地震や津波など、自然災害時の避難に欠かせない持ち出し用の防災グッズ。
簡易トイレと同じく、希望に合った防災グッズを見つけるのに難航したのが防災リュックです。
防災リュックとして購入する際に重視すべき条件やポイントをあらかじめ確認した上で、バッグやスポーツ専門店、アウトドアブランドなどあらゆる店舗を半年かけて探し続けました。
そして最終的に見つけ出した防災用のリュックは、コロンビアの「ペッパーロック 36Lバックパック」です。
今回は、防災リュックを購入・用意する際にチェックしておきたい条件や候補に挙がったリュックの特徴・感想レビューを紹介します。
また最終的にコロンビアのバックパックを購入するに至った経緯や特徴・仕様についても解説しますので、防災リュックを選ぶためのご参考になれば幸いです。
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防災リュックに求める3つの条件
まず筆者が防災リュックを探すのにあたり、購入条件として絶対に欠かせなかったポイントは以下の3つです。
- シンプルなデザイン
- 適度な収納量と使いやすさ
- 防水性と耐久性
シンプルなデザイン
サイズや用途などあらゆる種類が豊富にあるリュックの中でも、登山リュックは基本的に見た目がいかにも本格登山に向けた専用のデザインが一般的に多い気がします。
かといって日常で使うようなデイリーリュックでは、素材や収納量などが最低限の仕様で十分なため全体的に頼りないデザインが多いです。
シンプルな形状のデザインであることを前提に、内外ポケットはある程度必要ではあるもののどこかに引っかけてしまうような無駄な装飾は必要ない、そんなリュックを探していました。
適度な収納量と使いやすさ
大容量サイズの登山リュックでは、体格や体力にそぐわなければ行動量に限界が出てきます。
日常で使うような少量サイズのリュックでは最低限の防災グッズを収納するのに限界があるため、登山用と日常用のちょうど中間サイズのリュックを探していました。
また登山リュックは基本的に縦長の形が多く、収納量はあっても取り出しにくさが難点です。
特にリュック内の一番下にあるグッズを取り出すには、他のアイテムを一旦出さないといけないのは避けたいと考えていました。
防水性と耐久性
雨が降った時や泥水がかかるほどの行動を考えると、撥水・防水性能は必須条件です。
また型崩れがないように素材がしっかりしていることも重要で、防災グッズの重量に耐えうる丈夫さが欠かせません。
備考
物を購入する時に、一番気になるのは金額でしょう。
予算は特に決めていませんでしたが、上記の条件含め日常的に使うほど頻度が少なくても割に合う価格として高くても2万円以内が理想です。
本音では1万円を切ることが一番いいですが、素材や機能を考えるとあまり制限をつけないようにしていました。
候補に挙がった3つのリュック特徴・感想
前述の購入条件をもとに半年をかけて、バッグやスポーツ専門店、アウトドアブランドなどあらゆるジャンルの販売店を巡りました。
数ある中で防災用として活用できそうなリュックとして、まず候補に挙がったのが以下の3商品です。
- BCヒューズボックス2(ノースフェイス)
- リュックスクエアボックス(マンハッタンポーテージ)
- キトラパック(モンベル)
BCヒューズボックス2(ノースフェイス)
ノースフェイス(THE NORTH FACE)の「BCヒューズボックス2(NM82255)」は、代表的なロングセラーモデルとして高い人気を誇るボックス型のデイパック(リュック)です。
BCヒューズボックスの特徴
BCヒューズボックスは、1000デニールのリサイクルポリエステルをメイン素材にTPEファブリックラミネートという濡れや汚れに強い素材が使われ、重い荷物でも気兼ねなく収納できる高い耐摩耗性があります。
15インチまでのノート型PCが収納できるパッド付きスリーブと、両サイドにはフラップ付きポケット、フロントには小物類の出し入れがしやすいジッパー付きの縦型ポケットを装備しています。
BCヒューズボックスの感想レビュー
筆者が防寒アウターや普段履きの靴に普段からノースフェイスを愛用していたため、防災リュックとして使えそうだと最初に浮かんだのが、このボックス型のBCヒューズボックス2です。
当初は素材が硬めで型崩れしにくいボックス型の形状と、表面と裏面のツヤ具合から防水性が高い点でプラスポイントでした。
荷物の出し入れが容易にできる大きな開口部も魅力で、実際に背負ってみたところ肩紐が厚めでしっかりしていて肩が痛くならない安定感がありました。
しかし見た目ではたくさん入るイメージがあるものの、30Lある容量にしては収納力が低い印象です。
旅行や出張といった日帰りや泊まりに利用するには容量が少なく、通学・通勤やスポーツなどの普段利用には向いているイメージがありました。
リュックスクエアボックス(マンハッタンポーテージ)
