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蓮(ハス)の起源や特徴、京都と関東のおすすめスポット6選

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夏になると、田んぼや沼などの濁った泥水の上で咲く蓮の花(ハス)。

泥の中で育ち、美しく咲く様子が仏教のあり方に通じるとして、仏教やヒンドゥー教などの宗教とも関わりがあるとされる植物です。

今回は、ハスの起源や特徴を解説した上で、ハスの咲き揃うスポットを厳選して紹介します。

蓮の花、ハスとは?

ハスと宗教

ヒンドゥー教の神話には、泥の中から茎を伸ばして花を咲かせるハスの様子が清らかに生きることを意味して登場します。
このイメージが仏教にも継承されていき、知恵や慈悲の象徴として死後の極楽浄土に咲く花として親しまれました。

そのため、如来像の台座や厨子という仏具の扉などにハスが彫られています。
このような宗教的背景からインドやベトナム、スリランカでは国花とされ、多くの人に愛されています。

田んぼや沼などの水辺に咲くハスですが、泥水の中で育つので澄んだきれいな水は好みません。

むしろ泥水が濃いほど、まっすぐに伸びて美しい花を咲かせるのです。
泥を人間の煩悩や苦しみに見立て、どのような苦難が人生の中にあっても、心を汚れさせることなく美しく生きよう、という仏教の教えがあります。

そのことからハスは、仏教では「蓮華(れんげ)」という呼び名で、極楽浄土を象徴する花です。

ハスの特徴、由来

ハスは、スイレン科の多年生水草で、独特の花や葉っぱが美しい水生植物です。
春は水底や土の中に地下茎を作り、最初に出る2枚の葉が水面に浮き、その後に出る葉は水上に出て成長していきます。
夏になると、淡紅色や白の花が開き、水の上に花茎を出して咲きます。

花が朽ちて秋も深まる頃には、土中にある地下茎が私たちも目にするレンコン(蓮根)となり、種類によっては食べることができます。
確かに漢字で見ると、蓮の根と書くので納得がいきませんか?

葉は特殊な構造で水をはじく性質があるため、雨水の雫が水の玉になって浮かんでいるのを見たことがあるでしょう。
また、葉の筋が空洞になっているため、茎から水を流し込むと葉の先から水がシャワーのようにあふれ出るといった面白い特徴もあります。

ハスという呼び名は「蜂巣(はちす)」の略とされ、蓮の実の入った花床はたくさんの穴が空いていて蜂の巣のように見えることからきています。

ハスが咲く時期

開花したハスの花は、7月中旬から8月中旬まで見頃が続きますが、実は命が短く、花びらが開き始めてからわずか4日程度で散ってしまいます。
また、午前中に咲き、午後には蕾のように閉じてしまうため、満開の花を目にするには開花2日目の朝7時から9時ごろがおすすめといわれています。

京都と関東のおすすめ蓮スポット6選

約4日間しかない短い命だけに、力強く清らかに咲くハス。
そんな数少ないチャンスを逃さず、たくさん観られるハスのおすすめスポットを紹介しましょう。

法金剛院(京都)

極楽浄土をなぞらえた庭で名高い法金剛院は、通称「蓮の寺」とも呼ばれています。

極楽浄土には青、黄、赤、白の大きな蓮の花が咲いていることにちなみ、4色の蓮の花が法金剛院に集められています。
特別名勝に指定されている回遊式庭園には、大賀ハスや王子ハスなど約90品種ものハスが色とりどりに次々と咲き揃います。
その見頃となる真夏の早朝には、「観蓮会」が行われます。

淡いピンクから濃いピンクに白や黄色など、さすがに品種名までは覚えられないほどハスの種類が豊富です。

境内の真ん中にある蓮池では葉が育ちすぎて肝心のハスを眺めながら写真を撮ろうとすると難しいですが、池以外にも境内には所狭しとハスを植えた鉢が並んでいます。
しかも同じ目線の高さにあるのでじっくりと眺めることができますし、お寺を背景に蓮の花を撮影することもできます。
身長を超えるほど高さのあるハスには青空とぴったりですし、気がつけば昼を過ぎてしまっているほど心が洗われる気持ちになります。

