
ここ近年、アルファベットのWeb用語を目にしたり耳にしたりする機会が増えてきたような気がします。
特に英語4文字の用語が目立ち、例をいくつか挙げるとキリがないのですが、その4文字ある英単語は何なのだろうか。
どういう意味でどんな目的や働きがあるのか、これからどう意識したらいいのか、紛らわしいという方も多いのではないでしょうか。
今回は、紛らわしい英単語4文字の用語を数回に分けて紹介します。
2回目は、Googleの品質評価ガイドラインに関わるWebサイトの評価基準「E-E-A-T」です。
E-E-A-T(旧E-A-T)とは?
E-E-A-Tとは、「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の頭文字からなる略称で、Googleが独自に定めた良質なWebサイトを評価する基準のことです。
読み方は「ダブルイーエーティー」「イーイーエーティー」で、前身の「E-A-T(イーエーティー)」に、経験の「E」が追加されたものです。
E:Experience(経験)
E:Expertise(専門性)
A:Authoritativeness(権威性)
T:Trustworthiness(信頼性)
E-E-A-Tを考慮してWebサイトの品質を高めれば、SEOの良い効果が期待できるわけです。
つまり、E-E-A-Tを考慮しなければ、Webサイトの品質が上がらないという意味を指します。
具体的にいうと、特定のトピックやテーマを網羅して明確な文章が書けていなかったり、関連ページの作成や関連ページ同士の相互リンク(内部リンク)、SNSなどの外部サービスを通じたWebサイトのPR・宣伝が疎かになることが挙げられます。
そうなると、ユーザーにより役立つ情報コンテンツが提供できなかったり、被リンクの獲得が促進できません。
結果、Googleに評価されづらくなるので、検索順位が上がりづらくなるということです。
こうした良くない状況を回避するために、Googleの検索品質評価ガイドラインで定義されているE-E-A-Tを考慮してWebサイトの品質を高めましょう。
E-E-A-Tに見る4つの評価要素
検索アルゴリズムが進化していく中で、Webサイトの品質を正しく評価するためにGoogleは以下4つの評価基準を重要視しており、SEOでも重要な考え方となっています。

経験(Experience)
E-E-A-Tの「経験(Experience)」とは、コンテンツの作成者や運営者がもつ必要な実体験や人生経験のことです。
例えば、SEOに携わって1ヶ月のSEO初心者の人がいるとした場合、このSEO初心者が作ったSEOのコンテンツはSEOについての経験や体験の量が少ないので、信頼されにくいです。
一方、SEOに携わって15年のSEO上級者の人がいるとした場合、このSEO上級者の人が作ったSEOのコンテンツはSEOについての経験や体験の量が多いので、信頼されやすいことになります。
こうした考え方が、E-E-A-Tの「経験・体験」(Experience)にあたります。
Webページで述べる内容やトピックに対して、実際に経験や体験をしたタイムリーな情報は、経験としての評価だけでなく、読者にとっても価値のある有益な情報となります。
専門性(Expertise)
E-E-A-Tの専門性(Expertise)とは、コンテンツの作成者や運営者がもつ必要な知識や技術(スキル)のことです。
例えば、服飾の知識があまりない関連グッズ愛好家の人がいるとした場合、その人が作った服飾ハンドメイドのコンテンツは、服飾に関する知識や技術の量が少ないので、信頼されにくいです。
一方、服づくりに関わって15年の服飾作家の人がいるとした場合、その人が作った服飾ハンドメイドのコンテンツは、服飾に関する知識や技術の量が多いので、信頼されやすいということになります。
こうした考え方が、E-E-A-Tの「専門性」(Expertise)にあたります。
Webページで展開する内容やトピックが詳細かつ専門的に述べられていて、読者や検索ユーザーにとっても価値を得られる情報となります。
また、さまざまなテーマやカテゴリが含まれているサイトよりは、1つのテーマに特化して構築するサイトの方がより専門性の評価を確立することにつながります。
権威性(Authoritativeness)
E-E-A-Tの権威性(Authoritativeness)とは、コンテンツの作成者や運営者、そしてWebサイトがもつ有力な情報源に対する認知度のことです。
例えば、ゴルフを始めて半年の人が立ち上げたばかりで10本程度の記事しかないゴルフ関連サイトがあるとした場合、その人やそのWebサイトはゴルフに関する情報源としての認知度が低いので、信頼されにくいです。
