
大きく分けて4つの種類がある、ワセリン。
ワセリンの中で最も純度の高いプロペトとサンホワイトではどちらが優れているのか。
保湿剤ともいわれるワセリンは、他の保湿剤とはどんな違いがあるのか。
今回はワセリン4種類の成分比較に触れながら、白色ワセリンの中でも高品質とされるプロペトとサンホワイトとの違いから適したワセリンの選び方を紹介します。
他の保湿剤との違いや保湿効果も解説しますので、乾燥時期の保湿ケアに向けたスキンケアアイテムを選ぶためのご参考になれば幸いです。
ワセリンの種類や特徴の違い・選び方については、下記記事をお読みください。
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ワセリンの種類やそれぞれの特徴は?黄色・白色・プロペト・サンホワイトの違いと選び方
2025/11/16
ワセリンの成分比較
ワセリンには大きく分けて4種類あり、以下の通りです。
4種類のワセリンそれぞれの特徴や違いは別記事で紹介したため、ここではさらに突き詰めてワセリンの成分を比較します。
黄色ワセリンの成分

黄色ワセリンの成分は、ヴァセリン オリジナルピュアスキンジェリーを例にすると以下の通りです。
| 成分 | ワセリン、酢酸トコフェロール、BHT |
| 備考 | 無香料・無着色・防腐剤無添加 |
黄色ワセリンの中でも代表的なヴァセリン オリジナルピュアスキンジェリーは、ユニリーバ・ジャパンが販売する米国製のワセリンです。
主原料(基剤)となるワセリンのほかに含まれる酢酸トコフェロールとBHTという2つの成分は、酸化防止剤として配合されていることを指します。
配合量としては基本的に酢酸トコフェロールが0.1~0.2%、BHTが0.01~0.05%程度といった具合が多いです。
ヴァセリンは日本製ではないことから、私たち日本人にとってみると酸化防止剤というのは気になるところでしょう。
しかし細かいことをあまり気にしない欧米人にしてみると、微量の酸化防止剤や防腐剤が人体に与える影響や刺激であることをほとんど問題にはしません。
とはいえ、とくにBHTは比較的毒性の強い添加物とされ、食品に添加してある場合はアレルギー体質の人やがん家系・癌病歴のある人は、なるべく避けてほしい物質といわれています。
BHTの取り扱いを止めている企業もありますが、BHTは安価で酸化防止の効果も高いことから現在も使われているところもあります。
また発ガン性を疑われているものの、現段階では確認はされていないようです。
各成分の人体に及ぼす影響が気になる人や敏感肌の人は、パッチテストを試すなど個々の判断で利用してください。
酸化防止剤とは
酸化防止剤は、商品が酸化され、過酸化脂質によって老化促進やシミ・シワになることを防ぐとされています。
防腐剤とは
防腐剤は、商品が腐って菌が繁殖することで人体に病気やトラブルを引き起こすことを防ぐものです。
白色ワセリンの成分

白色ワセリンの成分は、ベビーワセリンを例にすると以下の通りです。
| 成分 | 白色ワセリン |
| 備考 | 無香料、無着色、パラベン(防腐剤)フリー |
標準的な白色ワセリンに分類されるベビーワセリンは、健栄製薬が製造・販売する日本製のワセリンです。
その名前通り赤ちゃんの肌にも使える保湿剤として精製されているため、無香料・無着色で防腐剤などの添加物は含まれていません。
しかし一般的に白色ワセリンには、抗酸化剤としてジブチルヒドロキシトルエンが含まれていることが多いです。
白色ワセリンは黄色ワセリンを精製したもので商品数も多いですが、商品によって配合成分はじめ精製方法や加工処理が異なります。
そのため、敏感肌の人はパッチテストをしてみることをおすすめします。
白色ワセリンについては、下記記事でも解説していますのでご参考ください。
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ワセリンの種類やそれぞれの特徴は?黄色・白色・プロペト・サンホワイトの違いと選び方
2025/11/16
プロペトの成分

プロペトの成分は、プロペト ピュアベールを例にすると以下の通りです。
| 成分 | 白色ワセリン |
| 備考 | 第3類医薬品 |
プロペトは白色ワセリンの分類に入りますが、白色ワセリンをさらに精製して不純物を取り除いたものです。
また、酸化防止剤や防腐剤も入っていない無添加のビュアワセリンとされています。
そのため、開封後はできるだけ早めに使い切ったほうがいいです。
市販品におけるプロペトでは、現在のところ第一三共のプロペト ピュアベールのみ販売されています。
詳しくは後述しますが、プロペトに使われている保湿剤はエモリエントです。
エモリエントは、皮膚の上に油の膜を張ることで皮膚からの水分蒸発を防ぐ作用があります。
サンホワイトの成分