マンハッタンポーテージ(Manhattan Portage)のネイビーヤードシリーズに、ノースフェイスのBCヒューズボックスに似たボックス型で「リュックスクエアボックス(MP2231・MP2231L)」があります。
リュックスクエアボックスの特徴
リュックスクエアボックスは、270°開閉できるメインコンパートメントでA3ファイルが収納できる大容量かつスマートなサイズ感です。
裏地にPVC加工を施した420Dコーデュラナイロンを採用しているため、濡れたものを入れても安心です。
表側4つ・内側3つと充実した収納ポケットを配置し、PC収納に適したクッション付き内ポケットを搭載しています。
メインコンパートメントとは
メインコンパートメントは荷物を入れる袋状の部分で、いわゆる荷室のことです。
リュックスクエアボックスの感想レビュー
リュックスクエアボックスは、先に紹介したノースフェイスのBCヒューズボックス2と同じサイズ感ですが、通常サイズ(MP2231)を約110%に拡大したラージサイズ(MP2231L)があります。
公式サイトでは29Lと表記されているもののノースフェイスのBCヒューズより大きい気がしたため店員さんに聞いたところ、容量はメーカーや生産国によって基準が違うとのことで32L程度が目安との回答をいただきました。
ノースフェイスのBCヒューズボックスより容量が大きくポケットもそれなりに充実しており、売り切れが続出するほど人気アイテムに納得がいったほどです。
しかし素材が比較的薄く柔らかめで、使っていくうちに形が崩れて荷物が下へ集中していきそうな頼りなさがマイナスポイントと感じました。
キトラパック(モンベル)
モンベル(montbell)のキトラパックは、充実した機能を備え日帰りから2泊程度の登山に適した軽量な2気室モデルです。
キトラパックの特徴
キトラパックは、操作性と防水性に優れたシンプルで使いやすいロールアップシステムを搭載しているため開閉がしやすく、巻き込み具合で圧縮調整が可能です。
開口部が逆台形で広くなっているため、中身が探しやすくなっています。
また中型リュックでの容量は30L・35L・40L・45Lの4サイズあり、2気室と1気室の切り替えがしやすく使い勝手のよいポケットも多数装備しています。
男女兼用と女性用の2種類があり、女性用は機能・デザインはそのままに背面長・ヒップベルト・ショルダーハーネスを女性の身体に合わせた設定で、身長145~165cmに適したモデルです。
キトラパックの感想レビュー
キトラパック(30L)は登山リュックでも本格登山に見えないシンプルなデザインで、無駄な装飾がないことも候補に入りました。
また開口部分がロール式で、開けた時に逆台形で広くなっている点が目的のアイテムを探しやすく出し入れしやすい理想的に近い形状と機能でした。
体の動きに合わせて常にフィットする安定感と快適な背負い心地も魅力です。
一方で気になったのは価格で、防災リュックのために約3万円近くになる商品を購入する必要があるのかという点が引っかかり一旦保留にしました。
3拍子揃ったコロンビアのバックパック
前述の通り、当初はノースフェイスやマンハッタンポーテージで見られるボックス型のリュックが無駄のないシンプルな形と防水・耐久性のよさで候補に入りましたが、収納量があまりないことが懸念でした。
いかにも登山リュックの見た目ではない、容量のある通常のリュックでも30Lにも満たさないものがほとんどです。
そして30L以上の収納量があるリュックを条件として重きを置きながら見つけたのが、コロンビアの「ペッパーロック 36Lバックパック」(品番:PU8710)でした。
登山用でもなく普段用でもなく、どちらかというと旅行・出張用に近い用途といった方が適しているでしょうか。
無駄な装飾もないシンプルな形で、仕様を確認した上ですぐに購入を決めました。
ペッパーロック 36Lバックパックの特徴
コロンビアのペッパーロック 36Lバックパックには、主に以下の特徴があります。
- 無駄のないシンプルデザイン
- 軽すぎず重すぎず適度な収納量
- 多数の機能的なポケット
- 撥水性と収納力が抜群
- 安すぎず高すぎない良心的な価格設定
無駄のないシンプルデザイン
ペッパーロックは全体的に無駄な装備がなく、シンプルで機能的なバックパックです。
普段使いから出張などのビジネス、旅行、アウトドア、スポーツなど幅広いシーンに使えます。
メインポケットがスーツケースのようにガバッと開くため、荷物の整理がしやすく目的のアイテムも取り出しやすいです。
内部は彩度を抑えたマスタードに近い黄色が落ち着いており、荷物を探しやすくしています。
軽すぎず重すぎず適度な収納量
種類が豊富なリュックの容量には通常用のデイリーパック(デイリーリュック)は18Lから、登山リュックは30Lからありますが、ペッパーロックは見た目も収納量も程よい36Lの中間サイズです。
また登山リュック特有に見られる縦長の形とは違い、適度に幅のあるスタイリッシュなフォルムで左右のバランスがとりやすく幅広いシーンにもフィットします。
大は小を兼ねるというように、通常のデイリーリュックよりは収納量が多く使い勝手もよいです。
