一般的にはあまり馴染みの少ない、九星。
昔の開運カレンダーなどで、一白・二黒・三碧・四緑・五黄…と書かれているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。
九星は個人の運勢や方位の吉凶を占う手段として用いられていますが、本来は暦とはまったく関係のない占法の1つです。
二十八宿や十二直と異なり実際の天体ではなく、古代中国の陰陽五行説や干支から派生して生まれた日本独自の占術といわれています。
今回は、九星とはどんな暦なのか基本的な概要から、中央に位置する五黄土星が特別な星である理由を紹介します。
1940年生まれからの九星カレンダーも掲載していますので、生まれ年からあなたの九星(本命星)を知るきっかけになれば幸いです。
九星とは
九星(きゅうせい)は、古代中国から伝わってきた一白・二黒・三碧・四緑・五黄・六白・七赤・八白・九紫の9つある星を指します。
しかし万人の吉凶を占う二十八宿や十二直とは異なり、実際の天体ではありません。
一から九までの数字と、白・黒・碧・緑・黄・赤・紫の7つある色、水・土・木・金・火の五行、八卦(はっけ)との組み合わせによって運勢や方位の吉凶を占うものです。
一白水星・二黒土星・三碧木星・四緑木星・五黄土星・六白金星・七赤金星・八白土星・九紫火星というと、聞き覚えがある方も多いでしょう。
生まれ年から自分の九星(本名星)を導き出し、年・月・日に割り当てられた九星との関係によって吉凶・運勢を判断します。
それぞれの星によって、その人の性格や運勢・相性・方位などがわかる仕組みです。
九星の由来
九星は、古代中国の神話である河図(かと)と洛書(らくしょ)から始まり、のちに易の八卦に配当されました。
唐の時代の末に成立したと考えられています。
しかし九星の占術は、香港や台湾の現行暦にも記載されていない日本独自のものです。
九星が暦に記載された歴史は新しく、明治以降に発行された運勢暦や開運暦といった暦本に占いとして記載されています。
その後、占術家らにより独自の解釈が施され現代では九星の占術を「九星気学」とも呼んでいます。
九星の各星それぞれの特徴・属性
日本の陰陽道では、木・火・土・金・水の五行や十干十二支、八卦を組み合わせて九星盤を作成し、その人の生まれ年や方位に割り当てて運勢や方位の吉凶を占うことが多いです。
九星(読み) | 色 | 五行 | 方位 | 八卦 |
---|---|---|---|---|
一白水星 (いっぱくすいせい) | 白 | 水 | 北 | 坎(かん) |
二黒土星 (じこくどせい) | 黒 | 土 | 西南 | 坤(こん) |
三碧木星 (さんぺきもくせい) | 青 | 木 | 東 | 震(しん) |
四緑木星 (しろくもくせい) | 緑 | 木 | 東南 | 巽(そん) |
五黄土星 (ごおうどせい) | 黄 | 土 | 中央 | 太極 |
六白金星 (ろっぱくきんせい) | 白 | 金 | 西北 | 乾(けん) |
七赤金星 (しちせききんせい) | 赤 | 金 | 西 | 兌(だ) |
八白土星 (はっぱくどせい) | 白 | 土 | 東北 | 艮(ごん) |
九紫火星 (きゅうしかせい) | 紫 | 火 | 南 | 離(り) |
八卦とは
八卦(はっけ)は、陰陽五行において陰と陽をさらに細かく8つに分けた形です。
それぞれに陰陽があり八卦で森羅万象を表すとされ、九星では九星の位置に関係しています。
古代中国から伝わる易から生まれた易で、易の根源は宇宙の万物の根源である「太極」といわれます。
その太極から陰と陽という対立する2つの考え方で生まれた「両義」からさらに陰と陽がそれぞれ2つずつ派生し「四象」という4つの記号ができました。この4種類の陰陽からさらに、それぞれ陰陽が派生して8つの記号ができ、これが「八卦」です。
八卦は上記表の通り、中央にあたる太極を除く乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の8つで構成されています。
五黄土星は帝王の星
前述の九星図や表で気づいた人もいるでしょう、五黄土星の方位は中央に位置し8種類ある八卦の1つではありません。
