロジェクトを円滑に進める上で重要な役割を担っています。

ただ、Web制作・リニューアルの作業に慣れていない方は、要件定義の意味や重要性がわからない、関係者間での要件定義が決められないなどといった疑問が出てくるのではないでしょうか。

そこで今回は、Webサイト制作・リニューアルに向けて要件定義が必要な理由と要件定義の流れ、要件定義書に記載すべき項目について解説します。

要件定義とは

要件定義は、大まかにいうとどんなページが必要か、どんな機能が必要かという骨組みを決めていきます。

例えば、Webサイトをリニューアルする場合には、何のためにリニューアルするのか、誰にどうなってほしくて、何をどのように見せるサイトにしたいのか、いつ頃までにリリースしたいのかなどを決めます。
これらを取りまとめることで Web担当部署と発注側の社内関連部署、制作会社など外注側との認識を一致させる目的があります。

そのため、この段階で決まったことを後から変更することならないようにしっかりまとめておきます。

また、要件を決めてみたら当初の見積もりより費用が増えてしまったということもありますので注意が必要です。

要件定義を行う手順

1.ヒアリング・課題整理

Webサイト制作における主な課題には、運用体制といった内部マターと、市場や競合他社の状況と言った外部マターがあります。

Web制作時の要件定義では、まず、現在におけるWebサイトの課題を把握する必要があります。
そのために必要な作業は、社内の責任者や各関係部署、さらには可能であれば買い手となったユーザーへのヒアリング、Webサイトのデータ分析、競合他社の状況との比較などがあります。
そこから課題となる点を拾い出します。

2.仮説立案

仮説立案は課題整理の仕上げとして、課題から仮説を立ててリニューアルの方向性を検討します。

Webサイトを訪れるユーザーのペルソナとWebサイトでの導線を想定し、コンバージョン(Webサイトの目的)の達成につなげるシナリオを検討する作業が必要です。

例えば、サービス紹介でどれが最適なプランなのかわかりにくいという課題に対して、「具体的なメリットを示せていないのではないか」「使用事例が少ないからではないか」という仮説を立てます。

こうした仮説を元に、メリットを率直に伝えるデザインや表現に変更する、プラン選びの参考になる事例も設定するといった、具体的なリニューアルの方向性を見出しやすくなります。

他にもユーザー導線の想定を元に例えた場合、お問い合わせや申し込み、購入、会員登録などへの導線を改善したり、UI/UXを改善したりするなどがあります。
そうすることで、Webサイトを制作・リニューアルする際の方向性や、実施すべき内容の仮説を立てます。

3.合意形成を図る

仮説立案ができたら、現状の課題やサイト制作・リニューアルの目的を関係者間で共有やすり合わせを行い、合意形成を図ります。

Webサイトのコンセプトや方向性、内部SEOといった集客に繋げる戦略、お問い合わせへの導線を改善するといったUI/UX施策、インフラ環境やシステム機能要件などを決定した後は社内の各関係部署や責任者の承認を獲得する流れが一般的です。
つまり、Webサイト制作・リニューアルに着手する前に、制作に関わる全員の合意を形成する必要があります。

Webサイト制作・リニューアルによって期待できる効果なども説明し、メンバー全員で共通認識を持つことが重要です。
相互理解を深めることで、制作・開発フェーズで再検討が発生するリスクを減らします。

4.要件定義書の作成

Webサイト制作の要件定義全体をまとめたら、具体的な内容を制作会社など外注先と相談しながら細かく決めていき、その内容で要件定義書を作成します。
要件定義書は、発注側で作成する場合と、外注側に作成を依頼する場合があります。

要件定義書の書式は一般的にWordやPowerPointなどさまざまで、以下の項目は網羅するようにしましょう。
プロジェクト始動後の設計や制作工程で迷いが生じた場合に、指針として見直せる内容にすることが重要です。

・Webサイト制作・リニューアルの背景と目的
・Webサイトの目標達成のための指標
・Webサイトのターゲットやコンセプト
・目標達成に向けた施策や条件、方針
・Webサイトのリリース予定日
・Webサイトの制作スケジュール

Webサイト制作において要件定義書に記載すべき内容

Webサイト制作の要件定義書に記載すべき内容、主に「基本要件」「システム要件」「機能要件」の3つに分類されます。

1.基本要件

基本要件には、Webサイトを制作・リニューアルする目的や公開後の運用方法、プロジェクト体制と進行方法、制作から公開までのスケジュール、Webサイトに掲載するコンテンツ、ブラウザサポートなどを記載します。