一方、ゴルフダイジェストやゴルフ場サイトなどゴルフ好きなら知っている人が多い有名なサイトがあります。
これらのWebサイトは、ゴルフの情報源として認知度が高いので、信頼されやすいということになります。
こうした考え方が、E-E-A-Tの「権威性」(Authoritativeness)にあたります。
コンテンツが高品質で価値のある内容やトピックであることが、他のサイトやSNSなどの第三者が評価しているか、Googleも含めて著者や運営者の情報を特定できるかということも権威性への評価となります。
信頼性(Trustworthiness)
E-E-A-Tの信頼性(Trustworthiness)とは、WebサイトやWebページの正確性や信頼性、安全性のことです。
例えば、誇張した文言でユーザーを欺くような表現の情報を記載している、商品を売るためだけに作成された非SSL接続(HTTP通信)のページがあるとします。
このページは、正確性や誠実性、安全性が低いので、信頼されにくいです。
一方、誠意ある正しい表現を使い、私利私欲を交えずに真心をもって作成したSSL接続(HTTPS通信)のページがあるとします。
このページは、正確性や誠実性、安全性が高いので、信頼されやすいということになります。
こうした考え方が、E-E-A-Tの「信頼性」(Trustworthiness)にあたります。
そのコンテンツの運営者がどこの誰なのか、信頼に足る企業や人物により運営されているかという点、Webサイト上でフォーム送信や決済を行う場合に個人情報が保護され安全であるかが評価基準となります。
そのようにプライバシーポリシーや規約など、利用者に対する責任や安全性の情報も公開していることで、読者にもGoogleにも信頼性のある評価となります。
意味合いとしては大きな変化はありませんが、E-E-A-Tの「信頼性」は、先に述べた「経験」「専門性」「権威性」の3つの概念によってサポートされています。
E-E-A-TとYMYLの関係
E-E-A-Tを理解する上で、「YMYL」の意味も正しく理解しておく必要があります。
E-E-A-TとYMYLは、深く関わりをもっており、Googleが言及しています。
Googleのシステムでは、人の健康や安全、経済的安定、社会の福利厚生に大きく影響する可能性のあるトピックについては、E-A-Tが優れたコンテンツを特に重視します。
Google はこうしたトピックを「Your Money or Your Life」、または略して YMYL と呼びます。
このことから、YMYLのトピックはE-E-A-Tがより重視されるので、YMYLとE-E-A-Tは密接な繋がりがあります。
YMYLとは
YMYLとは、「Your Money or Your Life」の頭文字を取った略称で、直訳すると「あなたのお金、あなたの人生」という意味です。
このYMYLはSEOにおいて、人の生活や人生に大きく影響するジャンルを扱うWebページのことを指します。
YMYLについてさらに知りたい
E-E-A-Tが重要な理由
E-E-A-Tが重要な理由は、間接的なSEO効果が期待できるからだと、Google公式が言及しています。
E-A-T自体はランキングに直接影響する要因ではありませんが、E-A-Tが優れているコンテンツによく見られる要素の組み合わせを使用することは有効です。
このことから、E-E-A-Tが優れているコンテンツの傾向を踏襲したコンテンツにすれば、良いSEO効果が期待できます。
間接的なSEO効果によって検索順位が上がりやすくなるので、E-E-A-Tが重要というわけです。
E-E-A-T評価を上げるための施策ポイント
Webサイトの信頼性を上げることは、SEOにおいて非常に重要ですが、対策をしてすぐに効果が得られるようなものではありません。
E-E-A-Tの概念や考え方を理解した上で、その方向に沿ったWebサイトの運用を行い、時間をかけて評価を上げていくことになります。
先に述べた4つの評価要素を踏まえ、E-E-A-T評価の確立につながる以下の施策を意識してください。
Webサイトを専門カテゴリやジャンルに特化させる
Webサイトには基本的にカテゴリが存在します。
何の情報やテーマについて書かれ掲載されているサイトなのかは非常に重要です。
1つのサイトの中に、統一性なく幅広いカテゴリが混在することは、専門性をぼやけることになるため、できるだけジャンルは特化させて明確に絞った方が良いです。
例えば不動産情報と美容情報を得意ジャンルとしているサイト運営者は、どちらも専門的な記事を書くことはできますが、同じドメイン内に2つのカテゴリを共存させるよりは、不動産専門情報サイトと美容情報サイトと、それぞれ個別に運用する方が「専門性」を確立でき、SEO評価を効果的に得やすくなります。
