ゴールデンウィーク最終日にあたる、こどもの日。
その名の通り、子どものための日であることは理解できても、何がきっかけで生まれたのか、端午の節句とはどんな違いがあるのか、までは詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。
今回は、こどもの日ができた由来や意味、端午の節句との違いについて紹介します。
また、空高く泳ぐ鯉のぼりや武士の姿をした五月人形、菖蒲など、昔から伝わる風習の意味についても解説しますので、お子さんのいるご家族での過ごし方、親戚や友人としてお祝いする時のご参考になれば幸いです。
他の年中行事・イベントについては、下記記事でまとめていますので併せてご参考ください。
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こどもの日とは
こどもの日は、子どもの健やかな成長を願ってお祝いする国民の祝日です。
ゴールデンウィーク最終日である5月5日で固定されており、鯉のぼりを掲げたり五月人形を飾ったり、柏餅を食べたりしてお祝いします。
女の子は3月のひな祭りとして住み分けられているために、男の子の成長をお祝いする日だと思われがちですが、行政的には男女関係なく子どもの成長を祝う日とされています。
こどもの日ができた由来
こどもの日である5月5日は、「端午の節句」という五節句の1つでもあります。
端午の節句は、病気や災いを避けるための習わしで、その行事に使っていた菖蒲(しょうぶ)が武士の言葉や道具に似ていることから、次第に男の子の行事になっていったという説があります。
そして第二次世界大戦の終戦後、もともとは端午の節句として行事が行われていた5月5日を「こどもの日」とする願状が国会で出され、1948年に祝日として制定されました。
端午の節句については後述しますが、子どもたちの相互理解と福祉向上を目的に、国連が11月20日を「世界子どもの日」と決めています。
こどもの日に込められた別の意味
こどもの日について世間では、子どもが大きく元気に成長したことを祝う日として定着していますが、実は母親への感謝も含まれていることをご存知でしょうか。
国民の祝日に関する法律(祝日法)では、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことを趣旨として定められています。
これは、自分を産んでくれたお母さんに感謝しましょうというメッセージが込められています。
自分を含め、子どもから孫へと生命を繋いでくれたのは、間違いなくお母さんがいたからこそですね。
端午の節句について
5月5日は、古来から「端午の節句」としても呼ばれており、男の子の健やかな成長を願う行事が行われていました。
では、端午の節句はどうして生まれたのでしょうか。
端午の節句ができた起源
端午の節句は、古代中国が起源で、もともと5月5日は陰謀により国から追放された屈源という人物を供養する祭りの日でした。
それが次第に病気や災厄を祓う行事へと移り変わり、奈良時代には無病息災を願う行事として中国から日本へ端午の節句が伝わりました。
端午の節句が男の子の成長を祝う日となるのは、江戸時代に入ってからです。
こどもの日と端午の節句との違い
こどもの日は、法律で定められた祝日であるのに対し、端午の節句は男の子の誕生と成長を祝う伝統行事であることが大きな違いです。
また、こどもの日は男女関係なく、子どもの成長をお祝いするのに対して、端午の節句は男の子の成長や健康を願う意味があります。
端午の節句は五節句の1つで、旧暦の牛の月にあたる5月で、その最初にくる牛の日を節句として祝ったものです。
五節句とは、季節の節目に設けられた5つの式日をいい、詳しくは下記記事をご参考ください。
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端午の節句と菖蒲
端午の節句には「菖蒲(しょうぶ)」を飾る習慣があり、「勝負」「尚武」と同じ読みであることから、武家の跡取りとなる男の子の成長を祝い健康を祈る行事とされていました。
また、菖蒲は薬草として使われていたため、浴槽に入れて香りを楽しむ菖蒲湯、お酒に菖蒲を浸して飲む菖蒲酒などがあり、端午の節句は別名で「菖蒲の節句」とも呼ばれています。
こどもの日に行う風習・過ごし方
こどもの日は、男の子がいるかいないか家庭によって異なるため、特に決まった習わしはありませんが、昔から伝わる風習を紹介します。