法金剛院は、平安初期に右大臣であった清原夏野が山荘を建てた場所を寺に改め、双丘寺が営まれていましたが、後に文徳天皇が大伽藍を建てて天安寺としたのを、1130年に待賢門院が復興し法金剛院としたといわれています。

筆者はJR嵯峨野線を利用する時は嵐山までいけるので、途中停車駅にあるこの法金剛院でハスを堪能した後に嵐山エリアを計画的に巡っていました。

法金剛院
JR嵯峨野線「花園」駅より徒歩3分
京都市営地下鉄烏丸線「丸太町」駅から市バス93系統で「花園扇野町」下車すぐ
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三室戸寺(京都)

京都・宇治エリアにある「あじさい寺」として有名な三室戸寺ですが、ハスの名所でもあります。

本堂前には「蓮園」があり、有名な大賀ハスや古代ハス、陽山紅から、珍しい品種の大洒錦など約100種250鉢もある色とりどりのハスが観られます。

蓮園は見頃を迎える6月下旬から8月下旬まで開園されます。
なお、アジサイの咲く「あじさい園」は6月から7月初旬まで開園されるそうなので、タイミングを合わせることができれば一緒に堪能することもできるでしょう。

三室戸寺は、奈良時代に創建された古寺で、光仁天皇が付近の渓流から現れたという観音像を祀ったことが始まりです。
天皇ゆかりの寺は「御室戸寺(みむろとじ)」と称され、その後、光仁・花山・白河の三天皇の離宮になったことから、「御」の字を「三」に変え「三室戸寺」となりました。

アジサイやハスだけでなくツツジやシャクナゲ、菖蒲など、特に春から夏にかけての花が美しい寺院として観光客の人気を集めています。

当時ハスだけが目的だった筆者は知らなかったのですが、境内にはさまざまな石像が置かれているとか。
狛犬ならぬ「狛兎」はじめ、牛や蛇の像もあるそうで三室戸寺にきたら探してみてください。

三室戸寺
京都府宇治市莵道滋賀谷21
京阪電車「三室戸」駅より徒歩15分
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古代蓮の里(埼玉)

古代蓮の里は、約1400年から3000年前のものとされる行田蓮(古代蓮)をはじめとする42種、約12万株ものハスが植えられています。
行田蓮(古代蓮)は、埼玉県行田市の花で市指定天然記念物でもあり、例年6月中旬から8月上旬にかけて見頃を迎え蓮池一面に咲きます。

この古代蓮の里では、もう1つの見どころがあり、7月中旬から10月中旬にかけて古代蓮会館にある展望室より田んぼアートを望むことができます。
2008年に始まった行田市の田んぼアートは、毎年多数のボランティアや参加者により田植えが行われ、オリジナルのデザインだけでなく、映画やドラマ、ゲームなどともコラボレーションしています。
2015年には、面積が世界最大の田んぼアートとしてギネス世界記録に認定されました。

14ヘクタールの広大な公園に樹木や水生植物、草花など自然がたくさん見られ、敷地内にはジオラマや大スクリーン映像が楽しめる古代蓮会館やうどん店もありますので1ヶ所で1日をゆっくり過ごすには最適です。

古代蓮の里
埼玉県行田市大字小針2375番地1
JR高崎線「行田」駅東口より行田市市内循環バスの観光拠点循環コースに乗り、古代蓮の里下車
秩父鉄道「行田市」駅南口より行田市市内循環バスの東循環コース右回りに乗り、古代蓮の里下車
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上野不忍池(東京)

東京都内で見るハスの名所として、まず思い浮かぶのが上野不忍池という人も多いのではないでしょうか。
ハスの見頃時期には、朝早くから多くの人がカメラを持って訪れシャッターを押しています。

蓮池の範囲が広すぎるので数輪咲き揃うのを見る機会は少ないですが、遠めに見た時の風景は格別です。
特に池の中に佇む弁天堂を背景に撮影をすると、インスタ映えにも最適です。

不忍池は「しのばずのいけ」と呼び、京成線の上野駅と繋がっている上野恩賜公園の南に位置し周囲は約2キロ、全体で約11万平方メートルあります。
東京湾の入り江だったのが、平安末期ごろに海と分かれて沼となったといわれています。

上野不忍池
東京都台東区上野公園・池之端三丁目
京成線「上野」駅より徒歩約3分。
JR「上野」駅不忍口より徒歩約7分
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薬師池公園(東京)