サンホワイトの成分は、サンホワイトP-1を例にすると以下の通りです。
| 成分 | 白色ワセリン |
| 備考 | 無香料・無着色・保存料不使用 |
サンホワイトは、白色ワセリンの中でも高品質なプロペトをさらに精製したものです。
香料や着色料、保存料も使われていない無添加のワセリンですが、化粧油として販売されているため実はプロペトと同じ医薬品ではありません。
市販ではなかなか見られませんが、オンラインショップなどで日興リカのサンホワイトP-1のほかリップ型のサンホワイトも販売されています。
医薬品として扱われるプロペトの特徴・効果
皮膚科などの病院やクリニックで処方が多いのは、白色ワセリンとプロペトです。
両方とも白色ワセリンの成分でそれほど違いはありませんが、プロペトは白色ワセリンからさらに精製し不純物を取り除いたもののため敏感肌の人や赤ちゃんにも安心して使えます。
ちなみに限定的ですが、プロペトは市販もされています。
現在のところ第一三共が製造・販売するプロペト ピュアベールの1種類しか市販品がありませんが、第3類医薬品としての扱いになっていて安全なため筆者も使用しています。
プロペトの特徴・効果

プロペトは、白色ワセリンをさらに精製しより純度を高めたワセリンです。
第3類医薬品であることがほとんどで保湿作用以外にも、手足のヒビやアカギレ、皮膚の荒れなど皮膚を保護する作用があります。
高齢の人や子どもで小さな傷ができやすい場合は、プロペトを塗っておくことで傷ができにくくなる予防効果もあるのです。
また、できてしまった傷に対しても患部の清潔を保った上でプロペトを塗っておくと傷の治りが早くなります。
見た目は半透明に近い白色で低刺激なだけでなくべたつきにくく、肌馴染みがよいため使いやすいです。
顔にも使えるプロペト

プロペトは、皮膚の水分が逃げないように油分の膜で蓋をして肌の乾燥を予防できるとともに、油分が肌を覆うことで外部刺激から皮膚を保護する作用も期待できます。
また不純物を極力カットし添加物を一切配合していないため、デリケートな目元を含む全身に使用できます。
医療機関では、眼科用軟膏基剤として処方されることがあるほど安全です。
目の周りにも使えることから顔に塗れるワセリンとして唇やデリケートな箇所はもちろん、小さな傷や擦り傷などから肌を守れるでしょう。
プロペトの市販品と処方薬の違い

プロペトには、薬局やドラッグストアで購入できる市販のプロペト ピュアぺールと、医療機関で処方される医薬品としてのプロペトがあります。
いずれも成分や製剤はじめ香料や着色・保存料などの添加物を一切加えていないピュアワセリンという点では同じですが、効能や効果は違います。
またプロペト ピュアベールは自分の判断で購入して使うことができますが、本来プロペトは医師が患者の症状や皮膚の状態に応じて処方する薬です。
その購入・処方の目的や効能については、主に以下の通りです。
| 項目 | プロペト ピュアベール | プロペト |
|---|---|---|
| 取扱い | 市販品 | 処方薬 |
| 用途 | 手足のひび、アカギレ、皮膚の荒れ・保護 | 眼科用軟膏基剤、一般軟膏基剤、皮膚保護剤 |
| 入手方法 | 薬局 | 医療機関 |
| 備考 | 第3類医薬品 | 医療用医薬品 |
筆者は季節の変わり目なのか花粉症でもないのに、目や口の周りが赤く痒みが出た際に皮膚科でプロペトを処方されたことがあります。
市販のプロペトは、硬めのテクスチャーなのに塗った時はさらっとした感触です。
それに対して処方薬のプロペトは、柔らかめでこっくりとしたベタつきのあるテクスチャーのため保湿の持続力でいうと市販のプロペトよりも強く残ります。
どちらもデリケートな皮膚部分に使えますが、蓋をする機能として考えると膜を張ったような厚みがある処方薬プロペトのほうが安心できます。
高純度・高品質のサンホワイト
サンホワイトは、白色ワセリンをさらに精製した高純度・高品質の白色100%ワセリンです。
プロペトよりも純度が高いとされており、アレルギーパッチテストの基剤に使われるほど低刺激なため赤ちゃんのスキンケアにも使えます。
なおワセリンよりも精製コストがかかっているため、価格は普通の白色ワセリンより高価です。
またドラッグストアなどの店舗で見かけることはほとんどなく、医療機関で処方された場合は保険が適用されないため料金が割高になります。
それでも価格に見合うほど刺激性が少ないことから、白色ワセリンやプロペトで異常が出る人や乳幼児には最適です。
ちなみに、医療機関で処方されることの多いキンダベート軟膏はサンホワイトが使用されています。
プロペトとサンホワイトとの違い

