毎年、メディアでも取り上げられるほど話題になる、バレンタインデー。
私たちにとってのバレンタインデーといえば、恋人や好きな人、友人などにチョコレートを贈る日という認識があります。
しかし、バレンタインデーがいつ、何をきっかけに始まり、何をお祝いするイベントなのか具体的に知らない方も多いでしょう。
また、バレンタインデーには、宗教と深い結びつきがあることをご存知でしょうか。
今回は、バレンタインデーの起源や歴史、日本におけるバレンタインデーの始まりを紹介します。
また、日本とは異なる海外のバレンタイン文化、バレンタインデーに贈るチョコレートなどの意味についても解説しますので、バレンタインデーをより楽しむためのご参考になれば幸いです。
他の年中行事・イベントについては、下記記事でまとめていますので併せてご参考ください。
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2023/12/21
バレンタインデーとは
バレンタインデーは、毎年2月14日に行われるイベントです。
英語では「St Valentine's Day」で、直訳すると「聖バレンタインの日」となり、「恋人たちの日」とも呼ばれています。
日本では、女性から男性にチョコレートを渡して告白をする日として知られていますが、そもそも何がきっかけで、いつ生まれたのでしょうか。
そして、バレンタインデーがなぜ2月14日という日になったのでしょうか。
実はバレンタインデーは、西暦269年2月14日に処刑されたイタリア・ローマの司祭を悼む日が由来といわれています。
バレンタインデーの歴史・由来
バレンタインは、3世紀頃イタリアのローマ帝国に実在した、キリスト教の聖職者ウァレンティヌス(ヴァレンタイン、バレンタイン)を指しています。
当時のローマでは、皇帝クラウディウス2世が、軍事力となる兵士たちに家族ができると士気が弱まることを恐れ、結婚を禁止していました。
大切な人の存在は戦地へ赴く兵士たちの士気を下げる、若者が戦争へ行きたがらないのは故郷に残る家族や恋人と離れたくないから、だという考えからです。
悲しむ兵士たちを憐れんだバレンタインは、この禁止令に背いて結婚を望む恋人たちのために密かに結婚式を執り行ってきました。
しかし、その事実が皇帝に知られてしまい、バレンタインは投獄されてしまいます。
皇帝は、バレンタインに罪を認めさせようとしましたが、この命令に応じることなく、獄中でも変わらず神の愛を説き続けたバレンタインは処刑されてしまったのです。
その後、バレンタインは恋人たちの守護聖人として崇められ、命日である2月14日を「聖バレンタインの日」として祝うようになりました。
バレンタインデー本来の起源
バレンタインデーが「恋人たちの日」とされたのは、バレンタインが処刑されて殉教者となった命日というだけではなく、もともと2月14日と15日に行われていたお祭りと意図的に合わせたといわれています。
当時のローマでは、2月15日にルペルカリア祭が行われており、その前日にあたる2月14日は女神ユノーの祝日で、男女の出会いの日として親しまれていました。
ルペルカリア祭とは、結婚の女神ユノーや豊穣の神マイアを崇拝するお祭りで、出会いを促し豊穣・繁栄を祈願するカーニバルの一種でもあり、2月14日はその前日です。
現在では、バレンタインデーという名称がついていますが、その起源を辿ると古代ローマのルペルカリア祭が原型になっているともいえます。
殉教したバレンタインは、密かに兵士の結婚を司った罪で、ルペルカリア祭前日の2月14日に処刑されたわけです。
恋人たちの愛のために犠牲となったバレンタインの逸話は、キリスト教徒にも「恋人たちの日」として認知されるようになりました。
日本におけるバレンタインデー
バレンタインデーのルーツがイタリア・ローマにあることがわかったところで、日本にバレンタインデーが伝わり普及され始めたのは何がきっかけだったのでしょうか。
日本のバレンタイン発祥は神戸?
