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十五夜の由来や中秋の名月とは?十三夜との違いや月見の注意点も解説

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広野に輝く十五夜の満月とススキ

月見といえば、一番きれいな満月が見える十五夜。

中秋の名月という言葉を聞くと、馴染みのある方も多いでしょう。

しかし、1年のうちで最も美しいとされている十五夜と中秋の名月には、どんな意味や関係があるのでしょうか。

また、十五夜と同じく月見の風習がある十三夜とはどう違うのでしょうか。

今回は、十五夜の由来や満月との関係、中秋の名月との意味の分け方を紹介します。

十三夜の意味や十五夜との違い、そして月見をする上での注意点も解説していますので、秋の夜を楽しむためのご参考になれば幸いです。

他の年中行事・イベントについては、下記記事でまとめていますので併せてご参考ください。

十五夜の由来

十五夜とは、1年のうちで最も美しいとされている「中秋の名月」を鑑賞しながら、豊作などに感謝をする行事です。

月見は、中国の唐時代に行われていた観月宴に由来し、日本には平安時代に伝わったとされています。

この中国で行われていた月見の風習を、平安時代の貴族が取り入れ、後に一般国民に広がると秋の収穫物を供えて実りをお祝いする風習が広まりました。

十五夜の意味と満月

十五夜という言葉は、月齢15日目を指す場合と、月見の十五夜を指す場合があり、旧暦では毎月15日が月齢15日目の十五夜でした。

旧暦は月の満ち欠けをもとに日付が決まっていたため、十五夜の日は満月と同日になっていましたが、実はそうとは限りません。

実際、2021年から2023年までの十五夜は3年連続で満月も同じ日でしたが、2020年の十五夜は10月1日で満月は10月2日でした。

これは月と地球の公転軌道の関係で、新月から満月までの日数が14日間から16日間と日数に差があるため、満月になるまでの日数が1~2日ずれることが多くなります。

つまり、時期によって少しずつずれが生じてしまい、十五夜と満月が同日にならない年もあり、月は必ずしも15日で新月から満月になるとは限らないのです。

満月(十五夜)

十五夜の別名:芋名月

十五夜は、別名で「芋名月」とも呼ばれています。

古くからその時期に獲れるサツマイモやサトイモなど芋類の収穫祝いを兼ねて、月見のお供え物として飾り、収穫の感謝と豊作の祈りを捧げていたことが由来です。

サトイモ(十五夜の別名は芋名月)

中秋節について

十五夜に月見をする風習は、平安時代に中国から伝わってきました。

ところが年に数回訪れる十五夜の中でも、特に月が美しいとされている季節があります。

それは、中国の「中秋節」という季節を表す節句です。

中秋節の意味と満月

中秋節(ちゅうしゅうせつ)とは、中国を起源として韓国や台湾などにも広く伝わる、旧暦8月15日を祝う日です。

新月を月の最初の日とし、次の新月までを1ヵ月とカウントする旧暦では、毎月15日がほぼ満月になるとされていました。

そして、旧暦で7・8・9月と続く秋の中央にあたる8月の十五夜の日を「中秋」と呼び、この日の満月は1年で最も美しいといわれています。

ちなみに、新暦での中秋節は、9月から10月初旬にかけていずれかの日になります。

中国における中秋節

中国における中秋節は、春節と端午節と合わせて「中国三大伝統節句」と呼ばれるほど特別な日とされています。

国民の祝日で連休にもなり、家族で月にお供え物をして一家団欒を楽しみます。

この中秋節に欠かせないのが、月餅(げっぺい)という硬めの生地の中に餡が入った中国の伝統的なお菓子です。

満月のように丸く平たい形が家族の輪を象徴し、月餅を均等に切り分けて食べて家族の幸福を祈るのが中国の習わしです。

中国の中秋節で定番の伝統菓子、月餅

日本における中秋節

日本にある中華街でも、中秋節をお祝いするイベントが開催されています。

横浜中華街では、中秋節・月餅フェアが催され、餡の中に塩漬けしたアヒルの卵の黄身が丸ごと入っている「鹹蛋月餅」は中国定番で有名です。

他にも、店によってさまざまな工夫を凝らしたこの時期にしか食べられない特別な月餅が店頭に並ぶため、バリエーション豊富な各店の味を食べ比べるのもいいでしょう。

神戸・南京町では獅子舞や舞踊・太極拳など中国の伝統芸能を披露するイベントが行われ、長崎中華街では満月に見立てた約600個の丸くて黄色いランタンを灯して街を彩ります。

