毎年8月にある祝日の1つ、山の日。
山の日は他の祝日とは異なり、特別な習慣や由来があるわけではありません。
では、なぜ山の日ができたのか、この日は何をしたらいいのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、比較的新しい祝日に定められた山の日ができた由来や、国民の祝日となった経緯などを紹介します。
また、当日の過ごし方や日本の山についても解説していますので、山の日を楽しむご参考になれば幸いです。
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他の年中行事・イベントについては、下記記事でまとめていますので併せてご参考ください。
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年中行事&国民の祝日カレンダーでわかる日本の伝統文化や風習
2023/12/21
山の日とは
山の日は、2014年(平成26年)に制定された国民の祝日の1つで比較的新しい祝日です。
国民の祝日に関する法律(祝日法)では、山の日を「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としています。
他の祝日とは異なり、山に関する特別な行事や由来があったわけではない山の日が新たに制定されたのは、「海の日」が国民の祝日となったことがきっかけとされています。
山の日が生まれた由来
山の日ができたのは、山に関する古くから伝わる習慣や伝統があるかというと、特段の事情があったわけではありません。
長い歴史をもつ海の日が1996年に祝日として制定されたことにより、山岳団体や自然保護関係者から「山の日も制定したい」という希望があったことが始まりです。
日本は四方を海に囲まれた島国ですが、国土のおよそ6~7割が山地です。
そのため、私たちは昔から海だけでなく山からも恩恵を受けながら生活し、それらの恵みに感謝しながら、自然とともに発展させてきました。
海の日が後押し
海の日が国民の祝日になると、山梨県をはじめとする一部の地域で独自に決めた山の日ができました。
その後、山の日を国民の祝日とする構想が本格化し、2010年に日本山岳協会など山岳5団体が山の日制定協議会を設立しました。
そして、2013年に山の日制定議員連盟が発足すると、山の日を国民の祝日にしようとする運動が全国に広がり、日付を設定する段階にまできたのです。
山の日はいつ?
山の日は、毎年8月11日です。
なぜこの日になったのか、その理由や経緯は後述しますが、山の日は8月11日と固定されており、月曜日を祝日にしたハッピーマンデー制度の対象にはなりませんので注意しましょう。
ハッピーマンデー制度については、下記記事で詳しく解説していますのでご参考ください。
2020年と2021年は日付変更
しかし、東京五輪・パラリンピックの開催が予定されていた2020年(令和2年)に限り、特別措置法に基づき、8月10日(月)に日付変更されています。
また、新型コロナウィルス感染症の流行によって東京五輪・パラリンピックの開催が翌年に延期されたため、2021年(令和3年)の山の日は8月8日(日)となりましたが、日曜日が祝日となるため、8月9日(月)は振替休日でした。
東京五輪・パラリンピック以降、2022年より山の日は、再び8月11日となっています。
8月13日から16日までが一般的なお盆休みになる企業も多いと思いますが、山の日とお盆前の8月12日に休暇を取得できる人であれば少しは長く休めますね。
山の日が8月11日となった経緯
とはいえ、特別に8月11日が山に関する古くからの伝統や習わしがあったわけではありません。
日付を決めるにあたって、祝日のない6月、海の日の翌日、お盆前にするといったいくつかの案がありました。
また、8月に国民の祝日がなかったことと、一般的なお盆休み(8月13~16日)と連続させやすいように、お盆前の8月12日を山の日とする案も最有力候補として検討されていました。
しかし、8月12日というのは、1985年に群馬県の御巣鷹山(おすたかやま)で日本航空123便墜落事故が起きた日です。
御巣鷹山は山であり、毎年慰霊祭が行われているこの日にお祝いするのは違和感を覚えるという反対意見もあったことから、最終的には1日ずらして8月11日に決定しました。
さまざまな考案から定められた8月11日には、山にまつわる意味も少しはあるようです。
実は、都道府県によって独自に設定された山の日があり、ほとんどが「8」や「11」を用いて日付を設定していました。
漢字の「八」の字が末広がりで山の形に見えること、数字の「11」は木が立ち並ぶイメージに見えることから、山を連想させる数字にふさわしい理由で、8月11日を選んだともいわれています。
上記の経緯により、2016年(平成28年)から8月11日が山の日という祝日になりました。
山の日のイベント、過ごし方
山の日は、先ほども説明したように古くから伝わる習慣や伝統行事はありませんが、全国各地では山にちなんだイベントが開催されています。
山の日記念全国大会
2016年8月10~11日は、山の日が国民の祝日になったことを記念し、「山の日記念全国大会」が設立され、第1回は長野県松本市で開催されました。
その後、回ごとに会場を変えて山形県や沖縄県などで行われ、2024年の第8回は東京都で開催されることも決定しました。
山の日全国大会は、山の日の浸透を図り、山に関する歴史・文化の継承、環境保全、観光振興、健康増進、山岳遭難や自然災害への対応などのさまざまな課題の解決、山の未来のあり方について考える機会とすることを目的としたものです。
期間中は記念式典やフェステバル、歓迎レセプションのほか、トレイルウォークや観察会、体験活動などといった関連イベントを行っています。
当大会の理念としては、以下の通りです。
・山の日制定趣旨を国内外に浸透を図ること
・山に関する歴史や文化、環境、観光、安全、教育等の「山と人」との関わり方を見つめ直し、様々な課題の解決につなげる契機するとともに、次代を担う子どもたちと一緒に豊かで美しい「山の未来」を想像する第一歩とすること
・世界で初めて「山」を対象とした祝日であることを国内外へ発信するとともに「山」に関する国内外の幅広いネットワークを構築する機会とすること
トレッキングやハイキング
全国各地にある山々では、トレッキングやハイキングといった山歩きコース、本格的な登山コースといった山の日に関連する企画イベントが行われていますので、登山口にある関連施設の公式サイトなどで確認してみてください。
ただし、山歩きや登山をする時には、それぞれの目的に適したトレッキングシューズなどの装備が必要です。
普通のスニーカーで長時間の歩行は疲れやすく、特に足場の悪い岩場などではケガをしやすくなりますので、トレッキングシューズなどについては、下記記事を参考にしてください。
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街歩きにも適した旅行靴・登山靴の種類や特徴、トレッキングシューズの選び方は?