2.システム要件

システム要件では、WebサイトのURLやWebサイトにどのサーバーを使用するか、CMSやプログラム開発言語は何を使用するか、SSLの種類などWebサイトのシステムに関連する要件を記載します。
他には、Googleアナリティクス・GoogleサーチコンソールのIDなどもあった方がいいでしょう。

3.機能要件

機能要件とは、UI/UX改善策に基づき、Webサイト全体や各ページにどのような機能や画面デザインをもたせるか、その条件をいいます。
例えば、ページ内でSNSにシェアする機能がある場合、シェアボタンやOGP機能(SNS上にページタイトルや本文・画像などのコンテンツを表示させる機能)の設定、投稿コンテンツがある場合は投稿ボタンが必要です。
また、ページの表示速度やモバイル端末やOS・Webブラウザへの対応、機能一覧・詳細についても機能要件に記載しておく必要があります。

4.タスク

Webサイト制作の工程で実施すべきタスクとスケジュールも要件定義書に記載する必要があります。
コンテンツ制作の場合はライター、編集者、デザイナーなど、システム開発にはエンジニアなどが担うタスクがそれぞれ存在し、それらを統括するWebディレクターのタスクもあります。
プロジェクト進行が順調か、それとも遅れが生じているのかを把握するために、タスクとスケジュールの詳細を要件定義書に記載しておきましょう。

要件定義のポイント12項目

サイトリニューアルを成功させるための要件定義は、下記12項目のチェックポイントがあります。

1.プロジェクトの概要

リニューアルの目的を明記しているか
リニューアルで実装する機能やスケジュールを明記しているか

2.サイトリニューアルの目的

リニューアル前の課題を記しているか
リニューアルの目的や目指す効果を明確にしているか

3.Webサイトのコンセプト

ターゲット、ペルソナは誰が対象か
ターゲットに伝えたい内容やメッセージをまとめているか

4.プロジェクトの体制

プロジェクトに参加するメンバーの情報をまとめているか
ミーティングなどを行う日を決めているか

5.Webサイト制作の費用・予算

Webサイト制作・リニューアルにかかる費用を確認できているか
Webサイト制作・リニューアルの予算を明記しているか

6.サイトリニューアルのスケジュール

リニューアル公開日時の詳細を明記しているか
公開までの工程は調整できているか

7.Webサイトの構成

サイトの構造をまとめているか
ページ構成をあらかじめ構想しているか

8.Webサイトに実装する機能

リニューアルで実装する機能をまとめているか

9.Webサイトの環境

開発言語は何にするか、どのようなソフトウェアを導入するか
元のサイト環境を明記しているか

10.インフラ環境

サーバーは何を、どこのを使うか
ドメインは維持するか、変更するか

11.セキュリティ要件

セキュリティ環境のレベルは?

12.Webサイトの運用方針

リニューアル後は誰がどのように運用するか
保守運用を外注する場合はどの範囲まで依頼するか

要件定義は、サイトリニューアルを成功させるために不可欠なものです。

上記で紹介した要件定義のポイントを押さえ、現状の課題を解決できるリニューアルを目指しましょう。

専門的な内容で判断が難しい部分に関しては、システム担当や制作担当、制作会社などに相談するのがおすすめです。

要件定義を固めて手戻りのないサイト制作を目指す

要件定義は新規サイト制作やリニューアルの際に、制作の方向性を指し示し続ける重要な役割をもっています。

手戻りのないサイト制作を実現するためにも、要件定義の際に関係各所への要望、課題のヒアリングを欠かさないようにしましょう。
また制作会社への依頼の前には提案依頼書(RFP)の作成を行うと、課題やWebサイトのターゲットの整理に役立ちます。

終わりに

以上で、サイト制作・リニューアルに向けて要件定義が必要な理由と流れ、要件定義書に記載すべき項目について紹介しました。

記事で取り上げたのはサイトリニューアルを例にしましたが、新規でWebサイトを制作する場合も同じ要領で進めることになります。

ただこのケースはあくまで一例です。
これが正解というものでもありませんが、スムーズにいける理想的な流れとして頭に入れておくと良いでしょう。
この通りに進まないことももちろんありますし、各種情報コンテンツや写真・イラスト素材が揃わない場合も出てくるため、外注先と相談しながら進めていきたいものです。

Webサイト制作を進めていく上でどんな工程があり、いつどんな情報が必要となるのかイメージがつけば幸いです。

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