
紅茶やパンケーキなどに少し垂らすとぐっと美味しさを増してくれるハチミツ。
ハチミツにはビタミンやミネラルなど、私たちの身体に必要な多くの栄養成分が含まれていることから健康や美容に効果があるといわれています。
他にも多くの作用・効能をもっており、古くから健康を助ける生薬としても重宝されてきました。
今回はそんなハチミツの特徴から栄養成分とその作用・効能、効果的な食べ方・注意点を紹介します。
ハチミツと相性のいい食材も解説していますので、健康的な日常を送るためのご参考になれば幸いです。
ハチミツとは
改めてハチミツを説明する必要もないかもしれませんが、後に続く記事の意味を知るためにもハチミツができるまでの流れや誕生したきっかけを簡単に説明します。
ハチミツができるまでの流れ

ハチミツは、ミツバチが野山や花畑を飛び回り植物にある花の蜜から蜜を採集し、自分たちが住む巣に持ち帰って加工・熟成させた天然の甘味物質です。
その熟成から貯蔵されるまでの過程で、ハチミツの栄養素は作り上げられます。
本来はミツバチが生きていくために必要なエネルギー源を花から蜜を集めて加工・貯蔵し、保存食や子供の餌として巣を存続させるための習性であり自然の営みです。
市場で販売されているハチミツは、日本をはじめ世界各地の養蜂家たちがこの習性を活用してミツバチに花蜜を集めさせ花の種類ごとに収集しています。
その集められた多くの蜜から、ミツロウなどの異物を取り除いたものがハチミツとして販売されています。
つまりミツバチが集めてくれる蜜によって、人間はその恩恵を受けているのです。
ハチミツは生きる薬

ハチミツは、ビタミンやミネラルなど150種類以上の栄養成分がバランスよく含まれています。
腐らないといわれるほど高い殺菌・消毒作用もあることから、風邪予防や肌荒れ改善に効果的といわれています。
他にも多くの効能をもち、昔から傷の治療や病気の感染予防などに使われてきたほどです。
また健康を助ける生薬としても重宝され、漢方では粉末状の生薬を丸薬にまとめたり飲みやすくしたりするために使用されてきたほか、食材の臭みを取ったり肉を柔らかくしたりする作用もあります。
ハチミツに含まれる栄養成分

ハチミツには、実は残念ながら7大栄養素といわれている栄養成分はほとんど含まれていません。
しかしカルシウムやカリウム、鉄のほかビタミンB1・B2・葉酸などのビタミン類、さらに私たちの身体にも存在している約25種類のアミノ酸、約30種類のミネラル、約80種類の酵素など豊富な栄養素が含まれています。
ハチミツの栄養成分表
ハチミツ100gあたりの栄養成分表は、以下の通りです。
エネルギー | 329kcal |
水分 | 17.6g |
タンパク質 | 0.3g |
(アミノ酸組成によるたんぱく質) | (0.2g) |
脂質 | Tr |
炭水化物 | 81.9g |
灰分 | 0.1g |
ナトリウム | 2.0mg |
カリウム | 65.0mg |
カルシウム | 4.0mg |
マグネシウム | 2.0mg |
リン | 5.0mg |
鉄 | 0.2mg |
亜鉛 | 0.0mg |
銅 | 0.04mg |
マンガン | 0.21mg |
ヨウ素 | Tr |
セレン | 0µg |
クロム | 1.0µg |
モリブデン | 0µg |
ビタミンA | 0µg |
(カロチンβ) | (1.0µg) |
ビタミンD | 0µg |
ビタミンE | 0µg |
ビタミンK | 0µg |
ビタミンB1 | Tr |
ビタミンB2 | 0mg |
ナイアシン | 0.3mg |
ビタミンB6 | 0.02mg |
ビタミンB12 | 0µg |
葉酸 | 7µg |
パントテン酸 | 0.12mg |
ビオチン | 0.4µg |
ビタミンC | 0mg |
食物繊維 | 0g |
糖質 | 81.9g |
食塩相当量 | 0g |
出典:日本食品標準成分表(第8訂)・2020年
採集される花の種類やミツバチの種類などにより、若干の変化はありますが、文部科学省が公表していることからも、基本的には上記の通りです。
ハチミツの甘味が健康によい理由

