知る 歳時記・暦

お彼岸の由来や時期は?春分の日・秋分の日との関係やお盆との違い、お供え物の意味

2023年8月28日

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お彼岸は春分の日と秋分の日に関わりがありいつなのか、お盆との違いやお供え物の意味とは?

年に2回、春と秋に巡ってくるお彼岸。

お彼岸というとお墓参りをするイメージがありますが、夏のお盆とどんな違いがあるのか知っているようで知らない人も多いのではないでしょうか。

お彼岸もお盆もご先祖様を供養する点では共通していますが、供養する時期だけでなく距離にも違いがあります。

今回はお彼岸の起源や春分の日・秋分の日との関係、似た風習であるお盆との違いについて紹介します。

お彼岸にやることやお供え物の意味、秋彼岸に咲く彼岸花についても解説しますのでより深いお彼岸期間を迎えられたら幸いです。

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他の年中行事・イベントについては、下記記事でまとめていますので併せてご参考ください。

お彼岸とは

お彼岸は私たちのいるこの世からあの世にいるご先祖様を供養する期間

現代の日本におけるお彼岸は、主にお墓参りやお供えを通してあの世にいるご先祖様を供養する期間です。

お彼岸には春と秋で年に2回あり、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように厳しい冬の寒さや夏の暑さに別れを告げるという目安にもなります。

時期については後述しますが、春のお彼岸を「春彼岸」、秋のお彼岸を「秋彼岸」と区別して呼ぶこともあります。

お彼岸の由来と語源

お彼岸は正式に「到彼岸(とうひがん)」と呼ばれ、人間の迷いや苦しみの元となっている煩悩のない世界へいくために行う修行を指します。

つまりお彼岸は仏教者たちの修行期間であり、迷いや煩悩を断ち切って悟りの境地である彼岸にたどり着くための修行が行われてきたのです。

お彼岸という言葉の語源は、古代インド・アーリア語に属する言語のサンスクリット語で成就を意味する「paramita(パーラミター)」を表します。

その外来語を他の言語の文字を用いて書き写した日本での用語が「波羅蜜多(はらみた)」となり、漢訳すると彼岸に至る「到彼岸(とうひがん)」になることから彼岸という言葉は「悟りの世界へと辿り着く」という意味になります。

とはいえインドや中国にお彼岸にあたる行事はありません。

お彼岸は、日本独自の文化であり古くからある風習なのです。

お彼岸の時期はいつ?

お彼岸は年に2回、3月の春と9月の秋にあります。

具体的にはどちらも春分の日と秋分の日を中日とした1週間を指しており、春のお彼岸(春彼岸)・秋のお彼岸(秋彼岸)と呼ばれています。

春のお彼岸(春分の日)

春のお彼岸は3月の中旬、春分の日を中日とした前後3日間を含む計7日間

春のお彼岸は、国民の祝日となっている春分の日を中日とした前後3日間を含む計7日間です。

2025年の春彼岸は、3月17日(月)から3月23日(日)までの7日間です。

春分の日である3月20日(水・祝)を中日とした前後3日間となるため、春分の日の3日前にあたる3月17日(月)から3月23日(日)までの7日間となります。

  • 2025年3月17日(月):彼岸入り(彼岸の初日)
  • 2025年3月20日(木・祝):中日(春分の日)
  • 2025年3月23日(日):春彼岸明け(彼岸の終日)

秋のお彼岸(秋分の日)

秋のお彼岸は9月の中旬、秋分の日を中日とした前後3日間を含む計7日間

秋のお彼岸は、国民の祝日となっている秋分の日を中日とした前後3日間を含む計7日間です。

2025年の秋彼岸は、9月20日(土)から9月26日(金)までの7日間です。

秋分の日である9月23日(火・祝)を中日とした前後3日間で、秋分の日の3日前にあたる9月20日(土)から9月26日(金)までの7日間となります。

  • 2025年9月20日(土):彼岸入り(彼岸の初日)
  • 2025年9月23日(火・祝):中日(秋分の日)
  • 2025年9月26日(金):彼岸明け(彼岸の終日)

