1日1日に姿形を変えて、私たちの目を楽しませてくれる月。
月はその時々の形や見え方によって、それぞれに風情のある名前がつけられているのをご存知でしょうか。
その月の満ち欠けを知るための目安になる数字が、月齢と呼ばれるものです。
今回は月齢とは何か、月齢を数える基準となる新月と満月の違い、月の満ち欠けで形が変わる仕組みについて解説します。
また三日月や上弦の月・下弦の月など月齢によってつけられる月の呼び名も紹介しますので、月の満ち欠けや変化を楽しむきっかけになれば幸いです。
月齢とは
月齢(げつれい)は、月の満ち欠けを知るための目安になる数字です。
新月になった瞬間を0(ゼロ)として、翌日が1、翌々日が2と1日に1ずつ数値を増やし新月から何日経過したか月の状態を見る、いわば月の年齢です。
月齢の数値を見ることで、例えば月齢が7か8であれば上弦、15前後なら満月、22か23であれば下弦、30に近い数値なら次の新月が近いという状態を知ることができます。
ただし月の動きは複雑なため、厳密に月齢と月の満ち欠けの状態が完全には一致しませんが目安になります。
満ち欠けによる月齢の由来
現代の暦は太陽の動きに基づいた太陽暦(新暦)ですが、明治時代に改暦されるまでは月の満ち欠けによる太陰太陽暦(旧暦)でした。
月を目安に日にちや時間を知り、照明のない時代は月あかりを頼りに暮らすなど、月は人々にとって生活の土台だったのです。
具体的には後述しますが、月の満ち欠けによる呼び名にはその想いが色濃く表れています。
太陽暦や太陰太陽暦については、下記記事をご参考ください。
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太陰暦や太陰太陽暦、太陽暦の仕組みや違いとは?うるう年の役目、旧暦と新暦の意味
2024/10/7
新月と満月の違い・共通点
新月と満月は同じ意味合いのように見えますが、形は同じに見えて実は異なります。
私たちのいる地球から見える月は、太陽の光が当たっている部分です。
地球から太陽光の反射が見えない状態を新月、太陽光の反射が最も見える状態を満月と呼びます。
新月と満月は月に1回ずつ、厳密にいうと約29.5日の周期で訪れます。
新月
新月というのは、実は月と太陽が同じ方向になった瞬間のことです。
地球から見て月と太陽の方向が同じになり、月から反射した太陽の光が地球に届かないため、地球からは月が見えません。
満月
満月というのは、月が太陽の光を受けて隈なく反射するため、欠けることなく丸い状態で見られる月のことです。
太陽が西に沈むのと入れ替わりに東の空に昇ります。
新月と満月の周期
月は、地球の周りを平均して29.5日でひと回りします。
つまり、新月から次の新月までの満ち欠けが生じる周期が約29.5日です。
新月になった瞬間から数えた日数が月齢であるため、新月から満月・満月から新月は29.5のちょうど半分の約15日(およそ14.8日)周期で月齢14~15にあたります。
新月と満月の共通点
新月と満月は見え方が異なるものの、丸い形としては共通しています。
また、新月と満月の影響を受けていると考えられているものとしては以下の通りです。
潮の満ち引き
潮の満ち引きは、月と太陽がもたらす引力によって変わるとされています。
月と太陽と地球が直線上に重なる時、すなわち満月と新月の時は起潮力が最大となり、1日の満潮と干潮の潮位差が最も大きくなる「大潮」になります。
逆に地球から見て月と太陽が直角にずれて位置する時、つまり半月の時は両者の起潮力が打ち消し合って満干潮の潮位差が最も小さくなる「小潮」が起こります。
簡潔には大潮は新月と満月の頃、小潮は上弦の月と下弦の月の頃に起こるのです。
体調
海が満ちたり引いたりするように私たちの身体にある水分も、引力や月の満ち欠けによって体調にも影響が出ると考えられています。
例えば新月から満月までの間は、月が少しずつ満ちていくにつれて人間の身体は吸収する働きが強くなり、体内にさまざまなものを蓄えようとする作用が起こるそうです。