ミツバチが花の蜜を採集し巣の中で加工・熟成した後に貯蔵したハチミツは、約80%の糖分と約20%の水分で構成されています。
主な成分が糖分と聞くと健康や美容に悪そうなイメージがありますが、前述の通り糖分の他にビタミンやミネラル類などの栄養素が豊富に含まれています。
ハチミツの100gあたりのカロリーは329kcal、糖質は81.9gですが、大さじ1杯(22g)あたりにするとカロリーは約72.3kcal、糖質は約18gです。
一般的な砂糖である上白糖のカロリーは100gあたり391kcal、糖質は99.3gであることからハチミツは砂糖より約20%も抑えめということになります。
栄養成分(100g) | ハチミツ | 上白糖 |
---|---|---|
カロリー | 329kcal | 391kcal |
糖質 | 81.9g | 99.3g |
またハチミツに含まれる糖類はミツバチが花の蜜を体内の酵素で分解しているため、もとからブドウ糖と果糖に分解された単糖類です。
一般に摂取された糖類は、多くがブドウ糖や果糖に分解されて体内に吸収されます。
つまり消化吸収に手間や負担をかけず、直接的に身体のエネルギー源として吸収されるのです。
ハチミツは低カロリーかつ栄養豊富

前述の通りハチミツのカロリーは100gあたり329kcalで、391kcalの上白糖と比べると低カロリーです。
これらの栄養成分はどれも良質でハチミツに多くの栄養が含まれているのは、ハチミツの原料が花の蜜でありさまざまな栄養素が含まれているのは花粉が入っているためです。
ミツバチは、ハチミツだけでなく花粉も集めて巣に持ち帰ります。
花が咲く春から秋にかけて食料となるハチミツを集めるために、花や植物の咲く地と巣箱を往復します。
その時に花の蜜と一緒に花粉も採取するため、ハチミツの中に混ざります。
ミツバチはその小さな体で飛び回るために、多くのエネルギーを消費しているのです。
花粉はハチミツ1gに対して、多くても20万個ものが入っています。
ビタミン類はじめカルシウム、カリウム、鉄、ミネラルなど多くの栄養素が含まれているため、エネルギーを補給しながら蜜と一緒に集めてくるわけです。
ハチミツは栄養成分の宝庫

ハチミツにはビタミン、ミネラル、アミノ酸、酵素、ポリフェノールなど150種類以上ものの栄養成分がバランスよく含まれており、「パーフェクトフード」と呼ばれるほどです。
ビタミン類には、ビタミンB1・B2・B6・葉酸・ニコチン酸・パントテン酸・ビタミンC・ビタミンK・ビオチンなどがあります。
ミネラル類では、カリウムのほかナトリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・亜鉛・鉄・銅・マンガンなどどれも微量ですが、栄養成分が豊富にバランスよく含まれているのがわかります。
さらに腸内環境を整える作用があるグルコン酸やオリゴ糖、抗酸化・抗炎症作用でメタボリックシンドロームを軽減するポリフェノールも含まれています。
7大栄養素とは
7大栄養素は、炭水化物・タンパク質・脂質・ミネラル・ビタミン・水・食物繊維のことです。
これらは、私たちが健康に暮らしていく上で欠かせない栄養素で、不足すると健康に影響を及ぼします。
ハチミツの種類と特徴・違い
ハチミツの独特な味や香り、色は、ミツバチが蜜を採取する花の種類によって変わってきます。
その数は数えきれないほどで、例え同じ花の蜜であっても採集する場所や採取する時期・天候によっても微妙に違うのです。
現在、国内で生産されているハチミツはミカンの花から蜜をとったものが最も多いですが、他にもレンゲや菜の花、アカシアなどそれぞれに独特の違いがあります。
また花の種類だけではなく、ミツバチの種類などによってもハチミツの栄養価に若干の違いはありますが、基本的には前述した栄養成分が含まれています。
ここでは代表的なハチミツの種類とそれぞれの特徴、主な栄養素の違いについて簡潔に紹介します。
マヌカハニー