プロペトとサンホワイトはどちらも精製されたワセリンですが、どんな違いがあるのでしょうか。
またプロペトとサンホワイトをどういった基準で選んだらいいのでしょうか。
プロペトとサンホワイトの特徴・違い
プロペトは、白色ワセリンをさらに精製し不純物が除去された肌に優しい保湿剤です。
一方サンホワイトは、プロペトをさらに精製し酸化防止剤を加えた保湿剤です。
このため酸化防止剤が配合されていないプロペトに比べると、サンホワイトのほうが純度が高く酸化しにくいという特徴の違いがあります。
また、プロペトは医薬品として扱われているのが一般的です。
しかしサンホワイトは、香料・着色料・保存料などを使用していない無添加の高品質な白色ワセリンであるものの、実は化粧油として販売されているためプロペトのような医薬品扱いではありません。
サンホワイトも医薬品の材料として病院で処方されることもありますが、保険が適用されないため他のワセリンに比べると割高になります。
また取扱いがある薬局は限られますが、オンラインショップなどで購入することが可能です。
プロペトとは性質が異なるため粘膜などへの使用はできませんが、目元や唇などには使えます。
プロペトとサンホワイトの比較表
プロペトとサンホワイトの違いを比較表にしましたので、参考にしてください。
| 項目 | プロペト | サンホワイト |
|---|---|---|
| 特徴 | 敏感肌や赤ちゃんにも使いやすい | 酸化しにくく無添加(香料・着色料・保存料不使用) |
| 取扱い | 医薬品(第3類医薬品) | 化粧品(化粧油) |
| 主な用途 | 医療用医薬品で医師の処方箋が必要 | 化粧品で医師の処方箋は不要 |
| 保険適用 | ○ | × |
| 酸化防止剤 | × | ○ |
| 成分 | 純度の高い白色ワセリン | 高品質のワセリン100% |
| 入手方法 | 薬局・医療機関 | オンラインショップ・医療機関 |
| 商品リンク | 購入する | 購入する |
プロペトとサンホワイトの筆者体験
美容院でカラーリングをする際の皮膚の保護クリームとして、本来なら美容院が用意する業務用のワセリンを使うことでしょう。
しかし、筆者は業務用のワセリンでひどい肌荒れを起こしてしまい、完全に治るまで数週間を要しました。
そのことから市販のプロペトを持参して、担当美容師さんに使ってもらっています。
美容院でカラーリングをする際に、皮膚の保護クリームとして本来なら美容院が用意する業務用のワセリンを使うことが一般的です。
しかし筆者は業務用のワセリンでひどい肌荒れを起こしてしまい、完全に治るまで数週間かかりました。
そのことから市販されているプロペト ピュアベールを持参して、担当美容師さんに使ってもらっています。
その間にプロペトよりもサンホワイトのほうが純度が高く低刺激だと知り、オンラインショップで購入したこともあります。
サンホワイトを試験的に使ってみたところ、業務用ワセリンほどひどくはないものの顔回りがかさぶたができるほど肌が荒れてしまいました。
サンホワイトは、プロペトをさらに精製した高純度100%のワセリンであるのにもかかわらずです。
傷跡が消えるまでに、2週間程度かかりました。
その時にサンホワイトは医薬品ではなく化粧油として販売されていることに気づき、プロペトに戻したのです。
筆者はオイルやアルコールが配合された化粧水や乳液では肌荒れを起こすため、油が配合された化粧品ということに納得しました。
プロペトは第3類医薬品としても販売されているため、筆者としてはプロペトが安全かつ敏感肌に向いていると感じたのです。
なお、あくまで個人の体験に基づく感想になるため、まずはパッチテストを試してみることをおすすめします。
ワセリンと他の保湿剤との違い
保湿剤として使うこともあるワセリンですが、厳密にいうと肌の水分を逃さないように油分で蓋をすることが目的です。
では他の保湿剤と比べると、役割や効果、保湿力にはどのような違いがあるのでしょうか。
実はスキンケア商品に含まれる保湿作用は大きく分けて、以下の通り2種類あります。
エモリエント