また満月の時は栄養や水分を取り込む力が最も強くなるといわれ、毒素も体に溜まってむくみやだるさなど気分が落ち込みがちな傾向にあるともいわれています。
もし気圧などの気象以外で体調の変化を感じたら、それは月の満ち欠けが影響しているのかもしれません。
月に1度やってくる女性の生理も個人差があるかもしれませんが、満月に向かって緩む力が働くことで骨盤が開いた状態になるため、満月前後には生理になりやすいとされています。
満月の頃は、収穫や完成といった力があり蓄える傾向があるため、なかなか体重が落ちないという説があるそうです。
逆に新月の頃は、循環がよいため体重が落としやすいタイミングといえるそうですが、あくまでも目安として月齢カレンダーと一緒にチェックしてみてください。
月の見え方
月は約29.5日で、新月・上弦・満月・下弦、そして再び新月へと満ち欠けを繰り返します。
満ち欠けは月と太陽との位置関係で見え方が変化し、どの部分が太陽の光に照らされ輝いているかが変わるために起こります。
月と太陽による動きと見え方
新月の時は月は太陽とほぼ同じ方向にあるため、太陽の光が当たっている側は地球から見えません。
そこから1日に約12度ずつ、月は西から東に向かって太陽から離れていきます。
新月から満月までは約14~15日、月の西側が太陽に照らされて光ります。
太陽からの角度が離れるにしたがって月の光っている部分の面積は徐々に大きくなり、月全体の明るさも強くなっていきます。
そして、月と太陽が180度離れた時が満月です。
満月を過ぎると、今度は太陽からの角度は小さくなっていきます。
角度が小さくなるにつれて月の光っている面積は小さくなっていき、明るさも暗くなっていきます。
満月から新月までは、月の東側が光っています。
昼間における月の見え方
昼間は太陽が明るく地上を照らしているため、その明るさに邪魔されて月は夜間ほど目立ちません。
特に半月より細い月はあまり明るくなく、より明るい太陽の近くに位置しているため見つけづらい状態です。
一方で半月より大きな月は、青空の中でも簡単に見つけることができます。
昼間の空で月を見かけることが多いと思いますが、半月より大きい月が多いのではないでしょうか。
満ち欠けにおける月の呼び名早見表
月は地球を軸に約29.5日をかけて公転し、日によって太陽の光が当たっている部分が変わるため形や見え方が変わります。
そんな月には、新月から次の新月までの満ち欠けによって呼び名があります。
月齢(日数) | 月の呼び名(読み) |
---|---|
月齢0(1日目の月) | 新月(しんげつ) |
月齢1(2日目の月) | 二日月(ふつかづき) |
月齢2(3日目の月) | 三日月(みかづき) |
月齢7~8(7~8日目の月) | 上弦の月(じょうげんのつき) |
月齢13(13日目の月) | 十三夜月(じゅうさんやづき) |
月齢14(14日目の月) | 小望月(こもちづき) |
月齢15(15日目の月) | 満月(まんげつ) |
月齢16(16日目の月) | 十六夜月(いざよいづき) |
月齢17(17日目の月) | 立待月(たちまちづき) |
月齢18(18日目の月) | 居待月(いまちづき) |
月齢19(19日目の月) | 寝待月(ねまちづき) |
月齢20(20日目の月) | 更待月(ふけまちづき) |
月齢22~23(22~23日 | 下弦の月(かげんのつき) |
月齢26(26日目の月) | 二十六夜月(いざよいづき) |
月齢28~29(28~29日 | 三十日月(みそかづき) |
次項では、月の満ち欠けによって名づけられた代表的な呼び名を月齢とともに説明します。
月の呼び名と見え方・意味
月は、新月から次の新月まで1日ずつ見え方が変わるごとに呼び名があり、月齢とともに見え方や意味を一部紹介します。
月齢0(1日目の月):新月
新月は、月の満ち欠けが始まる月で地球から見て太陽と月が同じ方向にあるため、地球からは見えません。
1日目の月であることから、はじめを意味する「朔」という文字を使って「朔月(さくげつ)」とも呼ばれます。
月齢1(2日目の月):二日月
新月の翌日に現れる糸のように細い月が「二日月(ふつかづき)」です。
