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カタクリや芝桜、ポピー…穏やかな春を彩る花・植物の観光スポット

2023年5月21日

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春の花、チューリップ

春の花といえば、桜や藤、ネモフィラなど。

寒い冬を乗り越え、暖かくなっていく季節には、たくさんの花々が一斉に咲き誇ります。

今回は、桜や藤などといった定番の花が注目を集める中、その陰で可憐に彩りを見せてくれる春の花・植物、それぞれの生態や特徴を解説します。

また、その花や植物を実際に観ることのできるスポットも紹介しますので、遠出や観光ついでの寄り道としてご参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

颯彩(ふーあ)

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カタクリ(3月中旬~4月上旬)

カタクリ(スプリング・エフェメラル)

雪解けを待って、早春の山を最初に彩る花の1つがカタクリです。

春先に花をつけ、夏までに葉や茎は枯れその後は地下で休眠期間に入ることから「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」とも呼ばれています。

またカタクリは、その名前の通り片栗粉が取れる植物としても知られ、球根は良質のデンプンを多く含んでいます。

実にひたむきでブナ林などの落葉樹林の傍で生育し、冬の間は落ち葉の下で寒さにじっと耐え、まだ樹木が目覚める前の早春に芽を出して葉を出し、花を咲かせます。

春が深まり、周囲の草木や樹木に葉が覆い茂り、光が入らなくなると、葉を落として再び土の中で眠りにつきます。

そして、体力を温存しながら、じっと春を待つ早春限定の草花です。

カタクリは、実をいうと種から花が咲くまでに7~8年もかかります。

1年目は種から芽を出すだけで地上部は枯れ、2年目からは春に楕円形の葉を1枚だけ出しますが、同じように初夏までには枯れます。

それを6年目まで繰り返し、7年かけてじっくりと球根に栄養を蓄えて花を咲かせる準備をし、7年目にようやく葉を2枚出して花を咲かせます。

種から7年目でようやく花咲き春を告げる山の妖精、カタクリ。

薄紫の花びらを下向きに大きく広げながら咲く可憐な姿は、応援したくなるような生き方をしているため、この貴重な機会にひと目見ようと多くの観光客や登山者がその姿を観に訪れます。

場所によっては絶滅危惧種の指定を受けており、植生地を整備することで守られている場所も少なくないので、咲いているところを観られる場所は限られています。

城山かたくりの里

城山かたくりの里で見られるカタクリの群生地

城山かたくりの里は、例年3月中旬から4月中旬にかけて、カタクリの咲く春のみ一般公開している個人所有地です。

山林に自生するカタクリは約30万株もあり、慎ましくも艶やかに冬の明けた春先を優しく彩ります。

城山かたくりの里で見られる希少な白いカタクリ

珍しいキバナカタクリや白いカタクリの花も人気で、同じくスプリング・エフェメラルであるユキワリソウなどの小さな野花もたくさん見られます。

スプリング・エフェメラルというのは、春の一時期にのみ姿を見せ、夏の緑が茂る頃には姿を消してします草花たちのことです。

城山かたくりの里
住所:神奈川県相模原市緑区川尻4307
交通アクセス:
JR横浜線・京王線「橋本」駅南口より期間限定の直通バスを利用、アリオ橋本店前の横断歩道を渡った先にある「相模原市コミュニティバス乗り場」より乗車
路線バスを利用する場合は、「橋本」駅北口より神奈中バス乗り場①②番から三ヶ木行きで約15分「城山総合事務所入口」下車徒歩20分
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御岳山

筆者がいつか行きたい場所になりますが、御岳山では富士峰園地や長尾平でカタクリの群生が見られます。

富士峰園地は、一般的に夏に咲くレンゲショウマの群生地ですが、カタクリのほかアズマイチゲやニリンソウ、タチツボスミレなど他の珍しい植物も見られます。

御岳山の山道は、舗装もされていない自然豊かな雰囲気で、東京都内ではありますがビルなども見えず、まるで地方の山奥を歩いているかのようです。

標高929メートルある御岳山へは、ケーブルカーで行くことができますが、登山道で足場の悪い箇所がありますので、トレッキングシューズを履くなど山歩きに適した準備をしていきましょう。

御岳山
住所:東京都青梅市御岳山38-5
交通アクセス:
JR青梅線「御嶽」駅下車、ケーブル下行きの西東京バスで「ケーブル下」下車、ケーブルカー「滝本」駅より「御岳山」駅下車徒歩10分
ケーブルカー「滝本」駅より御岳ビジターセンターまでは徒歩約1時間
御岳登山鉄道
東京都御岳ビジターセンター

シバザクラ(4月上旬~5月上旬)

シバザクラ(芝桜)

シバザクラ(芝桜)は、茎が芝のように地面を這って広がり、サクラに似た形の花を咲かせることから呼ばれています。

日当たりと水はけのよい場所を好み、耐寒性が強いのが特徴です。

常緑性により地面を覆いつくすように密生し、土の流失も防ぐため、花壇の縁取りや石垣などで利用されていますが、芝のように踏圧に強くないので人が踏まないところで育てるのが適しています。

