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赤目四十八滝の特徴や注意点とは?渓谷の清らかな流れと深い森で自然の力を浴びる

2023年7月2日

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赤目四十八滝の清らかな流れと深い緑で自然のパワーをもらおう

三重県の名張市にある忍者修行の里、赤目四十八滝。

読み方は「あかめしじゅうはちたき」といい、伊賀と大和の国境を流れる滝川に連なる、自然が織り成す造形美に心が洗われる場所です。

特別天然記念物のオオサンショウウオが生息する赤目渓谷の清流は、貴重な植物が自生し、大小さまざまな滝や奇岩、樹木などが調和した素晴らしい景観を育んでいます。

そのため、ハイキングやトレッキングの際には、入山規制や動植物の捕獲・採取禁止などの注意点もあります。

今回は、赤目四十八滝の特徴から名前の由来・意味、ハイキングにおける注意点を解説します。

最後には、赤目五瀑や見どころのある滝、他の景観ポイントも紹介していますので、渓谷や森を散策したい方のご参考になれば幸いです。

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赤目四十八滝とは

光が射し込んだ赤目四十八滝の透明な水と森

赤目四十八滝(あかめしじゅうはちたき)は、伊賀と大和の国境を流れる滝川の渓谷にある一連の滝を総称し、その長さは約4キロにもおよびます。

滝川の清らかな流れと深い森がつくる深山幽谷は、平成の名水百選、日本の滝百選、森林浴の森百選、そして遊歩百選にも選ばれ、ハイキングや森林浴など自然を楽しめます。

日本に数多く存在する四十八滝の1つでもあり、赤目の壮観な渓谷には滝をつなぐ遊歩道が整備されており、往復約3時間のトレイルができます。

また、長坂山へ向かうトレッキングルートもあり、赤目渓谷を一望できます。

赤目の由来

目の神様とされる延寿院の赤目牛

地名の「赤目」は、役行者がこの地にきた祈りとして滝に向かって行を修めていると、不動明王が牛に乗って出現したという言い伝えからきています。

その牛が赤い目をしていたことから、この地に「赤目」と名づけたことが始まりです。

他にも諸説ありますが、不道明王を祀った不動院で、当時の藤堂藩主だった高次の眼病が赤目不動尊の宝剣で完治したことにより、藤堂藩の祈願寺として保護されました。

入山口にある延寿院は、目の神様と知られており、渓谷の入り口から数分ほど奥にある「赤目牛」の置物を撫でるとご利益があるとされています。

四十八滝の意味

赤目四十八滝には転石も

滝を表す「四十八滝」は、日本の滝群につけられる名称で、特定の地域に複数の滝がある場合に名づけられていることが一般的です。

その由来は、「いろは歌48音」に合わせて選んでいるもの、仏教で「阿弥陀如来が立てた48願」にちなんだものとさまざまですが、実数として48とは限らず、単に非常に多い、たくさんあるという意味合いで呼ばれたものであるという説があります。

赤目四十八滝は、約4キロの道のりに、大小さまざまな滝が名のついているものだけで22滝(滝壺を含めると23滝)あります。

筆者は当初、赤目四十八滝の名前からして、48もの滝があるのかと勘違いしたため、頭に入れておきましょう。

赤目四十八滝への行き方

赤目四十八滝へ向かう近鉄線

住所

三重県名張市赤目町長坂671-1

交通アクセス

近鉄特急「大阪」駅より「大和八木」駅で近鉄大阪線に乗り換え、「赤目口」駅(約55分)より三重交通の路線バス(赤目滝行き)で「赤目滝」(10分)下車すぐ

近鉄特急「京都」駅より「大和八木」駅で近鉄大阪線に乗り換え、「赤目口」駅(約90分)より三重交通の路線バス(赤目滝行き)で「赤目滝」(10分)下車すぐ

入山料

大人1000円、子供500円(中学生まで)

赤目四十八滝の特徴と散策コース

赤目四十八滝の深い緑に覆われた景観

赤目四十八滝の渓谷入口から遊歩道を歩き進めていくと、渓流が岩に当たって飛沫を散らす時に大量のマイナスイオンを放出するため、心身を癒してくれます。

また、森の中へ一歩足を踏み入れると、独特の香りが漂い、見えない力を受けているような錯覚に陥ります。

木々が放つ森の精気が、人の身体に潜む病原菌に効力があるといわれているのはあながち噓ではないと感じることができます。

ほとんど人が入ってこないような奥深く静かな大自然の中で、渓谷に織り成す樹木、渓流や滝などが映し出す優雅な色彩と音。

自然の空気を全身に感じながら、トレッキングを楽しむのはいかがでしょうか。

赤目四十八滝の観光コース

赤目四十八滝の案内図

赤目四十八滝の散策コースは、ゆったり散策コース・渓谷ハイキングコース・長坂山トレッキングコースの3種類があります。

ゆったり散策コース(渓谷入口~布曳滝)