一説によると、1930年(昭和10年)頃に神戸のモロゾフ製菓が、外国人向け英字新聞で、「バレンタインにチョコレートを贈りましょう」という広告を掲載したのが、バレンタインチョコの始まりだと考えられています。
当時の担当者がバレンタインの逸話からヒントを得て、日本で贈り物をファッション化し、新しい生活習慣をつくりたいと思っていたことから生まれた発想だそうです。
チョコレートを贈るようになった理由
日本で、女性から男性にチョコレートを贈るようになった理由は諸説ありますが、チョコレートメーカーがバレンタイン商戦として、1950年代(昭和30年代)に始めたキャンペーン広告がきっかけという説が有力です。
イギリスの老舗チョコレートメーカーが、19世紀後半から販売を始めたバレンタインデー向けのチョコレートボックスから着想を得たことがきっかけとされています。
その後、各メーカーがハート型のチョコレートを発売したり、宣伝や広告に力を入れたりして盛り上げるようになり、1970年代後半には女性が好きな男性にチョコレートを贈って告白する日として、バレンタインデーが浸透していったのです。
世界のバレンタインデー
バレンタインデーは、女性が男性にチョコレートを贈ることで気持ちを伝えるイベントとなっていますが、実はこれは日本独自の文化です。
海外でのバレンタインデーは、主に男性から女性へプレゼントを贈ったり、恋人同士がお互いにプレゼントを贈り合ったりするイベントとされ、恋人と夕食を楽しんだり、親しい友達と過ごす日でもあります。
海外ではどのような習慣になっているのか、代表的な海外のバレンタインデーをいくつか挙げてみました。
アメリカのバレンタインデー
アメリカでは、日本とは逆で男性から女性に向けて、花やメッセージカードなどのプレゼントを贈ることが主な習慣です。
日本のように義理チョコといった文化はなく、恋人や家族に花束やカードを贈って気持ちを伝えることが一般的で、花束などを添えて宝石アクセサリーやぬいぐるみなどを渡すこともあります。
また、プレゼントを贈るだけではなく、恋人や夫婦でデートに出かけたり食事を楽しんだりすることもあるそうです。
イタリアのバレンタインデー
バレンタインデーのルーツでもあるイタリアでは、バラの花やアクセサリーを贈るのが定番で、この日をきっかけに恋人にプロポーズをすることも多いそうです。
イギリスのバレンタインデー
イギリスでは、想い人に密かに気持ちを伝える日とされています。
名前を書かずに「Be my valentine.(私の恋人になって)」などと記載したメッセージカードを贈り、カードをもらった人が行動を起こすという習慣があります。
晴れて恋人になった後は、他国と同じように男性から女性にプレゼントを贈るのが一般的です。
ベルギーのバレンタインデー
ベルギーは、他国とは少し趣向が異なり、お世話になった人に感謝の気持ちを伝える日として定着しているようで、恋人や夫婦ではない人にも花や香水などを贈ります。
日本でも時々耳にしたり目にしたりする、いわゆる感謝チョコですね。
恋人や夫婦の場合は、他国と同じく男性から女性に対してプレゼントするのが一般的です。
国によって違いがあるものの、日本以外の諸外国では男性から女性にプレゼントするのがバレンタインデーの主流のようです。
バレンタインデーに女性からチョコレートなどのギフトをもらった男性が、お返しする「ホワイトデー」も実は日本発祥の文化で、韓国や台湾、中国などアジア圏の一部にしか行われていません。
ホワイトデーについては、下記記事で解説していますのでご参考ください。
知っておきたいお菓子の意味・メッセージ
日本でのバレンタインデーは、チョコレートを贈るのが定番ですが、贈る相手の中にはチョコレートが苦手な人もいるでしょう。
そんな時にはチョコレート以外のお菓子をギフトに選びたいところですが、一部のお菓子には意味やメッセージが隠されているため注意が必要です。
