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元旦は火を使わない?お雑煮は?正月三が日にやること・やってはいけないこと、過ごし方

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元旦は火を使わない?お雑煮はどうする?正月三が日にやること・やってはいけないこと、過ごし方は?

12月は師走ともいわれる通り、新年を迎える準備で慌ただしくなります。

日本はもとより神道の国であり、年が明けると年神様が各家にやってくると信じられてきました。

現代でも受け継がれていますが、福をもってくる年神様をお迎えするために年末に大掃除をしたり正月に向けて門松やしめ縄を飾ったりしていたのです。

そして、その年神様へのお供え物が鏡餅とおせち料理です。

お正月に食べる餅は年神様からのお下がりとして、神様の恩恵をいただくという意味が込められています。

しかし正月に火を使うのはよくないという言い伝えがあるのを知っている方も多いでしょう。

火を使わないとお雑煮やお餅を食べられないため、どうしたらいいのでしょうか。

今回はお正月にやること・やってはいけないこと、過ごし方それぞれの意味や理由を解説します。

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他の年中行事・イベントについては、下記記事でまとめていますので併せてご参考ください。

お正月を迎える前にやること

新年は年神様が家を訪ねてくるため、年末・大晦日までに大掃除をしたり門松などを飾ったり、鏡餅を用意したりする

新年が明けると年神様が家を訪ねてくるため、各家庭では年末・大晦日までに大掃除をしたり門松などを飾ったり、鏡餅を用意したりしてお迎えします。

門松やしめ縄などの正月飾りは年神様をお迎えするための目印という役割があり、鏡餅やおせち料理は年神様へのお供え物です。

詳しくは後述しますが、1月1日から3日までを指す正月三が日には実はやってはいけないことがあります。

そのため、正月を迎える準備として年末から大晦日までに済ませておきたいことがたくさんあるのです。

以下の記事では、1年の最後の日を締めくくる大晦日について紹介しています。

新年に向けた準備期間として、年末から大晦日にかけてやること・やってはいけないことを解説していますので併せてお読みください。

お正月にやること・過ごし方

1月1日から3日までの正月三が日にやることの意味や過ごし方とは?

元旦に初日の出を見た後に始まる、お正月の期間には何をするのでしょう。

古くから伝わる風習として、1月1日から3日までの正月三が日にやることの意味や由来を説明します。

新年の挨拶

今年初めて人と目を合わせた時は新年の挨拶をする

元日の朝、今年初めて家族と目を合わせた時や親戚や友人と会った時に使う挨拶の言葉があります。

すでにあなたもご存知でしょう、「あけましておめでとうございます」です。

年の初めに年神様が家にやってくるのはめでたいことだ、という意味でそのような言葉になったといわれています。

おせち料理

新たな年を迎えるめでたい日にはお正月にはおせち料理を食べる

新たな年を迎えるめでたい日として、お正月に食べるものをおせち料理と呼びます。

詳しくは後述しますが、正月三が日の間は炊事をしないとされていることから、年末・大晦日に日持ちのする料理を作っておく習わしです。

おせち料理は年神様へのお供え物であり、その後に家族で1年の健康や幸せを祈りながらいただきます。

そんなおせち料理に使われる一品一品の料理や食材には、実は意味や願いが込められています。

おせち料理については、下記記事で解説していますので併せてご参考ください。

お雑煮

お雑煮は年神様をお迎えするために前年に収穫したお米から作った餅をお供えするため

お雑煮は、さまざまな食材を混ぜて煮合わせたことが語源です。

お雑煮の食材や味付けは地域や各家庭によって異なりますが、1つだけ必ず入っているのがお餅です。

新年の実りと幸せを与える年神様をお迎えするために、前年に収穫したお米から作った餅をお供えし、そのお下がりとして農作物や海産物などと一緒に煮込んで食べたことが始まりです。