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山で自然と触れる体験イベント
一部の山々や山麓では、熱気球フライトやスカイダイビング、パラグライダーといった上空から自然の山々を眺める体験もあります。
また、牧場のある山では馬やヒツジなどと触れ合ったり、搾りたての牛乳やソフトクリームを味わったりするのもいいですね。
屋内で楽しむ山の日
山の日は月曜日が祝日となるハッピーマンデーではないため、連休をとりづらい方が多いかもしれません。
1日だけの祝日を室内でまったり過ごしたい方には、自宅で山にまつわる映画を観たり、クライミングジムで体験したりするのもいかがでしょうか。
選ばれし日本の山
日本の山々には国が選定した名山があります。
日本三名山(日本三霊山)
日本三名山(三名山)とは、日本の多数ある山々から崇敬を集めている名高い山、あるいは高評価の山として認められた3つの名山をいいます。
日本三霊山という別名もあり、古くより山岳信仰の盛んな日本において、高く美しいだけでなく、信仰の対象として親しまれてきた3つの霊山のことで、略して三霊山とも呼ばれます。
そんな日本三名山(日本三霊山)として選ばれているのは、富士山・立山・白山の3つの山です。
長野県と岐阜県の県境にある「御嶽山」を含めて、日本四名山とすることもあるようです。
富士山(山梨県、静岡県)
富士山は、静岡県と山梨県にまたがる活火山であり、標高3776メートルある日本最高峰の山とされています。
周辺に遮るもののない優美なシルエットから日本の象徴として国内外で広く知られており、その姿から信仰の対象となるだけでなく、芸術面でも大きな影響を与えています。
2013年に「富士山 -信仰の対象と芸術の源泉-」として世界遺産に登録されました。
立山(富山県)
立山は、富山県東南部の飛騨山脈にあり、最高峰の大汝山や主峰の雄山、富士ノ折立の三峰から構成されています。
いずれも3000メートル近い高さの山で、立山も古くから霊峰とみなされ、雄山山頂に雄山神社があります。
富山の平野から見ると、雄大な壁のようにそびえるのが立山連峰です。
日本国内で氷河が見られる数少ない山であり、立山登山は夏や冬のスポーツとして人気があります。
白山(石川県、岐阜県)
白山は、石川県と岐阜県の県境にある標高2702メートルの山です。
最高点の御前峰には白山比め神社奥宮があり、白山信仰の中心地となっています。
白山は活火山であるため、山頂には15個の爆裂火口と複数の池があり、とりわけ有名なのが翠ヶ池です。
一帯は国立公園に指定されており、クロユリの群生地は日本最大の規模といわれています。
日本三大霊場(日本三大霊山)
日本三大霊場の霊場というのは、神社や寺院、墓などのある神聖な土地や霊地のことです。
別名の日本三大霊山は、仏教寺院のくくりで、別世界のような雰囲気が漂うあの世に最も近い死後の世界を彷彿させる山を指しています。
前項で先述した日本三名山の別名となる日本三霊山は、「大」をとって修験道のくくりであることから、宗教の違いが影響しているとされています。
- 恐山(青森県)
- 比叡山(京都府、滋賀県)
- 高野山(和歌山県)
日本三神山
三神山というのは、もともと中国の伝説上の神山を指し、仙人や神々が住むと伝えられた方丈・瀛州・蓬莱の三山のことです。
日本三神山は、日本において比定された地のことです。
- 熊野(紀伊国南部)
- 富士山(駿甲)
- 熱田(名古屋市)
日本三大岩場(日本三大岩峰、日本三大岩稜)
日本三大岩場は、岩場の多い山々のことでロッククライミングの領域といえばわかりやすいでしょうか。
登山者にとっては、最終目標ともいえる斜面が急な登りが特徴です。
- 谷川岳(群馬県、新潟県)
- 穂高岳(長野県、岐阜県)
- 剱岳(富山県)
終わりに
海の日ができたことで、後押しされるように生まれた山の日。
山や海に囲まれた日本ならではの、国民の祝日ですが、比較的新しい祝日でもあり、まだ馴染みのない人も多いかもしれません。
幼い頃や学生時代は、遠足や登山といった学校行事や夏休みの家族旅行など、自然と触れ合う機会があったと思います。
しかし、大人になると日々の生活に追われ、自然に感謝することさえも忘れてしまいがちです。
海の日と同様に、山の日にも山の恵みに感謝し、改めて自然の尊さを思い出させてくれる機会をつくって大切にしていきたいものですね。
以下の記事では、同じく自然に関する祝日である海の日について紹介しています。
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また、登山や山歩きへいく時に、必須アイテムである日焼け止めについても併せてお読みください。
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