ここでは定番となるチョコレートをはじめ、他のお菓子に込められた意味やメッセージをいくつか紹介しますので、ギフト選びの参考にしてください。
チョコレートを贈る意味
バレンタインデーに贈るお菓子の定番といえば、チョコレートです。
そんなチョコレートには、「あなたと同じ気持ちです」「あなたの気持ちをそのまま返します」という意味があり、両思いの相手や家族など大切な人へのギフトにぴったりです。
どんなギフトでも嬉しいことに変わりはありませんが、定番だからこそしっかりと伝わる気持ちもあるはずですので、甘くとろけるチョコレートで大切な人に真っすぐな気持ちを伝えてはいかがでしょうか。
ミルフィーユを贈る意味
ミルフィーユには、「あなたへの想いが幾重にも重なっている」という意味があります。
フランス語で「mille(千)」「feuille(葉)」となり、「千枚の葉」という意味で、何層にもなった薄いパイが積み重なった落ち葉のように見えることが由来です。
あなたへの想いは、千枚の葉のように幾重にも積もっていますという気持ちを込めて、ミルフィーユを本命の人に贈るのもロマンチックですね。
キャンディーを贈る意味
キャンディーには、「あなたのことが好きです」という意味が込められています。
カラフルな色やバリエーション豊富な味が魅力のキャンディーは、華やかな見た目からギフトにも最適です。
色とりどりに輝くことと硬いことから「あなたの愛は甘く美しく輝いています」「宝石のように硬く壊れない愛情を贈ります」といった意味合いもあるため、本命の人へ贈るギフトにぴったりでしょう。
クッキーを贈る意味
クッキーは、「お友達でいましょう」という意味が込められています。
お菓子の意味を気にするなら、義理チョコや感謝チョコと同じように、男友達や会社の同僚などに選ぶのがおすすめでしょう。
アメリカではクッキーを小さなケーキというお菓子で、イギリスではビスケットと呼ばれています。
さまざまな色や形、味、デコレーションが楽しめるクッキーは、日持ちもするためギフトの定番スイーツとして人気です。
グミを贈る意味
グミには、「あなたのことが嫌いです」という意味があります。
他のお菓子と比べて手抜き感や子供っぽさ、安価さが由来とされていますが、意味を気にすることなくグミが好きな相手や友達へプレゼントするといいでしょう。
ただし、グミを本命の人へ贈ると逆効果になってしまうので注意してください。
マシュマロを贈る意味
マシュマロは「あなたが嫌い」という意味からギフトには避けられがちですが、一方でキュートな意味があります。
日本では、バレンタインのお返しにマシュマロを贈る習慣があり、それがホワイトデーの起源であるといわれています。
そんなマシュマロには、「あなたからもらった愛(チョコレート)を僕の優しさで包んでお返しします」という意味があります。
また、チョコレートを包んだマシュマロは、「純白の愛で包む」という意味がありますので、マシュマロを贈るならチョコレート入りのマシュマロが良さそうです。
ギフトに贈るおすすめのチョコレート
日常でもチョコレートを食べる私たちですから、バレンタインに贈るギフトにはあまり手にとる機会のない高級なチョコレートや、特別感のある限定品チョコレートなどが喜ばれるでしょう。
チョコレートギフトを選ぶ上で、相手をよく知ることは大切で、贈る人の好みやシーンに合わせることを意識したいものです。
ここでは、贈る相手に合わせたおすすめのチョコレートギフトを紹介します。
大切な人へ愛や感謝を込めて贈るチョコ
クリオロ(CRIOLLO)
クリオロのプロポリスチョコレートは、健康や美容に良いとされているプロポリスが入っています。
真っ赤な箱を開けると、中には宝石のような輝きをした真紅のハート型チョコレートが飛び込んでくる、最高級チョコプチギフトです。
ゴディバ(GODIVA)
誰もが知るチョコレートブランドを選びたいなら、安定のゴディバでしょう。