ただし正月飾りの鏡餅は年神様へのお供え物であるため、お帰りになられる松の内が明けるまでは食べてはいけません。

お雑煮の味付けは味噌が一般的に多いですが、お餅の形は関東圏では角型、関西圏では丸型が使われるという興味深い慣習があります。

諸説ありますが、関西の丸型は円満を意味する縁起物として扱われ、関東は1つずつ手で丸めるよりも1度に多く作れる角餅が使われるようになったためといわれています。

お餅以外の食材ではダイコンやニンジン、ネギなどの一般的な野菜に、地域によっては山菜やキノコ類、サケやカキといった魚介類などその土地の産物を加えます。

お年玉

お年玉は年神様が鏡餅などのお供え餅に宿り餅玉に分けた年魂が起源

子どもたちにとって正月の楽しみといえば、お年玉でしょう。

今では現金を祖父母や父母、親戚から子どもに渡す習慣になっていますが、もともとは年神様から新年に新しい魂「年魂(としだま)」を授かることを意味していました。

年神様は鏡餅などのお供え餅に宿り餅玉に分けたものが年魂で、これを家の長が「御年魂」「御年玉」として家族に分け与え、この餅玉を食べる料理が現在でいうお雑煮です。

初夢

初夢は年明け後に初めて見る夢のこと

初夢は、年明け後に初めて見る夢のことを指します。

具体的には元日から1月2日にかけて初めて見る夢のことで、その年の最初に見た夢と考えれば問題ないです。

初夢には「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」を見ると、縁起がよいと聞いたことのある方も多いでしょう。

一富士は富士山のことを指し、富士は「不死」に通じるため不老長寿を意味しているといわれています。

二鷹の鷹は、狙った獲物を捕まえることからチャンスをつかみ取るとの意味がありますが、鷹は「高い」とかけて、高い目標を実現したりするともいわれています。

三茄子の茄子は、実がよくなることから子孫繁栄を意味とする説がありますが、「成す」とかけて物事を成すということからもいえます。

一富士二鷹三茄子には続きがありますが、簡潔にまとめると富士は「不死」、鷹は「高い」、茄子は「成す」という言葉をかけた意味だと覚えておくとよいです。

初夢の内容語源意味
一富士富士「不死」=不老長寿
二鷹「高い」=高い目標を実現
三茄子茄子「成す」=物事を成す

初詣

初詣はその年に初めて神社仏閣へ無病息災など新年がよい年になるように祈る目的

初詣はその年に初めて神社仏閣へ参拝し、旧年の感謝を捧げるとともに無病息災など新年がよい年になるように祈ることです。

元旦早朝から行われることが一般的ですが、時計がなかった昔の時代は日が暮れる頃が1日の終わりだったため、日が暮れた夕方からが1日の始まりとされていました。

つまり大晦日の夕方からがお正月で、除夜の鐘が鳴ると近くの社寺へ出向いてお参りをする習慣でした。

年賀状

年賀状は新年をお祝いする言葉を添えて送る挨拶状

年賀状は、お世話になった方や遠方でなかなか会えない方などへ、新年をお祝いする言葉を添えて送る挨拶状です。

古くから遠方のために年賀の挨拶訪問ができない方や、年始の来客が多く訪問することを遠慮する方に、自分にも相手にも都合のよい挨拶の形として用いられてきました。

新年の挨拶の後には、近況を伝える言葉を添えたり、写真で現在の状況を伝えたりするなど、それぞれの想いを綴ります。

干支の絵を描いたり、手作りスタンプを押したりするなど、楽しく表現しましょう。

近年ではインターネットの普及により、メールやLINE、SNSを使用してメッセージを送る方も増えていますが、相手の様子を伺ったり自分の近況を伝えたりする手段でもあります。