五黄土星はなぜ中央に位置し、どういう意味があり他の星とはどんな違いがあるのでしょうか。
五黄土星の属性
五黄土星は、九星図で見ると中央に位置していることから方位や時間などをもたない特別の意味をもつ星です。
他の8星を支配する帝王の星でもあり、生み出されるのも死滅するのもすべて五黄土星が影響しているとされているため壊乱の星ともされています。
方位:中央
五行:土
色:黄色
八卦:なし(太極)
月日:なし
時間:なし
数:五、十
十干:戊・己
十二支:なし
季節:土用(四季)
五黄土星が中央にいる理由・意味
五黄土星の五は数字の5という意味ではなく、中央・中心を意味する五です。
宇宙には木・火・土・金・水の五気があり人間には五臓や五感があるように、五は中央を指す5であり、活動の根源や生物の新陳代謝の本源を意味します。
生物が地上に現れるまでは、自然八象しか存在していませんでした。
一白水星:水
二黒土星:大地
三碧木星:雷
四緑木星:風
六白金星:天
七赤金星:沢
八白土星:山
九紫火星:火
その8つの自然界に出現した生物を象徴しているのが五黄土星です。
生物とは人間そのものを指しており、人間は自然を破壊しながら取り込まなければ生きていけないことを表しているともいえます。
つまりこの五黄土星を中心に、周囲を自然八象が取り囲んでいる図が九星気学の基本というわけです。
九星図で見ると中央に位置しているように五黄土星は特異な存在であり、方位をもたず他の星を従えて支配する帝王の星となります。
五黄土星の五行は土
五黄土星の五行では、土に属しています。
二黒土星と八白土星も同じ土の属性ですが、五黄土星は砂漠や荒野、土砂崩れ、地球そのものなどを表し破壊する力や腐敗させる力があります。
五黄土星の色は黄色
前項の表にある通り、五黄土星の色は黄色です。
ヨーロッパでは宗教的な概念として、黄色は好まれる色ではありません。
しかし中国では、陰陽五行説の五行思想から中心を意味する黄色が重要視されていました。
宋から清の時代までは黄色は皇帝の色として重んじられ、一般の人が着ることを禁じていたのです。
タイなどで僧侶は黄色の袈裟を着用していますが、個人的には黄色は金色のイメージからきているのではないかと感じています。
あなたの九星=本命星はどれ?
九星は、暦注の1つではあるものの六曜や十二直のような万人向けではなく、1人1人の吉凶を判断するものです。
生まれた年によって九星に分類されるため、まずは自分の九星を知ることから始まります。
その生まれ年の九星が、その人の本命星(ほんみょうしょう)です。
本命星は生まれた年の年盤の中央に位置する星のことで、その人の本質を司るものだといわれています。
- 一白水星(いっぱくすいせい)
- 二黒土星(じこくどせい)
- 三碧木星(さんぺきもくせい)
- 四緑木星(しろくもくせい)
- 五黄土星(ごおうどせい)
- 六白金星(ろっぱくきんせい)
- 七赤金星(しちせききんせい)
- 八白土星(はっぱくどせい)
- 九紫火星(きゅうしかせい)
本命星の選び方
九星は立春から1年が始まる旧暦を用いているため、1月1日から節分の間に生まれた人の本命星は前年の年になります。
2月4日~12月31日生まれの人は生まれた年、1月1日~2月3日生まれの人は生まれた年の前年度を選んでください。
ただし、節分の日は毎年日にちが異なりますので事前に確認しましょう。
節分については、下記記事をご参考ください。
-
節分の日にやってはいけないことは?豆まきの目的や恵方巻きに使う食材7つの意味
2024/10/25
一白水星の人
一白水星(いっぱくすいせい)生まれの人は、以下の通りです。
- 1945年(昭和20年)
- 1954年(昭和29年)
- 1963年(昭和38年)
- 1972年(昭和47年)
- 1981年(昭和56年)
- 1990年(平成2年)
- 1999年(平成11年)
- 2008年(平成20年)
- 2017年(平成29年)
二黒土星の人
二黒土星(じこくどせい)生まれの人は、以下の通りです。
- 1944年(昭和19年)