一面に花を咲かせる様子は花の絨毯のように圧巻であるとともに、近くで見るシバザクラのひとつひとつの小さな花びらはまるでハート型のようです。

富士本栖湖リゾート

富士本栖湖リゾートで見るシバザクラと富士山

シバザクラといえば、富士山が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

山梨県の富士本栖湖リゾートは、毎年4月中旬から5月下旬にかけて「富士芝桜まつり」が開催され、濃淡のピンク色をしたシバザクラが絨毯のように辺り一面を埋めます。

約50万株のシバザクラが、富士山麓の広大な敷地に咲き誇り、鮮やかな色のコントラストが美しい富士山を彩る春の風物詩です。

富士本栖湖リゾート
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町本栖212
交通アクセス:
JR「河口湖」駅から新富士駅行き路線バスで「富士本栖湖リゾート」まで約50分
JR「河口湖」駅から富士芝桜ライナーで直行40分
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羊山公園

筆者がいつか行ってみたい場所になりますが、羊山公園にある芝桜の丘は、面積は約1万7600平方メートルで関東でも有数の規模を誇り、色とりどりのシバザクラが10品種40万株以上植栽されています。

芝桜の丘は、秩父のシンボルである武甲山(標高1304メートル)の麓、羊山丘陵の斜面を利用して、ピンクや白、紫色などさまざまな色の芝桜を組み合わせて、まさに花のパッチワークのようです。

羊山公園
住所:埼玉県秩父市大宮6360
交通アクセス:
西武鉄道「横瀬」駅または「西武秩父」駅から徒歩20分
秩父鉄道「御花畑」駅(芝桜駅)から徒歩約20分
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チューリップ(3月下旬~5月上旬)

チューリップ

チューリップは、ユリ科の球根植物で、球根は直径3センチほどで先が尖った玉ねぎのような形をしており、10月中旬から12月初旬までに植えると、3月から5月にかけて開花します。

地中海沿岸から中央アジアにかけておよそ150種が分布しますが、世界中で人気のある植物のため、これまでに数えられないほどの品種が誕生し、約5000を超える品種が登録されています。

草丈が高く、すっと伸びている姿が美しいため、切り花としてアレンジメントや花束で使われることが多いです。

一重咲きがよく知られていますが、八重咲きやユリ咲き、フリンジ咲き、パーロット咲きなど7種類の咲き方があります。

春に咲くチューリップとは別に、冬に花咲くウィンターチューリップという名前を耳にしたことがあると思いますが、特別な品種ではありません。

ウィンターチューリップについては、下記記事で解説していますのでご参考ください。

国営昭和記念公園

国営昭和記念公園の渓流広場で見るチューリップ畑

東京都内のチューリップガーデンといえば、昭和記念公園でしょう。

毎年ゴールデンウィーク近くになると、地方からも観光客が訪れ賑やかになります。

オランダのキューケンホフ公園の元園長による、オリジナルデザインを踏襲したとされる渓流広場は、約700メートルにわたって青い芝生と緩やかな曲線の渓流に鮮やかなチューリップのコントラストを味わえます。

同じ時期には北側にある花の丘で、真っ赤なシャーレ―ポピー畑も見られます。

国営昭和記念公園
住所:東京都立川市緑町3173
交通アクセス:
立川ゲートへは、JR中央線「立川」駅北口より徒歩約18分
西立川ゲートへは、JR青梅線「西立川」駅公園口より徒歩2分
昭島ゲートへは、JR青梅線「東中神」駅北口より徒歩約10分
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砺波チューリップ公園

砺波チューリップ公園に広がるチューリップ

砺波チューリップ公園は、7ヘクタールの規模で入場料無料ですが、4月下旬からゴールデンウィーク期間までに開催される「となみチューリップフェア」は有料です。

となみチューリップフェアは、300品種・300万本のチューリップが彩る国内最大級の花の祭典で、大花壇、花の大谷、円形花壇、水車苑、水上花壇、オランダ風花壇など、豊富な演出で会場いっぱいに咲き揃います。

砺波チューリップ公園
住所:富山県砺波市花園町1-32
交通アクセス:JR「新高岡」駅で城端線に乗換え「砺波」駅下車徒歩15分
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国営ひたち海浜公園

国営ひたち海浜公園で見るチューリップの森

春のひたち海浜公園といえばネモフィラですが、同じ時期にたまごの森フラワーガーデンで約230品種・約26万本のチューリップが森の中一面に広がります。

色や形もさまざまなチューリップが鮮やかに咲く姿は、元気なエネルギーにあふれていて、まるでヨーロッパのような景色です。

国営ひたち海浜公園
住所:茨城県ひたちなか市馬渡字大沼605-4
交通アクセス:JR常磐線「勝田」駅東口より路線バス2番乗り場「海浜公園西口」下車
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ポピー(5月上旬~中旬)