高級感がありながらも種類や値段の幅が広いため、予算やシーンに合わせやすいのが魅力です。
他に、上品かつ格式を感じられるチョコレートを探している方は、ホテルの一流パティシエ・シェフ・ショコラティエが作る「ザ・ペニンシュラ」「ザ・リッツ・カールトン」など、ホテルが展開するチョコレートもチェックしてみてください。
友人にお裾分けしたい友チョコ
友人や職場の同僚などに気を遣わせない、負担にならないようなチョコレートを贈りたい場合は、やはりリンドールでしょうか。
カジュアルなリンドールは、豊富なフレーバーが楽しめる特徴があります。
中でも15種類のフレーバーが楽しめる20個入りのオンライン限定のテイスティングセットは、食べたことのない味や自分のお気に入りが見つかるかもしれません。
職場などで複数人に配りたい人や、自分だけでたくさんの味を楽しみたい人にぴったりです。
お世話になっている方への感謝チョコ
ビジネスでの取引先や日ごろお世話になっている方、職場の方に感謝の気持ちで贈りたい場合は、少しリッチなチョコレート菓子がおすすめです。
中でも、バニラビーンズのショーコラ&パリトロは3種の味わいが楽しめます。
タイプ別におすすめしたいチョコレート
上記では、贈る相手に合わせたおすすめのチョコレートギフトを紹介しましたが、どんなチョコレートでもバリエーションが豊富で悩むことも多いでしょう。
ここでは、タイプ別におすすめしたいチョコレートギフトを紹介します。
上品なホテルチョコ
スティック&プレート(帝国ホテル)
筆者も自分へのご褒美として買うこともある定番のチョコレートですが、シンプルでありながらも苦みと甘みの両方を楽しめます。
高級感のあるパッケージで値段も良心的なので、上司やお世話になっている方へのギフトセットとしても買いやすいです。
惑星の輝き(リーガロイヤルホテル)
バレンタインデーやホワイトデーに合わせたチョコレートの催事会場で、必ず釘付けになるカラフルな惑星のチョコレートです。
特定の人に贈るというよりも、自分へのご褒美にふさわしいチョコレートですが、毎回見かけるたびに買うか迷うほど華やかさがあります。
健康志向チョコ
日頃お世話になっている職場の人や友人などに、感謝の菓子ギフトを贈る機会があるのはバレンタインデーです。
カロリーが気になるチョコレートですが、近年では健康を意識してアレンジされたチョコ菓子も増えています。
個別包装チョコ
職場やサークルなど複数人にまとめて配る時に、必ずチェックすべきなのは個別包装でしょう。
個別包装のチョコレートというと、安っぽいイメージしかありませんが、意外と高級メーカーでもリーズナブルな値段で購入できます。
終わりに
バレンタインデーの起源は、多くの恋人たちを幸せに導いたローマの司祭ウァレンティヌスが殉教した日にありました。
その後の歴史の中で、さまざまな習慣と混ざり合って、恋人たちが愛を誓い合うバレンタインデーの文化が生まれたわけです。
近年では、多彩な贈り物で気持ちを伝えられる日となっている、日本のバレンタインデー。
本命チョコ以外に、義理チョコや感謝チョコ、友チョコ、逆チョコなども登場し、好きな人や恋人に限らず、家族や友人など大切な人へチョコレートを贈る日として定着しています。
また、時には自分へのご褒美として、普段手にとる機会のない高級なチョコレートを自分のために購入して楽しむマイチョコ、自分チョコも注目されました。
そんな心温まる年に1度のバレンタインデーに、あなたは誰にどんなチョコレートを贈りますか。
以下の記事では、バレンタインデーのちょうど1ヶ月後にやってくるホワイトデーについて紹介しています。
ホワイトデーでは、女性からチョコレートをもらった男性の多くがお返しするイベントですが、なぜこのような習慣が始まったのでしょうか。
ホワイトデーの起源はじめ、マシュマロを贈る理由やマシュマロ以外のお菓子に込められた意味がわかりますのでご参考ください。