エモリエントは、皮膚の上に油の膜を張ることで肌内部の水分蒸発を防ぐのが主な作用です。
ワセリン製品をはじめスクワランオイルやホホバオイルなどの天然油脂に含まれることが多く、肌を柔らかく保つ働きもあります。
また痒みで身体をこすると皮膚表面の皮脂が失われ乾燥肌になりやすいため、エモリエントの作用をもつ製品を塗ると保湿効果が期待できます。
エモリエントの働き・効果
- 肌の水分と油分のバランスを整える
- 肌内部の水分が蒸発するのを防ぎ潤いを保持する
- 肌を柔らかく滑らかに保つ
- 肌のバリア機能を強化する
エモリエントの作用がある主な製品
エモリエントは、化粧水などによって肌に与えられた水分が蒸発しないように油分を補って人工的な皮脂膜のように蓋をする役割からオイルを含んでいる製品が主です。
| 天然油脂・オイル | アルガンオイル、スクワランオイル、ホホバオイルなど |
| 油性物質 | ワセリン、ラノリンなど |
| その他 | セラミド、リン脂質など |
モイスチャライザー

モイスチャライザーは、肌内部で水分と結合して肌の保湿を促し潤いを維持するのが主な作用です。
グリセリンやヒアルロン酸など水分を吸収して保持する成分を補い、乾燥から肌を守る役割があります。
主にヒルドイドやケラチナミン、ウレパールなど、ヘパリン類物質や尿素系の保湿クリームに使われています。
モイスチャライザーの働き・効果
- 水分を吸収して肌の水分量を保つ
- 水分蒸散を防ぐエモリエントの効果を補強する
- 健康的な肌を維持する
モイスチャライザーの作用がある主な製品
モイスチャライザーは、化粧水や乳液、美容液、クリームなど洗顔後のスキンケアに使う基礎化粧品全般に含まれます。
他にもボディローションやハンドクリームといった身体や手などの広範囲の皮膚の乾燥を防ぐ製品も対象です。
商品パッケージや説明書きに保湿やモイスチャーのほかヒアルロン酸やコラーゲン、グリセリン、セラミドといった単語が記載されている製品はモイスチャライザー(保湿成分)を含んでいるといえます。
| ヘパリン類物質 | ヒルドイド、ビーソフテンなど |
| 尿素系物質 | ケラチナミン、ウレパールなど |
| 保湿成分 | ヒアルロン酸やコラーゲン、グリセリンなど |
エモリエントとモイスチャライザーの違い・比較表
エモリエントとモイスチャライザーの性質や違いを比較表にしましたので参考にしてください。
| 項目 | エモリエント | モイスチャライザー |
|---|---|---|
| 働き・効果 | 肌の水分と油分のバランスを整える | 肌の保湿とバリア機能の維持 |
| 保湿作用 | 水分が逃げないように蓋をする役割 | 肌に水分を与える役割 |
| 配合製品 | 天然油脂・オイル(スクワランオイルやホホバオイルなど)、油性物質(ワセリンなど)、セラミド、リン脂質など | ヘパリン類物質(ヒルドイドなど)、尿素系物質(ケラチナミンやウレパールなど)、ヒアルロン酸、グリセリンなど |
保湿剤としての使い方・効果
普通肌の人は、乾燥が強い部屋にいた時や冬に長風呂したりした時など一時的に乾燥してしまった場合は徐々に肌自体の治癒力によって乾燥が治まってきます。
その時にエモリエントの働きをするワセリンで蓋をすることで、肌自体の治癒力の手助けをすることができます。
乾燥肌の人は、ワセリンの保湿剤としての力でいうと天然保湿成分が入っているヒルドイドなどに比べれば保湿力は弱いため、保湿クリームで水分を与えることが重要です。
ヘパリン類似物質や尿素系物質には水分を保持する作用を発揮するため、保湿効果でいうと一般的にモイスチャライザーのほうが高い傾向にあります。
いずれも保湿剤としては同じですが、大きな違いとしては水分を逃さないように蓋をするか、保湿を与えて潤いを維持するか、です。
ワセリンの成分や効果の違いまとめ

さまざまな用途に使えても、種類によっては成分も効果も異なるワセリン。
同じ白色ワセリンでも精製の度合いや加工処理によって、肌への刺激や副作用も変わります。
とはいえ肌に保護膜を作ることで乾燥や刺激から皮膚を守ってくれ、赤ちゃんから大人まで年代を問わず安心して使うことができる点では同じです。
また個々によって体質や肌質も違えば感じ方や効果も異なるため、使ってみないとわかりません。
まずは医薬品として扱われるプロペトや最も純度が高いサンホワイトを使ってみて、それでも合わなければ化粧品として販売されている保湿剤を使ってみてください。
そして水分を補うか潤いに蓋をするか、あなたに合った保湿ケアを見つけましょう。
以下の記事では、ワセリンの種類や特徴の違い・選び方について解説しています。
3種類のワセリンを使用した筆者体験も紹介していますので、併せてお読みください。
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ワセリンの種類やそれぞれの特徴は?黄色・白色・プロペト・サンホワイトの違いと選び方
2025/11/16