- 1953年(昭和28年)
- 1962年(昭和37年)
- 1971年(昭和46年)
- 1980年(昭和55年)
- 1989年(平成元年)
- 1998年(平成10年)
- 2007年(平成19年)
- 2016年(平成28年)
三碧木星の人
三碧木星(さんぺきもくせい)生まれの人は、以下の通りです。
- 1943年(昭和18年)
- 1952年(昭和27年)
- 1961年(昭和36年)
- 1970年(昭和45年)
- 1979年(昭和54年)
- 1988年(昭和63年)
- 1997年(平成9年)
- 2006年(平成18年)
- 2015年(平成27年)
四緑木星の人
四緑木星(しろくもくせい)生まれの人は、以下の通りです。
- 1942年(昭和17年)
- 1951年(昭和26年)
- 1960年(昭和35年)
- 1969年(昭和44年)
- 1978年(昭和53年)
- 1987年(昭和62年)
- 1996年(平成8年)
- 2005年(平成17年)
- 2014年(平成26年)
五黄土星の人
五黄土星(ごおうどせい)生まれの人は、以下の通りです。
- 1941年(昭和16年)
- 1950年(昭和25年)
- 1959年(昭和34年)
- 1968年(昭和43年)
- 1977年(昭和52年)
- 1986年(昭和61年)
- 1995年(平成7年)
- 2004年(平成16年)
- 2013年(平成25年)
- 2022年(令和4年)
六白金星の人
六白金星(ろっぱくきんせい)生まれの人は、以下の通りです。
- 1940年(昭和15年)
- 1949年(昭和24年)
- 1958年(昭和33年)
- 1967年(昭和42年)
- 1976年(昭和51年)
- 1985年(昭和60年)
- 1994年(平成6年)
- 2003年(平成15年)
- 2012年(平成24年)
- 2021年(令和3年)
七赤金星の人
七赤金星(しちせききんせい)生まれの人は、以下の通りです。
- 1948年(昭和23年)
- 1957年(昭和32年)
- 1966年(昭和41年)
- 1975年(昭和50年)
- 1984年(昭和59年)
- 1993年(平成5年)
- 2002年(平成14年)
- 2011年(平成23年)
- 2020年(令和2年)
八白土星の人
八白土星(はっぱくどせい)生まれの人は、以下の通りです。
- 1947年(昭和22年)
- 1956年(昭和31年)
- 1965年(昭和40年)
- 1974年(昭和49年)
- 1983年(昭和58年)
- 1992年(平成4年)
- 2001年(平成13年)
- 2010年(平成22年)
- 2019年(平成31年・令和元年)
九紫火星の人
九紫火星(きゅうしかせい)生まれの人は、以下の通りです。
- 1946年(昭和21年)
- 1955年(昭和30年)
- 1964年(昭和39年)
- 1973年(昭和48年)
- 1982年(昭和57年)
- 1991年(平成3年)
- 2000年(平成12年)
- 2009年(平成21年)
- 2018年(平成30年)
生まれ年による九星まとめ
一白・二黒・三碧・四緑・五黄・六白・七赤・八白・九紫の9つある星で構成された九星。
九星を用いた占いは、明治時代以降に流行した歴史の浅い暦注です。
九星が記載された運勢暦という形は現代でも人気がありますが、あくまでも占法の1つで暦とは直接の関係はありません。
開運カレンダーなどで九星が記載されている暦は日本だけです。
この記事で紹介した九星は当時使われていた基本概念のため、暦で見る吉凶ではなくインターネット上で注目を集めている生まれ年やその日時によって運勢が決まる九星占いとして楽しんでみてください。
以下の記事では、カレンダーなどに書かれた暦注上段・中段・下段の種類やそれぞれの意味について紹介しています。
昔の暦にあった天文現象の予報や方位、日々の吉凶などの迷信的な事柄を解説していますのでご参考ください。
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2024/10/13