年賀状は元日に届くように送るのがマナーですが、返信する可能性を踏まえると遅くとも松の内までに届くように出します。

もし、松の内が過ぎてしまうようであれば、寒中見舞いとして出しましょう。

年賀状の由来や送り方のマナーについては、下記記事をご参考ください。

他にも鏡開きや七草粥など、三が日以降にも正月の行事としてやることがあります。

元旦に初日の出を見る理由や正月飾りの意味と準備から処分までの決まりも解説していますので、併せてお読みください。

お正月にやってはいけないこと・注意点

お正月にはやることもたくさんありますが、実はやってはいけないこともいくつかあります。

掃除をすること

正月に掃除をすると年神様を掃いて追い払ってしまうためやってはいけない

お正月には、掃除をしてはいけないといわれたり聞いたりしたことがある方は多いでしょう。

お正月は家に年神様をお迎えする日であり、各家庭では大晦日までに大掃除をしたり門松を飾ったり、鏡餅を用意したりします。

しかし新年に入ってすぐに掃除をすることは、その年の福や運気をもって訪ねてくれた年神様をお迎えするどころか追い払ってしまうことになります。

新年は年神様が家にやってきて福をもたらすと考えられており、その福を掃いて外に出してしまわないようにという意味で掃除をしてはいけないとされているのです。

またトイレや浴室、キッチンなど水を使った掃除をすると、年神様まで水に流してしまう意味合いになるため注意が必要です。

ただし新年に年神様を迎え入れる準備として家の中をけがれのない清浄な場所にする必要があるため、前日の大晦日には大掃除をする習慣があります。

とはいいながら正月の三が日ともに掃除を控えるのは難しいため、1月1日だけでも避けましょう。

毎日の家事労働は年末までにして、元日だけでも家族とゆっくり過ごしたいものです。

年末・大晦日の大掃除については、下記記事をご参考ください。

入浴や洗い物など水を使うこと

正月の入浴や洗濯などの洗い物は年神様を水に流してしまうことになるためやってはいけない

前述の掃除に通じますが、正月は年神様が福をもって各家を訪れてくれると考えられています。

そこへ入浴をして身体を洗ってしまうと、年神様がよい気を振りまいてくれたにも関わらず水に流してしまうことになるとされています。

正月の入浴をしてはいけないといわれているのは、その理由からです。

とはいえ正月の三が日すべてで入浴を控えるのは難しいため、1月1日の元日だけでも控えましょう。

料理の支度や片付けなどの洗い物や洗濯も、福の神様を洗い流してしまうため縁起が悪いとされています。

他にも、車を洗う洗車や庭に水をまくなどの水仕事も同じく控えた方がよいです。

それでもトイレや手洗いは避けられないため、気にしすぎないようにしてください。

煮焚きなど火を使うこと

正月に火を使うと神様に火傷をさせたり火事を起こしたりする恐れがあるためやってはいけない

昔から正月は年神様が各家にやってくると考えられていたため、その間は火を使わないことが大切でした。

もし火を使うと、神様に火傷をさせたり火事を起こしたりする恐れがあるといわれていたためです。

また煮焚きをすると、必ず灰汁(あく)が出ます。

この「灰汁(あく)が出る」という言葉が「悪く(あく)が出る」の意味につながっているため、煮焚きも好ましくないとされています。

しかし正月に火を使わないという言い伝えは、昔の人が釜戸を使っていたことによるもので基本的には釜戸の火を指しています。

昔はお風呂に入る時、薪を燃やして釜戸に火をつける必要がありました。

その釜戸など火を使うところに、家の中心で家人を守護している火の神、荒神様が怒ってしまうなどの理由があるためです。

ただし正月に食べるお雑煮づくりには火を使う必要があるため、火を使わないということには無理があります。

お正月は冬の季節であり冷暖房のなかった時代は、とくに雪の積もる地域であれば火を使わないとなると過酷な状況だったはずです。

そのため釜戸は休ませる一方で、囲炉裏や火鉢で火を焚いて暖をとると同時にお雑煮を作ったり餅を焼くのはできていたといえます。

お正月の火は家に招き入れる年神様の神聖な火ともいわれていたことから、その火でお雑煮などをつくった後は火を汚さないように使用を控えるのがよいでしょう。

年末・大晦日のうちに日持ちのするおせち料理を作り重箱に詰めるのは、お正月の期間に火を使わないようにするためなのです。

刃物を使うこと

正月に刃物を使うと神様に怪我をさせるほか1年間怪我なく健康に過ごせるようにという意味で避けるべき

正月に包丁や鍋、ハサミ、ノコギリなど金属製の刃物・道具を使うと、神様に怪我をさせたり金運を逃がしたりするともいわれていました。

安全面での配慮もあり三が日に刃物を使わなければ、この1年間怪我なく健康に過ごせるようにという意味もあるのです。

また包丁で食材を切るなど刃物で物を切る行為は、縁を切ることにつながるという考えから新年に良縁を切ってしまうことを避けたいという願いが込められています。

四足歩行の動物肉を食べること

牛や豚、馬など四足歩行の動物は殺生を禁止する仏教の教えからおせち料理には入れてはいけない風習がある

四足歩行の動物というと、牛や豚、馬などが代表的です。

諸説ありますが、殺生を禁止する仏教の教えからなる風習があり、おせち料理には基本的に肉類を入れてはいけないとされています。