中日(基準日)となる春分の日と秋分の日は、毎年同じ日とは限りませんのでカレンダーなどで確認しておきましょう。

春分の日・秋分の日の意味・定義

お彼岸の中日に設定されている春分の日・秋分の日は、国民の祝日に関する法律(祝日法)によると以下のように定義されています。

春分の日

春分の日は3月中旬、長い冬が終わり土から草花が芽を出し春に替わる日

春分の日は、祝日法によると「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ことを趣旨として定義されています。

春分は3月20日から4月3日頃で、季節が冬から春に切り替わる日です。

この時期は長い冬の終わりを意味し、土から草花や虫が顔を出し穏やかな雰囲気に包まれます。

春の到来を喜ぶ人々の想いがあふれていて、その喜びをご先祖様とともに分かち合うのだろうと想像すると感慨深く思えてきます。

秋分の日

秋分の日は9月中旬、彼岸花が咲く頃で夏が終わり秋の到来を告げる日

秋分の日は、祝日法によると「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを趣旨として定義されています。

秋分は9月23日から10月7日頃で、夏が終わり秋の到来を告げる日です。

この時期はちょうど稲刈りの最盛期になり、田んぼのあぜ道に咲く赤い彼岸花がまさに秋のお彼岸のシンボルだとわかります。

古くより秋彼岸は農村での稲穂の収穫を喜び、ご先祖様に報告し感謝をすることも兼ねた風習として根づいているのです。

お彼岸と春分の日・秋分の日との関係

彼岸というのは「あの世」のことを意味し、お彼岸はあの世にいるご先祖様を供養する目的で行われる風習です。

そして彼岸の反対は此岸(しがん)といい、私たちが今いる「この世」のことを指します。

春分の日と秋分の日はあの世の彼岸とこの世の此岸が通じやすくなる時期と考えられており、ご先祖様の供養を介して自分自身を見直す時期でもあるということです。

春分の日と秋分の日は、太陽と地球の動きや天文学・暦が結びついたもので昼と夜の時間が均等になります。

また春分と秋分は、双方ともに二十四節気の1つとして扱われています。

二十四節気については、下記記事をご参考ください。

今後10年間における春分の日・秋分の日

今後10年間における春分の日・秋分の日を掲載しておきますので、春彼岸・秋彼岸の時期を把握する目安にしてください。

春のお彼岸と秋のお彼岸はいずれも春分の日・秋分の日の中日とした前後3日間で計7日間です。

西暦春分の日秋分の日
2025年3月20日(木)9月23日(火)
2026年3月20日(金)9月23日(水)
2027年3月21日(日)9月23日(木)
2028年3月20日(月)9月22日(金)
2029年3月20日(火)9月23日(日)
2030年3月20日(水)9月23日(月)
2031年3月21日(金)9月23日(火)
2032年3月20日(土)9月22日(水)
2033年3月20日(日)9月23日(金)
2034年3月20日(月)9月23日(土)
2035年3月21日(水)9月23日(日)

お彼岸とお盆の違い

お彼岸とお盆はご先祖様を供養する意味では共通しているが大きな違いは?

お彼岸のご先祖様を供養する似た風習として、お盆というのがあります。

お彼岸とお盆の定義

お盆とは一般的に新暦の8月15日を中心に8月13日から16日までの4日間にわたって、ご先祖様の霊をあの世からこの世へお迎えして供養するための行事です。

仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」や中国から伝わった儒教をもとにした伝承などが、日本古来の祖先崇拝と混じり合って今の形になっているとされています。

一方で、お彼岸はお盆のようにご先祖様が帰ってくるわけではありません。

あの世とこの世が最も近づく日に、この世で先祖の供養を行うとともに自分自身も悟りの境地である彼岸へ到達するために修行を行うという意味合いがあります。

お盆については、下記記事をご参考ください。

お彼岸とお盆の違い比較

項目お彼岸お盆
語源paramita(パーラミタ)ullambana(ウランバーナ)
和語波羅蜜多(はらみた)盂蘭盆(うらぼん)
季節春と秋(3月と9月)夏(8月)
時期春分と秋分を中日とした7日間8月13日から16日までの4日間
供養あの世にいるご先祖様を供養ご先祖様をこの世にお迎えして供養