渓谷入口から布曳滝までは、比較的整備された遊歩道となっており、距離0.9㎞・所要時間23分で散策できます。

渓谷ハイキングコース(渓谷入口~岩窟滝)

渓谷入口から岩窟滝まですべての滝を巡るルートで、距離3.3㎞・所要時間90分です。

中間地点からは、自然に近い山道となり足場も不安定になるため、靴底が厚めのスニーカーを履くといいでしょう。

筆者は、この渓谷ハイキングコースをトレイルしましたが、1つ1つ表情の違う滝を見ていくと時間がすぐに経ってしまいます。

渓谷ハイキングコースは往復約3時間とありますが、撮影した写真データを確認すると約5時間とじっくり時間をかけて散策していました。

長坂山トレッキングコース(渓谷入口~百畳岩~長坂山下山口)

赤目四十八滝の遊歩道を歩くこと約50分で長坂山入山口とある分岐点があり、トレッキングスタートになります。

渓谷入口からゴールの長坂山下山口までは距離5.1㎞・所要時間170分、帰りの赤目バス停までは徒歩10分です。

コースの詳細については、赤目四十八滝の公式サイトをご参考ください。

赤目四十八滝の景観ポイント

渓流の流れに沿って、両側に岩があれば、必ず滝が複数あります。

赤目四十八滝の景観ポイントとして、名前がついている滝は計23ヶ所(滝壺含む)、岩壁は3ヶ所です。

ここでは、赤目四十八滝の滝・岩などの各ポイントと徒歩での所要時間を紹介します。


  • 渓谷入口

    行者滝(ぎょうじゃだき)
    銚子滝(ちょうしだき)
    霊蛇滝(れいじゃだき)

    ↓<230m・6分>


  • 不動滝(ふどうだき)※赤目五瀑

    乙女滝(おとめだき)
    大日滝(だいにちだき)
    八畳岩(はちじょういわ)

    ↓<570m・14分>


  • 千手滝(せんじゅだき)※赤目五瀑

    ↓<100m・3分>

  • 布曳滝(ぬのびきだき)※赤目五瀑

    竜ヶ壺(りゅうがつぼ)
    縋藤滝(すがりふじだき)
    陰陽滝(いんようだき)

    ↓<930m・27分>

  • 長坂山入山口

    百畳岩(ひゃくじょういわ)
    七色岩(なないろいわ)
    姉妹滝(しまいだき)
    柿窪滝(かきくぼだき)
    笄滝(こうがいだき)
    雨降滝(あめふりだき)
    骸骨滝(がいこつだき)
    斜滝(ななめだき)

    ↓<770m・20分>

  • 荷担滝(にないだき)※赤目五瀑

    夫婦滝(めおとだき)
    雛段滝(ひなだんだき)
    琴滝(ことだき)

    ↓<270m・10分>

  • 琵琶滝(びわだき)※赤目五瀑

    ↓<420m・10分>

  • 岩窟滝(がんくつだき)


注釈

上記の時間は、ポイント間の歩行距離に対しての所要時間です。
人間が1㎞歩くのにかかる時間は、約20~25分ですので参考にしてください。

  • ゆったり散策コース/渓谷入口~布曳滝:約0.9㎞(約23分)
  • 渓谷ハイキングコース/渓谷入口~岩窟滝:約3.3㎞(約90分)
  • 長坂山トレッキングコース/渓谷入口~入山口~下山口:約5.1㎞(約170分)

カッコ内の所要時間は、滝や流れなどのポイントに立ち寄る時間に応じて変動するため、おおよその目安としてください。

長坂山トレッキングコース(長坂山入山口~頂上~下山口)のゴール・下山口から赤目バス停までは徒歩10分で着きます。

赤目四十八滝の散策マップ

赤目四十八滝の各ポイント位置を示した散策マップを掲載しますので、ご参考ください。

赤目四十八滝の散策マップ

赤目四十八滝での服装・注意点

赤目四十八滝での散策は、遊歩道として整備されているものの、未整備のエリアもあり山歩きに近いコースです。

また、自然そのままを保った深い森の中へ入り込んでいく地形になっているため、服装や注意点を確認しておきましょう。

ハイキングする際の服装

赤目四十八滝の渓谷入口

赤目四十八滝でハイキング・トレッキングする際、夏場は半袖でも問題ありませんが、山の気候は変動しやすいため、マウンテンジャケットやレインウェアなど上着を用意していくと安心です。