最も知られる三日月より細く尖っている形をしており、別名で繊月(せんげつ)とも呼ばれます。
太陽が沈む日没後、西の空の低い位置に現れますが季節によって20分から1時間程度しか見ることができません。
月齢2(3日目の月):三日月
3日目の月が物語や歌にも登場する有名な「三日月(みかづき)」で、見たことのある方も多いでしょう。
三日月も、二日月と同じく日没後に西の空で見られます。
その細い形から「月の剣」とも呼ばれ、フランス語では「croissant(クロワッサン)」という三日月の形をしたパンの名前の由来にもなっています。
月齢7~8(7~8日目の月):上弦の月
7日目に見られるのが「上弦の月(じょうげんのつき)」で、満月を右半分に切った形の半月です。
その形が弦を張った弓の形に見えることから「弓張月(ゆみはりづき)」「弦月(げんげつ)」とも呼ばれます。
月齢13(13日目の月):十三夜月
13日目の月が、その名前通り「十三夜(じゅうさんやづき)」です。
満月(十五夜の月)に次いで美しく、これから満ちる縁起のよい月といわれています。
月齢15(15日目の月):満月
月が約29.5日でひと回りする半分ほどの14~15日目になると、満月を迎えます。
月全体が最も丸い状態で、満月だけ一晩中見られることが特徴です。
15日目の月となるため「十五夜の月(じゅうごやのつき)」とも呼ばれます。
十五夜については、下記記事もご参考ください。
月齢16(16日目の月):十六夜月
16日目の月は「十六夜(いざよいづき)」と呼びます。
満月(十五夜の月)よりやや遅れて昇り、新月に向かって少しずつ欠けていきます。
月齢22~23(22~23日目の月):下弦の月
23日目の月は「下弦の月(かげんのつき)」で、月齢6で見られる上弦の月が反転した左半分の半月です。
真夜中の12時前後に昇り昼ごろに沈むため、夜明け以降の青空でも見えることがあります。
月齢26(26日目の月):二十六夜月
26日目の月が「二十六夜月(にじゅうろくやづき)」です。
三日月と反対向きの形で、夜中の1時から3時の間に東の空に昇ります。
月齢29(29日目の月):三十日月
新月の前に見られる28~29日目の月が「三十日月(みそかづき)」です。
明け方に輝いて見えることから、明けの三日月とも呼ばれています。
月の満ち欠けを表す月齢まとめ
いつが新月でどの日が満月なのか、月の満ち欠けを数字で表したのが月齢です。
それは見え方の違いだけでなく、私たちの心や体も月の引力の影響を受けているといわれています。
その月のサイクルに上手くのれるよう、月の満ち欠けカレンダーと照らし合わせて整えてみてはいかがでしょうか。
また月の呼び名・名前は満ち欠けによるものだけでなく、天候や時間によるもの、海外で用いられるものもあり、古くから月の動きや見え方で季節を把握していたことがわかります。
地域や文化によっても異なりさまざまなバリエーションがありますが、月は自然の周期と人間の生活との関わりを示すユニークな文化的要素の1つといえるでしょう。
以下の記事では、満ち欠けによる月の呼び名とは別にある独特な月の呼び名・名前について解説しています。
季節や天候などによる日本での呼び名、海外における呼び名、世界共通で呼ばれる満月の名前も紹介していますので併せてお読みください。
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日本でのさまざまな月の名前、海外における満月の呼び名それぞれの意味・由来
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また月の動きに基づいていた太陰暦と月と太陽の動きを兼ねた太陰太陽暦(旧暦)、太陽の動きを基にした太陽暦について解説しています。
旧暦と新暦の違いを知っておくと、7月の七夕や8月のお盆などが一部の地域では1ヶ月のずれがある理由がわかりますのでご参考ください。
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