彼岸花について

彼岸花が秋のお彼岸に咲く花といわれているのはあながち間違いではないけれど…

秋の花といえばお彼岸の時期に合わせて咲く彼岸花(ヒガンバナ)が有名で、深紅の花が咲き誇る風景を見ると秋の到来を感じます。

彼岸花は土手や田んぼのあぜ道など人里近いところに咲き、高さは約30㎝から50㎝程度になり赤い花をつけます。

彼岸花の咲く時期

彼岸花がお彼岸に咲く花といわれているのはあながち間違いではありませんが、開花するのは1日の平均気温20~25℃が目安です。

最低気温が20℃前後にまで下がってくるのがちょうど秋彼岸の頃のため、彼岸花がこの時期に開花するということからきています。

その年によって開花は変わり、9月上旬に急に涼しくなれば早く咲きますし逆にお彼岸を過ぎても暑い日が続けば10月になってから咲くこともあるため、暦通りに咲くとは限らないことを理解しておきましょう。

彼岸花には毒があるため注意

彼岸花は毒草でもあるため、食べたら彼岸へ行く(死ぬ)ということからその名がついたともいわれています。

彼岸花というと「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」という花名を耳にする人も多いでしょうが、彼岸花の別名でありサンスクリット語で天界に咲く花という意味です。

一説ではお墓の周りに植えられていたことから死者を連想させる、真っ赤な彼岸花は火を連想させるため持ち帰ると家が火事になるといった言い伝えもあります。

繰り返しになりますが彼岸花は有毒の花であるため、彼岸花を見かけても目で見て楽しむだけにして摘んだり触ったりしないようにしましょう。

彼岸花については、下記記事でも解説していますので併せてお読みください。

お彼岸にやること・過ごし方

お彼岸の期間中には、どんなことをやったらいいのか過ごし方を紹介します。

お墓参り

お彼岸にやること(1)お墓参り・季節の移ろいをご先祖様とともに感じることも

お彼岸といえばお墓参りです。

普段あまりお墓参りをされない人や遠方に住んでいてなかなか帰れない人でも、1年のうちでお盆とお彼岸だけはお墓参りをされるという人も多いのではないでしょうか。

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、春彼岸は冬から春へと季節が暖かくなり秋彼岸は夏の暑さが和らいで季節が涼しくなり、最適な季節でもあることを示しています。