渓谷内は滑りやすくなっており、雨天や早朝などは特に滑りやすいため、遊歩道は慎重に歩きましょう。

22ものある滝をすべて回る場合は、最低でも往復3時間は要します。

渓谷内の遊歩道は幅が狭く、急な階段や足場の悪い箇所もあるため、履き慣れた歩きやすい靴やトレッキングシューズを履くのがおすすめです。

トレッキングシューズは、ソール(靴底)が硬めでクッション性もあることから、長時間の歩行で疲れにくいのが特徴です。

トレッキングシューズについては、下記記事で解説していますのでご参考ください。

赤目四十八滝での注意点

渓谷入口(日本サンショウウオセンター)

赤目四十八滝を散策・トレッキングする際、あらかじめ注意しておくことがあります。

入山規制について

梅雨シーズンや台風接近時には、台風が通過しても雨による増水のため、入山規制をする場合があります。

大雨や台風前後にいく場合は、公式サイトで入山規制のお知らせなどをあらかじめ確認してください。

筆者が前日に京都入りした時は、台風通過で鴨川が氾濫しており、赤目四十八滝では入山規制がかかっていました。

赤目四十八滝での散策を予定していた当日も入山禁止となっており、予定を変更せざるを得ない状況でした。

その翌日には入山規制が全面解除となり、無事に赤目渓谷を散策できましたが、渓流の流れが速く、滝は水量が多く迫力がありました。

トイレについて

渓谷内のトイレは、渓谷入口から遊歩道を約15分歩いた先の千手滝付近に1ヶ所あります。

渓谷入口の日本サンショウウオセンター(赤目滝水族館)にトイレはありません。

渓谷へ向かう前に、駐車場付近もしくはホテルの対泉閣前にある公衆トイレで先に済ませておきましょう。

ゴミについて

自然・生態系に影響を与えるため、食料や飲料、吸い殻、その他のゴミは必ず持ち帰りましょう。

また、貴重な資源保護の観点からも、ペットの糞・尿は適切な処理をしてください。

交通情報について

赤目四十八滝には、無料の駐車場がありますが、もし交通機関を利用する場合は、行きと帰りのバス時刻を事前に確認しておきましょう。

赤目口駅から赤目四十八滝の最寄りとなる赤目滝バス停までは、時間帯によって0~3便です。

また、赤目滝バス停から赤目口駅まで戻るための路線バスは、平日で15時台が最終便のため、注意してください。

その他

赤目四十八滝は、国定公園に指定されています。

生物の捕獲や植物の採取は、自然公園法により禁止されているため、動植物の捕獲・採取をしないようにしましょう。

代表的な5つの滝・赤目五瀑

赤目四十八滝で、名のついている22ものある滝をすべて紹介することはできませんが、これだけは見ておきたいという滝を紹介します。

まずは、赤目四十八滝の数ある滝のうち、比較的スケールが大きく、特に見どころのある5つの滝「赤目五瀑(あかめごばく)」です。

不動滝

赤目五瀑(1)・不動滝(ふどうだき)

不動滝(ふどうだき)は、落差15メートルあり、不動明王にちなんで名づけられた滝です。

滝参りは、この滝への参拝を意味しており、明治時代中期まではこの不動滝より奥は深山幽谷の原生林で、修験者のみ入ることが許されていた聖地でした。

千手滝

赤目五瀑(2)・千手滝(せんじゅだき)

千手滝(せんじゅだき)は、落差15メートルで、岩を伝って千手のように落水するところから命名されましたが、千手観音にちなんでいるという説もあります。

黒い岩肌の滝から流れ落ちる白い水と、枝垂れかかるイロハモミジ、深い緑の滝壺が絵のように調和した滝です。

布曳滝

赤目五瀑(3)・布曳滝(ぬのびきだき)

布曳滝(ぬのびきだき)は、落差30メートルの高さから、一条の布を掛けたように落ちる優雅な滝で、全国にある布引滝の中での代表格とされています。

荷担滝

赤目五瀑(4)・荷担滝(にないだき)

荷担滝(にないだき)は、落差8メートルで、滝の中央に位置する大岩を挟んで、流れが二手に分かれる様子が、荷物を綺麗に振り分けて担っているように見えることから名づけられました。

別名で「担いの滝」「荷担い滝」ともいわれ、三滝二淵の滝としては、渓谷随一の景観と称されています。

琵琶滝

赤目五瀑(5)・琵琶滝(びわだき)