多数の機能的なポケット
ペッパーロックにはメインコンパートメント内部にメッシュポケットのほか、15インチのノートPCを収納できるクッション入りオープンポケットがついています。
またファスナー付きのフロントトップポケットと、両サイドにはボトル類を収納できるストレッチポケットもついています。
さらにファスナー付きのボトムコンパートメントがあり、底からも荷物を取り出すことができる二気室タイプです。
メインコンパートメントとは
メインコンパートメントは荷物を入れる袋状の部分で、いわゆる荷室のことです。
撥水性と機能性が抜群
ペッパーロックには、オムニシールドという素材そのものの風合いを残しながら小降りの雨や泥汚れなど水を効果的にはじく機能があります。
有機フッ素化合物を含まない撥水加工製品としてPFASフリーと表記されており、強度が高くシワになりにくい素材です。
また取り外しが可能なチェストストラップと、収納が可能なウエストベルトも備えています。
安すぎず高すぎない良心的な価格設定
前述で紹介したモンベルのキトラパックは30L容量で26,400円(税込)であるのに対して、コロンビアのペッパーロックは36Lと大きいのに16,940円(税込)です。
同じアウトドアブランドとして、防水性のあるしっかりとした素材と程よく容量の大きいバックパックでこの価格設定は良心的かつ魅力でした。
無駄な装飾を省いたシンプルなデザインだからこそ叶った設定かもしれませんが、スタイリッシュで機能的なバックパックとしては安いと考えています。
ペッパーロック 36Lバックパックの気になる注意点
筆者が個人的に引っかかった点や不便な点はありませんが、人によって好みや価値観が分かれるため気になりそうな注意点は以下の通りです。
- 撥水レベル
- 内部は黄色
- 普段使いには向かない
撥水レベル
表地は水を効果的にはじくオムニシールド素材ではあるものの、完全な防水効果はありません。
中身が濡れてはまずい場合は、防水スプレーをかけるか別売の防水カバーを購入した方がいいでしょう。
内部は黄色
人によって好き嫌いが分かれますが、内部は表地と同じ黒ではなくマスタードに近い黄色です。
どのアウトドアブランドのリュックでも表面と裏面の色違いは同系色が多く、なかなか見かけることのない強烈な色の組み合わせには驚くでしょう。
筆者は内部が発色のある鮮やかな黄色だったら購入に躊躇したと思いますが、彩度の低い黄色で中身を見つけやすい点でもよかったです。
普段使いには向かない
出張や旅行など大容量の荷物を要する泊まりには適していますが、見た目や収納力が思ったよりも大きいため日常使いには向いていないかもしれません。
クッション性のある太めのショルダーベルトはじめ、チェストストラップやウエストベルトもついているため日常用には仰々しく見えるかもしれません。
筆者は防災リュックとして購入したため、登山リュックには見えないことと通常のデイリーリュックより容量の多いサイズ感で使い勝手がよく満足しています。
防災リュックに入れておくべき基本的な防災グッズについては、下記記事をご参考ください。
-
2度の地震体験から学んだ、防災グッズとして絶対に必要なものを要チェック
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ペッパーロックと候補リュック3つの仕様・比較表
コロンビアのペッパーロック 36Lバックパックと、上記で紹介した候補リュック3つの仕様などを比較表にしましたのでご参考ください。
項目 | ペッパーロック 36Lバックパック | BCヒューズボックス2 | リュックスクエアボックス | キトラパック |
---|---|---|---|---|
メーカー | コロンビア | ノースフェイス | マンハッタンポーテージ | モンベル |
品番 | PU8710 | NM82255 | MP2231L | 1133414 |
素材 | ナイロン100% | 1000Dのリサイクルポリエステル 840Dのリサイクルナイロン | コーデュラナイロン素材 420Dナイロン | 100Dのバリスティックナイロン |
サイズ | H54×W30×D21cm | H46×W33×D15cm | H51×W34×D17cm | H66×W28×D21cm |
容量 | 36L | 30L | 29L(32L目安) | 30L (他に35L・40L・45L・50L) |
重量 | 1,290g | 1,085g | 1,278g | 1,250g |
価格 | 16,940円(税込) | 22,770円(税込) | 28,600円(税込) | 26,400円(税込) |
主な機能 | 大きな開口部 豊富で機能的なポケット | 型崩れしにくいボックス型 ノートPCが収納できるスリーブ | A3サイズ収納可能 表側ポケット4つ 内側ポケット3つ | 使い勝手のよいポケット 背中の蒸れを解消する3Dメッシュ |