祝日法にある通り、男女関係なく子どもの成長を祝う日とされているため、家族や親戚に子どものいる方などもご参考ください。
鯉のぼりを飾る
5月になると、街中や公園、商業施設などで鯉のぼりを見かける機会が増えます。
基本的に3匹の鯉で構成され、一番大きい鯉は「真鯉(まごい)」という黒い鯉、2番目に大きい鯉は「緋鯉(ひごい)」という赤い鯉、そして一番小さい鯉は「子鯉(こごい)」という青い鯉です。
鯉のぼりは、江戸時代の武士が玄関に飾っていた幟(のぼり)や旗が由来とされています。
鯉は、流れが速く強い川でも耐えられるほど泳ぎが得意で、滝をも上ってしまう強い魚です。
また、滝を上った鯉は龍になるという中国の登竜門伝説にちなんで、川の流れに逆らって上昇する鯉のようにたくましい子に育ってほしいという願いを込めて、武士だけでなく町人も鯉のぼりを揚げるようになったとされています。
一番上に吊るされる5色の吹き流しは、子どもが無事に成長できるように、悪いものを追い払う意味が込められているとされています。
鯉のぼりの吹き流しについては、下記記事も併せてお読みください。
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五月人形を飾る
五月人形は江戸時代に、子どもの身を災いから守ることを目的に登場しました。
鎧や兜(かぶと)には子どもを病気や事故などの危険から守る、弓矢や刀には邪気を払う意味が込められています。
五月人形の飾り物には鎧飾り・兜飾り・武者人形の3種類がありますが、いずれも子どもの代わりに災厄を引き受けてくれる役割があります。
厄除けとしての役目を終えた時には、五月人形の供養が必要といわれています。
筆者の実家にも、鯉のぼりの代わりに五月人形があります。
子どもの頃は、どっしりと座る武士の姿に肉体のない装備だけでも迫力があって怖いと思いながら見ていましたが、大人になるにつれて五月人形の意味を知ると感慨深いものがあります。
五月人形は時代とともにモデルが変化しているようですが、子どもの成長と健康を願う親の気持ちはいつの時代も変わらないでしょう。
マンションに住む家庭が多い現代では、コンパクトな五月人形も好まれています。
柏餅・ちまきを食べる
柏餅(かしわもち)は、柏の葉でお餅を包んだものです。
柏の葉は、新しい芽が出るまで古い葉が落ちないことから家系が途絶えないとされ、子孫繁栄に縁起のよい植物だと伝えられていました。
一方で、関西の地域では、柏餅ではなくちまきを食べる風習があることをご存知でしょうか。
これは政治家で詩人であった屈原が川に身投げした後に、人々が供養としてもち米を楝樹(せんだん)の葉で包み、五色の糸で巻いたちまきを川に投げ入れたという中国の言い伝えに由来しています。
その後、ちまきは忠誠心が高い象徴として考えられ、忠義のある子に育つことを願い、子どもにちまきを食べさせる風習が生まれました。
中国では楝樹の葉を使っていますが、現代のちまきには楝樹と同じく邪気祓いの意味をもつ笹や茅を使っているのです。
菖蒲湯に入る
昔から端午の節句には、菖蒲(しょうぶ)の葉を入れたお湯に浸かるといいと考えられていました。
古代中国では、強い香りを放つ菖蒲が邪気を払う薬草として取り扱われており、病気や悪いものを追い払ってくれると伝えられています。
なぜ菖蒲なのかというと、読みの響きが「勝負」「尚武」などの言葉を連想させることから、菖蒲を使用することは男の子の健やかな成長を願う意味合いも含まれているためです。
その他
他にも子どもたちと折り紙で兜や鯉のぼりを作ったり、100匹以上の鯉のぼりが空を泳ぐ圧巻のスポットへのお出かけもおすすめですね。
鯉のぼりの観光スポットについては、下記記事もご参考ください。
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終わりに
こどもの日は、法律で定められた子どもの成長を願う祝日ですが、端午の節句は男の子の成長を祈ってお祝いする伝統行事で、いずれも同じ5月5日です。
また、こどもの日は、子どもが今日まで元気で育ったことをお祝いするとともに、その子どもを産んだお母さんに感謝を伝える日でもありました。
この日は、子ども(自分)を産んでくれたお母さんに感謝しながら、子どもの健康を祈りましょう。
また、5月5日はゴールデンウィーク最終日にあたるため、家族や親戚などが集まって贅沢なご馳走でお祝いし、連休を締めくくりたいものですね。