YMYL、PREP、PDCA、AISAS、PASONA・・・。
近年、アルファベット3~6文字の頭文字をとって表した、謎のWeb・IT用語を見かけたり聞いたりする機会が増えてきたと感じる方も多いでしょう。
特に、4文字のアルファベットが目立ち、例をいくつか挙げるとキリがないですが、頭文字をとって構成されたこれらの英単語は何を意味しているのか。
どういった目的や働きがあるのか、どう意識し使ったらいいのか、少し似ているようで違うこともあり、紛らわしいという方も多いのではないでしょうか。
今回は、数ある4文字の最たる例として有名な「PDCA」について紹介します。
PDCAサイクルの意味やプロセスのイメージ、類似するPDSAサイクルとの違いも解説しますのでご参考ください。
PDCAサイクルとは?
PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act cycle)は、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のプロセスを順に実施する、マネジメントサイクルの1つです。
1950年代に、品質管理の父といわれるW・エドワーズ・デミングが、マネジメントの品質を高めようという概念で提唱したフレームワークです。
最後のActionをCheckの結果から、最初のPlanの内容を継続や修正、破棄のいずれかにして、次のPlanに結びつけます。
このプロセスを繰り返すことによって、品質の維持・向上および継続的な業務改善を推進するマネジメント手法を指します。
PDCAサイクルのイメージ
PDCAサイクルの各プロセスにおいて、具体的に何が行われるのかを見ていきましょう。
Plan:計画
目標・目的を設定し、それを実行するためのプロセスを立案します。
ただ手当たり次第に目標設定をし、過去のやり方を継承した計画を立てるのではなく、なぜそのような目標を立てるのか、なぜそのような実行計画を立てるのか、仮説に準拠した論理的なPlanを意識する必要があります。
Do:実行
計画を実行に移し、そのパフォーマンスを測定します。
実行するにあたって、後で内容を検証できるように数値やデータを取得しておきます。
Check:評価
測定結果を評価し、実行した内容の検証・分析を行います。
例えば、実際に計画通りに進んだのか、進まなかったのであればどれぐらい当初の計画とずれが出ているのかなどを分析し、数字などで表します。
特に計画通りに実行できなかった場合、なぜ計画通りに実行できなかったのか、要因分析を入念に行う必要があります。
Action:改善
検証・分析結果より見えてきた問題点を洗い出し、今後の対策や改善に必要な措置をとります。
例えば、計画に遅れが出たのであれば何が原因なのか、それはどのプロセスを改善したらよいのかを考えます。
計画通りに進んだのであれば、もっと効率を上げることは可能なのかを探ります。
そしてそれらの改善を踏まえ、また新たな計画を立てるというプロセスを繰り返していきます。
類似するPDSAサイクルについて
PDCAサイクルとは別に、同じくマネジメントサイクルの1つとして「PDSAサイクル」があります。
両方とも同じ4文字の英語で、CとSが違うだけで、意味や目的まで混同しやすいので注意が必要です。
PDSAサイクルとは
PDSAサイクルは、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Study)・改善(Action)のプロセスを順に実施するマネジメントサイクルの1つです。
Plan:計画
Do:実施
Study:研究
Action:改善
最後のActionを次のPlanに結びつけて、プロセスを繰り返すことにより、生産技術における品質管理などを継続的に改善していくマネジメント手法となります。
1980年代の半ばごろに品質管理の父といわれるW.エドワーズ・デミングが、PDCAサイクルに代えて使い出した言葉です。
PDCAとPDSAの違い
PDCAのCheck(評価)を、Study(学び)に置き換えたのがPDSAで、より詳しく評価するというニュアンスがあるとされています。
計画・実行した結果を評価するだけでなく、比較・分析することで新たな課題や気づきが発見しやすくなります。
成功しても失敗しても、結果から学びにまで発展させている点がPDCAとの違いです。
PDCAのCheck(評価)は、実際の結果を評価する段階で、計画に予測されていた結果をどこまで満たせているかを確認します。
PDSAではStudy(学び)に繋げますが、PDCAではCheck(評価)のみに留まります。
この点から、PDSAの方が新しい形であり、発展しているといえます。
終わりに
PDCAサイクルという言葉を知らなくても、私たちの生活や仕事の中でも、このようなサイクルを無意識に繰り返していることは多いです。
例えば、この沿線はいつも電車が混んでいて、乗り換えホームまで遠くて待ち合わせに遅れかけたからもう1つの沿線を使ってみよう。
そういったことも過去の失敗した計画や他の方法など、問題点を洗い出しながら分析し改善を図るという意味では、PDCAサイクルを回しているといえます。
自分がどのような目的でもって明確に設定するか、そんな時にPDCAを意識すると、上手な扱い方が見えてくるのではないかと思います。
また、計画を立てる段階で、具体的な数字を目標に設定することで、自分が目指す位置がわかりやすくなります。
確認の段階でも、実行した期間やその結果の良し悪しを数字として記録しておくことで、改善がしやすくなります。
まずは、生活の中で1つ、PDCAを意識して実践してみてはいかがでしょうか。