マヌカハニーの原料は、ニュージーランドにしか自生していない6~8mほどのフトモモ科の樹木に限定されます。
南半球になることから日本とは真逆で、12月から1月にかけて約3週間ほどしかない短い期間に小さな白い花をたくさん咲かせます。
マヌカハニーは、濃い色をしていて少し癖のある味です。
良薬、口に苦しではないですが、マヌカハニーの大きな特徴は高い抗菌力(抗炎症力)をもつメチルグオキサート(MGO)という成分が入っていることです。
その免疫効果は一般的なハチミツの30倍以上といわれており、ニュージーランドでは医療機関でも用いられています。
世界各国でも医薬品として扱われ、その効能は幅広く認識されています。
メチルグオキサートとは
メチルグオキサート(MGO)は、抗菌作用をもたらす天然の生成物で、抗菌作用の強さを表す品質保証基準を満たしています。
病原菌などの増殖を抑えるほか、ニキビや口内炎などのトラブルを防ぎ、のどの痛みなどに効果が期待できます。
アカシア(アカシア蜜)

アカシアのハチミツ(アカシア蜜)は、アカシアの花から採集されたハチミツで透明度が高く、癖がない濃い味で後味があっさりしています。
ハチミツは本来、低温になると固まってしまいますが、アカシア蜜はブドウ糖より果糖のほうが多く含まれていることで結晶化を起こしにくく低温でも固まりにくいことが特徴です。
最近ではGI値が28と低めで、低GI食品であることもわかってきています。
低GI食品とは
GIは、炭水化物を含む食品を食べた時の血糖値の上がりやすさを表した指数を表すもので、低GI食品はメタボリックシンドローム予防に有効な食品です。
レンゲ(レンゲ蜜)

レンゲのハチミツ(レンゲ蜜)は、レンゲの花から採れたハチミツで上品なコクとまろやかな口当たりで癖がないため、日本人向けに適しているといわれています。
普段からハチミツをあまり食べない人でも食べやすい種類です。
綺麗な黄金色をしていますが、寒い季節になると白い粒のようなものが生じることがあります。
国産そば(そば蜜)

国産そばのハチミツ(そば蜜)は、ソバの花から採取したハチミツで褐色というよりは黒に近い色で黒砂糖を思わせる濃厚な味わいです。
甘味の中にえぐみを感じる独特な風味がありますが、ミネラルや鉄分が一般的なハチミツより若干多いとされています。
日本ではメディアに取り上げられたことで流行しましたが、海外では以前から注目されており、とくにフランスではそば粉だけではなくそば蜜も高級食材として人気があるそうです。
市販のハチミツ

ではスーパーなどで売られている、市販のハチミツはどうなのでしょうか。
市販のハチミツでも「純粋ハチミツ」や「天然ハチミツ」と表記されているものであれば最低限のハチミツ組成成分はあるとされています。
ハチミツの商品パッケージに「純粋」「天然」と記載がされていれば、ほぼ間違いはないです。
心配であれば、ハチミツや紅茶の専門店で確認することをおすすめします。
純粋ハチミツと天然ハチミツの特徴については、以下の通りです。
純粋ハチミツ