しかし現在では、肉を使った単品料理をおせちのメニューに加えて販売するホテルや料理店が数多くあります。

現代の日本人の食生活を考えると肉を避けるのは少し難しいため、あまり神経質にならずに食べたいものを食べてゆっくりお正月を過ごしたいものですね。

どうしても古くから伝わる決まりが気になる方は、二本足の動物である鶏肉を使用するのもおすすめです。

喧嘩や揉め事をすること

正月に喧嘩や揉め事をすると悪い運気を植えつけて1年中喧嘩の絶えない家庭になってしまうため避ける

1年の始まりをお祝いするお正月に新年早々、喧嘩や争いごとはやはり避けたいものです。

揉め事をすると悪い運気を植えつけることになり、1年中喧嘩の絶えない家庭になってしまうといわれています。

しかしお正月は毎年、親戚の集まりがあるという家庭もあるでしょう。

大勢の人が集まるとお酒の酔いもあり喧嘩や揉め事が発生しやすいため、居心地の悪さを感じたらその場にいようとせず頃合いを見計らって去るのが無難です。

兄弟喧嘩してしまったという家庭も少なくないようで、できるだけ早めに仲直りしたいものですね。

お金を使うこと

正月にお賽銭やお年玉以外でお金を使うと浪費する年になるため控えるべきとされる

正月にお金を使うと、その年は浪費する年になるため控えるべきといわれています。

ただし神様に手向けるお賽銭や子ども・孫へのお年玉といった縁起物のための出費は問題ありません。

しかし初詣や初売りセールなどが定着しつつある現代の日本では、お金を使わないわけにもいかないため気づけば浪費していることもしばしばあるでしょう。

購入する前に本当に必要なものなのかよく考えて、できるだけ浪費をしないように心がけたいものです。

釣りや狩猟など殺生をすること

正月は生き物を殺してはいけない仏教の教えから釣りや狩猟など殺生に関係することはやってはいけない

正月はお盆と同じように生き物を殺してはいけない仏教の教えから、釣りや狩猟など殺生に関連することをしてはいけないとされています。

釣った魚を持ち帰って食べる際には当然、魚の命を奪うことになります。

では魚をリリースすればよいのではと思うかもしれませんが、釣りは針がかりが悪いと魚が死んでしまうことがあるため、殺生の可能性が出てきます。

また釣り糸(リーダー)を結び変えるのにハサミを使うことと、魚が釣れたら血抜きのために包丁を使うこともあるでしょう。

また釣れた魚をさばく時に包丁が必要になるため、前述の通り刃物を使うことにつながってきます。

鍋にしたり煮づけをしたりすると灰汁(あく)が出ることにもかかわってくるため、正月三が日の釣りや狩猟は避けた方が無難です。

正月飾りの片づけや処分には注意

年神様は松の内まで滞在しているため正月三が日にしめ縄やしめ飾り、門松といった正月飾りを下ろしてはいけない

しめ縄やしめ飾り、門松といった正月飾りは、年神様をお迎えするための目印やお帰りいただく時の結界という役割があるため、正月三が日が終わったからといって片づけてはいけません。

鏡餅を除く正月飾りの処分は、年神様がお帰りになる松の内が過ぎた時に行います。

遅くとも1月15日までに片づけ、お焚き上げに持っていくか塩をまいてお清めをしてから処分します。

鏡餅は、年神様へのお供え物で松の内までは神様が宿る場所でもあることから、1月11日の鏡開きをするまでは食べたり下ろしたりしてはいけません。

鏡開きについては、下記記事をご参考ください。

正月の過ごし方まとめ

一年の計は元旦にあり、という言葉通り物事は初めが大切で元日は1年の基準として縁起の悪いことをしないという言い伝えがある

一年の計は元旦にあり。

物事は初めが大切で1年のことは年の初めの元日に計画を立てるべきという意味があるように、元日は1年の基準として昔の人はこの日に縁起の悪いことをしないよう気を配っていました。

お正月は、福をもたらす年神様を家に招き入れる期間です。

そのためお正月に掃除や入浴などをすると、年神様まで掃いてしまう・流してしまう行動とされ縁起が悪いと考えられています。

そう聞くと、正月三が日は主婦が家事や炊事を休む日ともいわれている理由が理解できます。

例えばおせち料理やお雑煮を食べるときに使い捨ての寿箸を使うのも、すべてはお正月に家事をしなくて済むようにという意味があります。

日本では奥さんや妻のことを「かみさん」と呼ぶことがあるように、三が日にまで働かなくてもいいように労いの気持ちも込めて神様のように扱うという考え方もあります。

年神様のためなのか毎日働く主婦のためなのか、いずれにしても正月にできないことを年末のうちに済ませて正月三が日はゆっくり過ごしたいものですね。

昔と今では私たちのライフスタイルも様変わりしており、地域や家庭によっていい伝えも異なります。

すべての決まり事を守る必要はなくあくまでジンクスと捉え、昨年は浪費や喧嘩が多かったと感じたなら今年はやめようという心がけで新たな1年をスタートさせましょう。

以下の記事では、1年の始まりとして共通する元旦・元日・正月の違い、三が日・松の内・大正月などに分別される正月行事の意味について紹介しています。

初日の出を拝むようになった起源や、正月飾りの種類や使い方についても解説していますのでご参考ください。

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