琵琶滝(びわだき)は、落差15メートルある赤目五瀑の最後にある滝です。

滝と滝壺を合わせた形状が、楽器の琵琶に似ていることから名づけられています。

個人的には、赤目五瀑の中でもこの琵琶滝が、緩急剛柔といった幅のある表情があって引きつけられました。

勢いよく地面を打ちつける直線の滝から、緩やかに段差のある岩を流れていく様はずっと眺めていたいほどです。

赤目五瀑以外で見ておきたい滝6選

上記で紹介した赤目五瀑以外で、ぜひ見ておきたい滝を紹介します。

行者滝

赤目四十八滝の行者滝(ぎょうじゃだき)

行者滝(ぎょうじゃだき)は、落差約3メートルで、岩を挟んで2つに分かれて流れ落ちる滝です。

修験者の祖といわれる役の行者(えんのぎょうじゃ)が修行したとされています。

霊蛇滝

赤目四十八滝の霊蛇滝(れいじゃだき)

霊蛇滝(れいじゃだき)は、落差6メートル、滝壺の深さは約7メートルあります。

白蛇が岩をよじ登り、滝の流れの中に顔を出す岩が、竜の爪痕を思わせることから名づけられたそうです。

縋藤滝

赤目四十八滝の縋藤滝(すがりふじだき)

縋藤滝(すがりふじだき)は、大きな滝ではないため見落としがちですが、すだれにも似た水飛沫が千変万化の表情を見せる滝です。

昔、この周辺は鬼でも通ることができないといわれるほど険しく、藤の古木にすがって渡ったことにより、この名前がついたといわれています。

雨降滝

赤目四十八滝の雨降滝(あめふりだき)

雨降滝(あめふりだき)は、渓流を右に見て進みながら、左手の崖に目を向けると見える滝です。

岩を伝って雨が降るように飛沫が落ちてくるため、時に虹が見えることもあります。

雛段滝

赤目四十八滝の雛段滝(ひなだんだき)

雛段滝(ひなだんだき)は、赤目渓谷の本流、津合谷川の初流に一面の岩が幾段にもなっており、その上を清流が流れていて、ちょうど雛壇のように見えるのが特徴です。

岩窟滝

赤目四十八滝の岩窟滝(がんくつだき)

岩窟滝(がんくつだき)は、高さ7メートルある赤目四十八滝最後の滝で、中腹に深い石穴があることから岩窟滝と呼ばれています。

滝以外の見どころポイント

赤目四十八滝は、渓流や滝だけが見どころではありません。

滝以外の景観ポイントを紹介します。

巨大な岩壁と転石

赤目四十八滝で随所に見られる巨大な岩壁と転石

特別に名前はつけられていないようですが、天に向かってそそり立つ巨大な岩壁と削り落ちた大きな転石があるポイントがあります。

自然の委ねるままに置かれているその景観には、人間の手ではつくり出せない造形美を感じさせます。

七色岩

赤目四十八滝七色岩

遊歩道を歩き進めると、右手に木の生えた大きな転石が見えてきます。

七色岩(なないろいわ)と呼ばれ、岩の上には、マツ・サクラ・ツツジ・モミ・カエデ・アカギ・ウメモドキという7種類の植物が自生しており、小さな島のように見えるのが特徴です。

1年を通じて四季折々に花を咲かせ紅葉し、その姿を七色に変化させることからも由来しています。

終わりに

赤目四十八滝最後の岩窟滝からの折り返し地点

三重・名張にある忍者修行の里、赤目四十八滝。

澄み渡った川面に映る青々とした木々の様子などが延々と続く道は、森の精霊からパワーをもらっているような清々しい気持ちになります。

また、近くまで寄れる滝からの水飛沫を浴びたり、透明な渓流に手を入れてみたり、冷たくて清涼な水に触れると爽快な気持ちで疲れを癒してくれます。

今年の夏もまたひとつ暑くなりそうで、数多く点在する滝の森で汗をかきながら歩き、朝晩はホテルで涼み、心身ともにリフレッシュしてはいかがでしょうか。

赤目四十八滝から大阪駅へ戻った際に見た夕焼け

筆者が訪ねた時は、台風通過直後で京都に着いた朝の鴨川が氾濫し荒れており、その日の赤目四十八滝は入山禁止となっていました。

その2日後の朝に解除されて現地に向かいましたが、さすがに台風による大雨が降った後の滝は、水量が多く見応えがありました。

そのため、この記事に掲載している撮影写真は、通常時の滝模様より激しい流れとなっていることをご留意ください。

帰りは一旦大阪駅に戻りましたが、駅の屋上にある空中庭園から見る夕焼けが格別にきれいでした。

※使用カメラは、SONY NEX-5R

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以下の記事では、赤目四十八滝と同じく、渓流や滝を見ながら散策を楽しめる青森県の奥入瀬渓流を紹介しています。

八甲田山や白神山地など、夏の青森散策に適した服装も解説していますので併せてご参考ください。

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