東京都町田市にある薬師池公園では、北端に約3000平方メートルあるハス田があり、例年7月下旬から8月上旬にかけ約120本もの大賀ハスが咲き誇ります。

大賀ハスは、千葉県の検見川にある遺跡で発見された2000年ほど前のハスの実から発芽したものだといわれています。

発掘調査から発芽に成功させた植物学者・大賀一郎博士の名前から「大賀ハス」という品種名がつきました。
その後千葉県の千葉公園に移植され、その後、愛好者らの手によって日本各地にも株分けされていきました。

薬師池公園の案内板によると、その株分けされた大賀ハスが相原町の円林寺と大蔵町の柏木常吉氏のところにあったのをさらに薬師池公園へ株分けしたものとされています。

大きく開いたハスの花はもちろん美しいですが、薬師池公園のハスは葉が高く花が低い位置にある印象で、葉の隙間に見え隠れする蕾もきれいです。
その場所で花開く姿は、陰のある控えめな美しさを感じます。
重なり合って茂る葉そのものも瑞々しい緑で、その葉の上で玉となった水滴にも風情があるでしょう。

見頃の時期に合わせて開催される観蓮会では、ハスの葉に注いだお酒を飲むイベントなどが行われます。
薬師池公園のある四季彩の杜は複数のエリアで構成されており、敷地内にはリス園もあるので小動物との触れ合いも楽しむのもおすすめです。

薬師池公園
東京都町田市野津田町3270
小田急線「町田」駅北口、POPビル先にある21番のバス乗り場から本町田経由鶴川行き、または本町田経由野津田車庫行きで「薬師池」または「薬師ヶ丘」下車
有料駐車場あり
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千葉公園(千葉)

千葉公園では、大賀ハスが蓮華亭前のハス池に群生し、多い時には700輪を超える蓮の花が咲きます。

千葉公園は、古代ハスの発祥地であり故郷でもあるとされています。
1951年、古代の丸木舟が発見された千葉県検見川の遺跡を植物学者の大賀一郎博士らが発掘調査をしていたところ、ハスの実が3個発見されました。
シカゴ大学で分析鑑定した結果、ハスの実は約2000年前(縄文時代)のものであることが判明しました。
大賀博士はこの3個のうち1個の発芽に成功し、翌年には見事なハスの花を咲かせました。

2000年の眠りから目覚めた古代のハスは国内外で大きな話題を呼び、大賀博士の名をとって「大賀ハス」と呼ばれるようになりました。
大賀ハスは千葉公園に移植され、その後愛好者らの手によって日本各地や海外にも株分けされていきました。
そして、大賀ハスは千葉市の天然記念物に指定され、さらに千葉市の花にもなり、千葉公園には大賀蓮記念碑が建てられています。

千葉公園の大賀ハスは、先に紹介した薬師池公園より開花時期が早いようで、例年6月上旬には花開き、6月中旬から7月上旬に見頃を迎えます。

筆者が訪れた時にはほぼ終わりかけだったため、多くの写真を撮れなかったのですが、いつかリベンジしたいと思います。

千葉公園
千葉市中央区弁天3-1-1
千葉モノレール「千葉公園」駅下車すぐ
JR・京成「千葉」駅より徒歩約10分
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終わりに

以上で、ハスの特徴から由来、おすすめの蓮スポットを紹介しました。

全国的に見ると、他にもおすすめしたいところはあるのですが、今回はハスをできるだけ間近で見られるスポットに絞ってみました。

古くから広く親しまれ、仏教では神聖な花としても知られている蓮の花。

ハスは澄んだ水は好まず、むしろ泥水が濃いほど大きく美しい花を咲かせます。
どんなにつらい環境にあっても決して腐らず、清く美しい花を咲かせる様子から、「清らかな心」という花言葉がついています。

また、午前中に咲いた花が午後には閉じてしまう規則正しさから「休養」、たった4日間の短い命で花びらが1枚ずつ落ちていく散り方から「離れゆく愛」との花言葉もあります。

泥の中から清らかな花を咲かせるハスの姿を見て、私たちも苦しみや困難を乗り越えて、いつか清く浄化されて美しい大輪の花を咲かせたいものですね。

※使用カメラは、Cannon EOS 5D MarkⅡ、SONY NEX-5R

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