真夏のお盆期間に仕事の都合や猛暑の懸念などで帰省できなかった人でも、お彼岸の時期に帰省しお墓参りをするのもよいでしょう。

季節の移ろいをご先祖様とともに感じる時間もいいかもしれません。

お墓参りに行くタイミングはこの日ではないといけないという日はありませんが、7日間あるお彼岸期間の中日である春分の日と秋分の日が理想とされています。

仏壇・仏具の掃除

お彼岸にやること(2)仏壇の掃除や手入れ・彼岸に入る前日のうちに済ませたいところ

自宅に仏壇がある方は、なるべくお彼岸に入る前日のうちに掃除や手入れを済ませておくと安心です。

仏具を外したら仏壇の内側や外側のほこりを毛払いで払い、柔らかい布で乾拭きしたら仏具を元に戻す流れになります。

仏具は乾拭きが基本ですが、材質によっては洗浄液や研磨剤が使用可能な場合もあります。

日頃の感謝を込めて、いつもより念入りにお掃除をしてみてはいかがでしょうか。

お供え物の準備

お彼岸にやること(3)お供え物の準備・定番といえば春のぼたもちと秋のおはぎ

お彼岸にお供えする定番として、ぼたもち・おはぎがあります。

詳しくは後述しますが、ぼたもちは春のお彼岸、おはぎは秋のお彼岸で供えます。

他には季節の花や日持ちする果物、故人が好きだった食べ物・飲み物をお供えするとよいでしょう。

お彼岸にやってはいけないこと

お彼岸にやってはいけないことは原則ないけれど…

お彼岸にやってはいけないことは原則ありません。

お彼岸はお墓参りや法要を行うのが本来の目的で、ご先祖様への感謝を込めて供養を行う行事であり身を慎む期間ではないためです。

結婚式やお宮参りのほか、引越し、お見舞いなどの行事がお彼岸の時期と被っても問題ありません。

一方でお彼岸は帰省などをする人も多く、行事が重なることを避ける意味では結婚式などのお祝い事はあまり行われない傾向にあります。

特に年配世代の中には縁起が悪い・不謹慎だといって、お祝い事をお彼岸に行うべきではないと認識している人も多いようです。

お彼岸は喪に服する時期でもないため慶事を行うことを気にする必要はありませんが、縁起などを気にする人がいる場合は避けたほうが無難でしょう。

ただし秋彼岸の時期に咲く彼岸花には毒があるため、採取して持ち帰ったり誤って口にしたりしないようにしましょう。

お彼岸のお供え物

お彼岸では墓前や仏壇に何をお供えしたらいいのか、お供え物にはどういう意味があるのでしょうか。

ぼたもち・おはぎ

お彼岸のお供え物は春のぼたもちと秋のおはぎが定番、小豆の赤は邪気を払う効果がある

お彼岸にふさわしい定番のお供え物といえば、春彼岸のぼたもち(牡丹餅)と、秋彼岸のおはぎ(お萩)です。

それぞれ春の花である牡丹(ボタン)、秋の花である萩(ハギ)にちなんでいます。

秋に収穫される小豆は春になると皮が固くなって食べづらいため、一般的にぼたもちはこし餡で、おはぎはつぶ餡で作るとされています。

  • 春彼岸:ぼたもち(こし餡)
  • 秋彼岸:おはぎ(つぶ餡)

ちなみに小豆の赤は邪気を払う効果があり、貴重な砂糖を使用したお菓子であることから、これらをお供えすることでご先祖様への感謝を込めていたといわれています。

お供えするタイミングは春分の日・秋分の日にあたる中日にお供えして、その日にお下がりとしていただくのが一般的です。

彼岸団子

お彼岸のお供え物は地域によって彼岸団子があり彼岸入りと彼岸明けで変わる

地域によっては、彼岸団子と呼ばれるお団子をお供えする風習があります。

彼岸入りに供える団子を「入り団子」彼岸明けに供える団子を「明け団子」と呼び、地域によって形や積み方に違いがあるようです。

  • 彼岸入り(彼岸の初日):入り団子
  • 彼岸明け(彼岸の終日):明け団子

季節の果物

お彼岸は約1週間あるため日持ちする季節の果物もお供えに最適

お彼岸は約1週間あり長時間お供えしておくことも多いため、リンゴやオレンジ、メロンなどなるべく日持ちする種類の果物をお供えするのが望ましいです。

とはいえ、お供えする食べ物には特別な決まりはありません。

何より大切なのはご先祖様に喜んでもらうことであるため、故人が生前に好きだったものをお供えするのがよいでしょう。

仏花

お彼岸のお供え花として菊を中心とした仏花が適している

お彼岸だからといって、お供えするお花に決まりはありません。

普段のお墓参りと同様に、菊を中心とした仏花をお供えするのが一般的です。

故人の好きだった花や思い出の花など、大切な人にちなんだ花をお供えするのもよいでしょう。

ただし、花をお供えするといっても何でもよいというわけではありません。

お供えに適さない縁起の悪い花もありますので、詳しくは下記記事をご参考ください。

この世で先祖供養するお彼岸まとめ

お彼岸は季節が穏やかな春と秋にご先祖様や故人に思いを馳せることができる風習

1年の中でも季節が穏やかな春と秋にご先祖様や故人に思いを馳せることができる、お彼岸。

春のお彼岸も秋のお彼岸も基本的な準備や内容は変わりませんが、お供え物や花を季節に合わせる必要があります。

これまであまりお彼岸に関心をもったことがない人、また遠方に住んでいてなかなか帰省できない人やお盆が仕事で休めなかった人も、お彼岸に合わせてお墓参りができるいい機会ともいえるでしょう。

以下の記事では、ご先祖様を供養する点でお彼岸に似たお盆について紹介しています。

お盆の意味や起源、期間中にやってはいけないこと・過ごし方についても解説していますのでご参考ください。

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