WebサイトをSSL化(HTTPS化)する
GoogleはWebサイトのランキング要因として、ユーザー体験(UX)を向上させるための項目を挙げており、その中でHTTPS化も推奨しています。
決済情報を扱うECサイトはもちろん、あなたのWebサイトが、問い合わせや資料ダウンロードなどで個人情報を扱う場合は広い意味でYMYL領域として扱われ、その安全性を確保しなければいけません。
SSL化でブラウザとサーバー間の通信を暗号化することで、Webサイトの「信頼性」を高め、UXを向上させることができます。
Webサイト運営者やコンテンツの著者情報を明記する
Webサイトの信頼を確立させるために、企業情報や運営者情報、コンテンツの著者情報を明記し、その内容を充実させることで検索エンジンの目線だけでなくそのページを閲覧する読者に対しても「信頼性」の高い情報を提供することになります。
検索エンジンは、同じ情報であってもその情報は誰が言っているのか?を重要視しており、運営者情報はそれが信頼できる人によるものかどうかを知る手がかりとなります。
繰り返しになりますが、信頼の評価は、経験や専門性、権威性が十分に示されていることが重要ですので、透明な情報開示だけが信頼性の担保につながるわけではないことを十分に理解しておくと良いでしょう。
専門的な記事を作成し、一次情報を公開する
いくらE-E-A-Tの評価を上げるための運用を行っていても、コンテンツに専門性が欠けていてはSEO評価は上がりません。
專門コンテンツを作成することはSEOの基本のため、ありふれた情報ではなく専門家だからこそ伝えられる価値の高い情報を持つ高品質なコンテンツを提供した方が良いです。
そのためには、具体的な経験に基づく内容や分析したデータなどの一次情報を提供し、「専門性」を持つ価値の高いコンテンツが必要です。
例えば専門性のあるコンテンツを展開するための対策の1つとして、オリジナルの図や表データを活用する手法もあります。
オリジナルで作られた図表は、専門性を高める1つの情報として価値があります。
文章だけでなく図を併用して解説することで、読者に対しても理解しやすいコンテンツとなり、検索エンジンからも品質の高いサイトとして評価されることに繋がります。
また、良質なコンテンツとして認められた時には、Google画像検索にもインデックスされるでしょう。
SNSを幅広く活用してサイテーションを獲得する
自身のWebサイトや新規で公開したページは、SNSで広く拡散するようにしましょう。
SNSアカウント自体も運営者や著者のブランディングを向上させ、知名度アップにつながり「権威性」の向上に役立ちます。
また、第三者から言及されるサイテーション効果や、被リンクを増やす効果にも繋がります。
サイテーションとは
サイテーションとは「言及、引用」といった意味の言葉です。
自サイトの社名や店舗名、ブランド名、サービス名、住所といった特定の固有情報やその関連情報が、インターネット上で記載されている状態を言います。
サイテーションは、あくまで文字情報としてそのビジネスが言及されている状態であり、リンクを伴う必要はありません。
記事を常に最新情報にメンテナンスする
コンテンツを作成・公開してから、長期間メンテナンスをしないのは、E-E-A-Tを意識する上でリスクにもなります。
検索エンジンは、テーマやトピックに対する検索意図を常にアップデートし、読者にとって必要な情報を伝えているページを評価します。
公開済みのページも常に最新の情報にメンテナンスをしておくことで、情報の「信頼性」を高めることができます。
ページの公開日や更新日をコンテンツに記載しておくことも、読者と検索エンジン両方に対して情報の信頼性を確立するために有効です。
実務経験や専門的体験に基づく情報を追加する
E-E-A-Tとして、新しく「経験」が評価要素として追加されたため、経験に基づく情報がさらに価値を高めます。
実際に経験・体験しないとわからないリアルな情報を提供することで、検索エンジンからの評価だけでなく、読者にとっても価値ある生きた情報が伝えられます。
これは、E-E-A-Tに「経験」が追加されたからといって新たに必要になったものではなく、高品質で価値あるコンテンツにおいて当たり前に必要な情報です。
終わりに
以上で、Googleの評価におけるE-E-A-Tについて紹介しました。
Webサイトのコンテンツ品質によってGoogleに求められるものが異なるので、それを考慮して対策を進める必要があります。
具体的にはより情報の正確さを重視して、信頼性の高いコンテンツを提供することが重要です。