中秋節の日には月餅を片手に、本場中国の雰囲気を味わうのもいいですね。

長崎中華街の中秋節に灯される黄色いランタン

十五夜と中秋の名月の違い

年間を通して最も美しい満月について、テレビや新聞などで聞き慣れているのは「中秋の名月」でしょう。

ではなぜ、基本的に「十五夜」と呼ばれているのか、どういった違いがあるのでしょうか。

月は、新月から満月まで15日かけて少しずつ満ちていくことから、旧暦では新月の日から数えて15日目の夜を、十五夜と呼んでいました。

十五夜は秋に限ったものではなく、旧暦15日の夜すべてを指していたわけです。

一方で、中秋の名月は、旧暦8月15日の十五夜に月見をする習わしのことをいいます。

旧暦では7・8・9月を秋としており、その中央にあたる8月15日を「中秋」、その夜に上がる月のことを「中秋の月」と呼ぶようになりました。

また、この時期の月が1年の中で最も綺麗に見えるということから「中秋の名月」といわれるようになったのです。

このことにより、日本における中秋節の日は「十五夜」となるため、「中秋の名月」と同じ意味となります。

秋の収穫に感謝を捧げるために、秋の夜空にくっきり浮かぶ満月を愛でながら季節の移ろいを感じる習慣が定着しました。

なお、新暦では9月から10月初旬にかけていずれかの日になります。

十五夜と中秋の名月に見られる満月

十三夜とは

日本には、十五夜とは別に「十三夜」という日があります。

十三夜(じゅうさんや)は、十五夜から1ヶ月後にあたる旧暦の9月13日から14日の夜をいいます。

稲作の収穫を終える時期になるため、秋の豊作に感謝しながら月見をする風習です。

十三夜の起源

一般的に知られる十五夜は中国が起源であるのに対し、十三夜は日本で始まった風習です。

諸説ありますが、平安時代に醍醐天皇が月見の宴を開いて詩歌を楽しんだのが、十三夜に月見をする始まりだといわれています。

また、平安時代後期の書物に明月の宴が催されたことが記されており、宇多天皇が「今夜の名月は並ぶものがないほど優れている」という意味の詩を詠んだという記述もあることから、風習として親しまれていたことがいえます。

十三夜の月見

十三夜の別名:豆名月・栗名月・後の月

十三夜には、十五夜と同じように実は別名があります。

栗や豆が収穫できる時期であり、旬のものをお供えして月見をしたことから「豆名月(まめめいげつ)」「栗名月(くりめいげつ)」と呼ばれます。

旬を迎える栗やブドウといった果物や野菜のほか、名前の由来にもなっている枝豆、大豆をお供えするのもよいでしょう。

栗(十三夜の別名は栗名月)
枝豆(十三夜の別名は豆名月)

また、神様へお供えしたものは、月見をしながら必ず美味しくいただくと、神様との結びつきが強くなると考えられており、十五夜に対して十三夜の月見を「後の月見」といいます。

十五夜と十三夜の違い

広く知られている十五夜と、あまり馴染みのない十三夜にはどのような違いがあるのでしょうか。

違い(1)発祥地と目的

十五夜は中国発祥で豊作を感謝する行事ですが、十三夜は実は日本独特の風習です。

十五夜では月の神様に豊作を願うのに対して、十三夜は稲作を終える時期でもあることから、秋の収穫に感謝しながら、美しい月を愛でます。

当時は、月の満ち欠けなどで暦を計算する旧暦を用いていたため、人々の生活と月は密接な繋がりがありました。

十五夜の満月

違い(2)満月になるまでの日数

旧暦では、新月から数えて14日目から17日目が満月です。

十五夜は、新月から数えて15日目に満月、もしくは満月に近い月になります。

一方、十三夜は新月から数えて13日目になるため、満月には少し欠ける月になり、十三夜月と呼ばれる月の呼び名もあるほどです。

ちなみに十三夜は、十五夜の次に美しいといわれています。

十三夜の月

違い(3)神様へのお供え物

詳しくは後述しますが、神様へのお供え物にも少し違いがあります。

たった1ヶ月の違いで共通するものもあれば、その時の旬によってお供えするものが変わるためです。

十五夜と十三夜の過ごし方

十五夜も十三夜も収穫を感謝し、豊作を祈願する目的という点では共通していますが、過ごし方に少し違いがあります。

十五夜と十三夜のそれぞれの風習や過ごし方と、最後には注意点も紹介します。

収穫物のお供え

十五夜や十三夜では、古くから季節に合わせた旬の食べ物や植物を神様にお供えします。

中国の十五夜「中秋節」では、現在でも春節(旧正月)と同じように大切な行事となっており、月に月餅や果物などをお供えしたり、それらを食べて収穫への感謝や豊作への祈りをします。