ポピー(アイスランドポピー)

ポピーといっても大きく種類が分かれていて、中でも特にアイスランドポピーやシャーレーポピーを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

ポピーは、ケシ科ケシ属の一年草・多年草で、世界中に150種ほどが確認されていますが、アヘンが採れるために栽培が禁止されている種類もあります。

日本でガーデニング用として栽培されているのは、主にお椀のような形をしたアイスランドポピー、扇形の赤いシャーレーポピーです。

どれも花色がカラフルで、花のサイズも大きいので、群植すると迫力があります。

アイスランドポピーは、別名でシベリアヒナゲシと呼び、原産地は南ヨーロッパです。

本来は宿根草ですが、寒さに強い一方で暑さには弱い性質により日本の暑い夏には耐えられずに枯死するので、日本では一年草として分類されています。

開花期は3~5月で、花色はオレンジ、黄、白、クリーム、ピンク、複色など幅があり草丈は60~80センチほどです。

シャーレーポピーは、別名でヒナゲシ、グビジンソウ(虞美人草)とも呼ばれ、原産地はヨーロッパ中部です。

寒さに強く暑さには弱い性質のため、夏を乗り越えられずに枯死する一年草です。

開花期は4月中旬~7月中旬で、花色は白、赤などで、基本的には4枚の花弁をもつ一重咲きですが、八重咲きもあり草丈は15~80センチになります。

国営昭和記念公園

国営昭和記念公園のシャーレーポピー

昭和記念公園にある花の丘は、面積約1万5000平方メートルと園内で一番大きな花畑で、真っ赤なシャーレーポピーが一面に広がります。

秋にはコスモスが大パノラマで咲き、花のシーズンには欠かせない場所で、丘の上からは立川駅方面が一望できます。

立川ゲートより徒歩40分ですが、途中の道端に咲く花々を観ながら進むと苦にはならないでしょう。

国営昭和記念公園のアイスランドポピー

園内の中央にある原っぱ西花畑または原っぱ東花畑でも、その年によってアイスランドポピーが広がります。

国営昭和記念公園
住所:東京都立川市緑町3173
交通アクセス:
立川ゲートへは、JR中央線「立川」駅北口より徒歩約18分
西立川ゲートへは、JR青梅線「西立川」駅公園口より徒歩2分
昭島ゲートへは、JR青梅線「東中神」駅北口より徒歩約10分
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京都府立植物園

京都府立植物園のアイスランドポピー

京都府立植物園では、アイスランドポピーが花壇いっぱいに咲かせます。

その年によってポピーだけで統一させたり、チューリップやネモフィラなど春の花と組み合わせたりするなど、毎年変わる風景が楽しめます。

京都府立植物園で見られる希少な青いケシ、ブルーポピーとも呼ばれる

観覧温室では、「ヒマラヤの青いケシ」と呼ばれるメコノプシス・ベトニキフォリアが見られます。

ヒマラヤ山脈の標高5000メートルという場所に生息し、淡紫色や濃青色といった珍しい花色から、別名でブルーポピーともいわれています。

京都府立植物園
住所:京都市左京区下鴨半木町
交通アクセス:
JR・近鉄「京都」駅より京都市営地下鉄「北山」駅下車3番出口すぐ、または「北大路」駅下車3番出口徒歩約10分
京阪「出町柳」駅より市バス1系統または京都バス「静原」「市原」行きで「植物園前」下車徒歩約5分
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バラ(5月中旬~6月上旬)

花の女王とも呼ばれるバラ(薔薇)は、ヨーロッパや北アフリカなど自生地はすべて北半球で、春バラは5月上旬から5月下旬ごろ、秋バラは10月中旬から11月上旬ごろにかけて花咲きます。

バラについては、下記記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

終わりに

寒い冬が明け、徐々に目覚め始める春の花。

桜や藤など上を見上げる花木が人気を集める中、地面に目を向けると、希少なカタクリはじめポピーや芝桜など、なかなか目にする機会のない珍しい種類も多く、春らしい淡い色をした植物が一斉に咲き揃います。

スプリング・エフェメラルという、春の一時期にのみにしか姿を見せない草花たちは生命も短く儚いため、寒い冬を乗り越えて咲くひたむきな姿を見ながら、新しい季節を迎えてはいかがでしょうか。

この記事で紹介している観光スポットは、筆者が実際に訪れた場所として関東や関西が主になっていますので、遠方の場合はお近くの公園や庭園、植物園のWebサイトなどで開花情報をチェックしてみてください。

※使用カメラは、Cannon EOS 5D MarkⅡ、OLYMPUS PEN、SONY α7Ⅱ

以下の記事では、春夏秋冬の四季別に咲く花・植物を観光スポット付きで紹介しています。

季節ごとの主役というほどではないけれど、なぜか目を惹く珍しい花の生態や特徴も解説していますので、併せてお読みください。

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