※素材:D=デニール、サイズ:H=高さ・W=幅・D=奥行き
商品名(メーカー) | 感想・評価 |
---|---|
ペッパーロック 36Lバックパック (コロンビア) | 防水性能は期待できないが、登山リュックではないのに36Lの収納量や豊富なポケットはポイントが高い |
BCヒューズボックス2 (ノースフェイス) | シンプルなボックス型と防水性能に優れた丈夫な素材だが、見た目に反して収納量が小さめ |
リュックスクエアボックス (マンハッタンポーテージ) | 収納量がデイリーパックより大きくポケットも多いが、素材が比較的柔らかめで荷物が下に集中する懸念 |
キトラパック (モンベル) | 形状や性能はアウトドアブランドらしく完璧だが、性能がいいだけに価格が高価 |
\デザイン・機能面を重視したアウトドアスポーツ用品多数/
番外編:お手頃価格で収納力の高いリュック
前述で紹介したコロンビアのリュックを見つける前に、当面の措置として購入したリュックがあります。
ここでは、1万円以内のお手頃価格でたっぷり収納ができるピックイージー防災リュックを紹介します。
ピックイージー防災リュックとは
ピックイージー防災リュックは、加賀産業株式会社が製造・販売する使い心地にこだわった多機能リュックです。
加賀産業株式会社は主に航空宇宙機器の製造・販売を手がけていますが、東日本大震災での被災により防災用品の開発に力を入れています。
特徴(1)33Lの大容量
ピックイージー防災リュックは、見た目がデイリーパックでありながら33リットルの容量です。
開口部が大きく開くため中身を簡単に取り出しやすく、大きめのフロントポケットが3ヶ所、幅広で底が深めのサイドポケットが左右にあり500mlのペットボトルを入れても余裕があります。
大きさがわかるように2Lのペットボトルを1本置いてみましたが、高さも幅も余裕があることがわかります。
特徴(2)防災機能も装備
胸ベルトのバックル部分がホイッスルになっており、正面とベルト部分に反射板を設置することで夜間も安心です。
日常でも違和感のないカジュアルなデザインのため、通常のデイリーパックとしても使えます。
特徴(3)折り畳み式ヘルメットも収納可能
内部には防災用ヘルメットのオサメット(別売)専用のポケットがついており、コンパクトに収納できるのもいい点です。
オサメットとは、加賀産業株式会社が製造・販売する折り畳み式の防災用ヘルメットです。
蛇腹形状の収縮式で大きさがA4サイズ・薄さが45mmとコンパクトなため、収納袋や引き出しからさっと取り出せるなど場所を取らずに収納できて持ち運びにも便利です。
オサメットはもともとヘルメットの名前ですが、現在ではブランド名として扱っているためリュックにはオサメットのロゴがついています。
フロントにあるポケットにもオサメットを収納できるため、防災グッズを整理する時に組み合わせを変えることが可能です。
オサメットについては、下記記事をご参考ください。
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被災経験を糧に生まれた2つの防災ヘルメット、オサメットとボウメットの特徴や機能
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ピックイージー防災リュックの主な仕様
メーカー | 加賀産業株式会社(オサメット) |
素材 | ポリエステル 600Dキャンバス |
サイズ | 高さ45×幅32×奥行き18.5cm |
容量 | 33L |
重量 | 560g |
カラー | ベージュ/カーキ |
価格 | 7,980円(税込) |
防災グッズ一式が一緒になったセットもありますが、折り畳み式のオサメットは別売りになります。
防災リュックの選び方まとめ
屋外へ避難する時の持ち出しに欠かせない防災リュック。
リュック内に入れる防災グッズの量に合わせることはもちろんですが、個々の体格や体力によっても選び方は変わってきます。
まずは上記で紹介した商品の形状やサイズ・仕様をチェックしながら、実際に身体に合うか背負ってみることも重要です。
もしもの避難時、あなたにとって動きやすく使いやすい防災リュックを見つけてください。
以下の記事では、筆者が効率的に買い揃えたもしもの備え、防災グッズの参考例を紹介しています。
停電や断水が生じた場合を想定した内容になっていますのでご参考ください。
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2度の地震体験から効率的に買い揃えたもしもの備え、防災グッズの参考例
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また強い地震が起きた時、揺れが収まった時にやること・注意することの行動についても下記記事で解説していますので併せてお読みください。
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