その風習にならって、日本でも月見団子はじめ秋に収穫されたイモ類や野菜、果物といった農作物をお供えし、秋の実りに感謝します。

十五夜には「芋名月」という別名がつくように、その時期に収穫したサツマイモやサトイモといった芋類を中心にお供えします。

サツマイモ(十五夜の別名は芋名月)

十三夜には「豆名月」「栗名月」という別名があるように、栗やブドウといった果物や枝豆、大豆を月見のお供え物として飾ります。

大豆(十三夜の別名は豆名月)

ススキのお供え

十五夜や十三夜共通ですが、収穫物と共に魔除けとしてススキを供えます。

茎の内部が空洞になっていることから神様の宿り場になると信じられており、悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味が込められています。

ススキ(十五夜や十三夜のお供え物)

月見団子の意味とお供え

十五夜や十三夜の代表的なお供え物である月見団子は、満ち欠けをする月が満ちる姿を模しているため丸い形をしています。

豊作祈願や収穫祝いに健康、幸福も表しており、月から見える位置または床の間にお供えします。

十五夜の場合は、十五にちなんで15個の団子を用意し、1段目に9個(3×3個)、2段目に4個(2×2個)、3段目に2個を盛りつけます。

15個にこだわらず、1年の満月の数にあわせて12個(閏年は13個)、または15を簡略して5個にする場合もあります。

十三夜の場合は、十三にちなんで13個の団子を用意し、1段目に9個(3×3個)、2段目に4個(2×2個)を並べます。

月見団子(十五夜や十三夜のお供え物)

月見を楽しむ・お供え物を食べる

神様へお供えしたものは、月見をしながら必ず美味しくいただきます。

月見団子にこだわらず、月に見立てた丸いどら焼きやお饅頭、月餅もおすすめです。

また、中国の中秋節における伝統菓子で、日本の中華街でも販売されている月餅も一度は味わってみたいものですね。

月見をする際の注意点

十五夜も十三夜も、月に対して収穫を感謝するとともに、月見を楽しむことを大切にしています。

しかし、十五夜と十三夜のどちらか一方しか月を見ないことを「片見月(かたみづき)」「片月見」と呼びます。

十五夜の月を見たら十三夜の月も見ないと、災いを呼び縁起が悪いこととされ、昔から十五夜と十三夜を同じ庭で見る風習がありました。

ちなみに、十五夜と十三夜を合わせて「二夜の月(ふたよのつき)」と呼びます。

十五夜も十三夜も旧暦で定められているため、必ずしも毎年同じ日にやってくるとは限りません。

2023年の十五夜は9月29日、十三夜は10月27日でした。

後述する日程を参考にして、片見月とならないよう両日とも月見を楽しんでいただきたいものですね。

十五夜や十三夜は収穫への感謝

十五夜と十三夜の日程

前述通り、十五夜と十三夜のどちらか一方しか月を見ないことを「片月見」「片見月」と呼び、両日の月を見ないと縁起が悪いとされています。

以下の日程を参考に、両日とも月見ができる「二夜の月」を楽しみましょう。

2022年

十五夜:9月10日(9月10日)
十三夜:10月8日

2023年

十五夜:9月29日(9月29日)
十三夜:10月27日

2024年

十五夜:9月17日(9月18日)
十三夜:10月15日

2025年

十五夜:10月6日(10月7日)
十三夜:11月2日

2026年

十五夜:9月25日(9月27日)
十三夜:10月23日

※( )内の日付は満月

終わりに

中国から伝わってきた十五夜と、日本独特の風習として生まれた十三夜。

約1ヶ月の違いだけで、月の満ち欠けや習わしの目的、神様へのお供えも少し異なります。

十五夜と十三夜のどちらか一方だけの月見では、縁起が悪くなるといわれているため、秋の実りに感謝しながら2回は必ず綺麗な月を見上げてほしいものです。

日々の忙しさに追われる現代ですが、ふと立ち止まって秋の澄んだ夜空の下で美しい月を愛でる。

そんな心休まるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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