純粋ハチミツは、添加物や化合物などを一切含まず人工的に手を加えていないハチミツのことです。
ミツバチが花の蜜を集め巣に持ち帰った後に自ら加工・熟成し、長期保存ができるようにしたものを人の口に入っても安全なように仕上げられたものを指します。
天然ハチミツ
天然ハチミツは、ミツバチが花の蜜から加工・熟成したハチミツをそのまま採取し、不純物を取り除いたハチミツのことです。
ろ過の工程以外に人の手が加わっていないため、癖のない甘さで後味がすっきりしているハチミツ本来の味や香りと高い栄養を摂取することができます。
メープルシロップとハチミツの違い

スーパーなどで同じコーナーに置かれていることが多いことからメープルシロップも数あるハチミツの1つだと思われがちですが、実は多少の違いがあります。
メープルシロップとハチミツの保存方法
メープルシロップは、カエデの樹液を煮詰めて濃縮させた天然の甘味料です。
天然の甘味料という点ではハチミツも同じですが、まず保存方法が異なります。
メープルシロップを常温保存するとカビが生えてしまう恐れがあるため、開封後は冷蔵庫に入れて保管する必要があります。
一方でハチミツは、冷蔵庫に入れてしまうと結晶化し固まってしまいます。
ハチミツ自体に殺菌効果があり腐りにくいため、夏場でも常温で保存できるのです。
市販品の賞味期限を確認すると2~3年はもつことがわかりますが、ハチミツは「天然の保存食」といわれるほど保存性が高い食品です。
メープルシロップとハチミツの原料
ハチミツの原料はミツバチが採取した花の蜜で多くの種類がありますが、メープルシロップはカエデの樹液が原料であるため種類が少ないことになります。
またハチミツはミツバチの巣の中で熟成し濃縮されたもので、メープルシロップは樹液を集めた後に煮詰めて濃縮したものです。
加工や熟成などの違いが栄養素や保存方法など、さまざまな違いに繋がってきます。
メープルシロップとハチミツの栄養成分
メープルシロップの栄養成分はハチミツと違ってビタミン類が少ないですが、ミネラル類はハチミツより多く含まれています。
ちなみにメープルシロップは、カルシウムやカリウム、鉄、亜鉛、マンガンが主な栄養素です。
ハチミツの効果・効能

ハチミツを摂取することで得られる効果・効能は疲労回復や健康の維持など数多くありますが、主に以下の5つです。
- エネルギー補給や疲労回復に
- カロリー抑制など健康の維持に(代謝・消化促進、食欲抑制効果、血糖値の維持)
- 予防や緩和、免疫力アップ(風邪・乾燥予防、痛みや炎症の緩和、高い殺菌効果、免疫力の向上)
- 美容や美肌にも効果
- 脳の活性化
エネルギー補給や疲労回復に
ハチミツは、昔から栄養満点の健康食品としてエネルギー補給や疲労回復などスポーツ選手などにも愛用されてきました。
ハチミツはブドウ糖と果糖が主成分でビタミン・ミネラルなども豊富に含んでおり、体内にエネルギーとして吸収するスピードも早いため胃腸などへの負担も少ない特徴があります。
体を動かすために最も重要なエネルギー源は糖質のため、ハチミツの摂取は疲労回復などに直結します。
ハチミツの栄養成分で約80%を占めるブドウと糖果糖は、疲労回復に有効とされる単糖類です。
私たち人間は、1日に必要なエネルギーの6割を糖質から摂取します。
白飯やパンなど通常の食事により一般に摂取された糖類は、体内でエネルギーとして使われるためにブドウ糖や果糖やに分解されて体内に吸収されます。
しかしハチミツに含まれる糖類は、ミツバチが花の蜜を体内の酵素で分解しすでにブドウ糖と果糖になっているため消化吸収に手間がかからず、直接体内ですぐにエネルギーになります。
そのため胃や腸に負担がかかりにくく、疲れた時や運動中のエネルギー補給に最適な食品なのです。
カロリー抑制など健康の維持に
ハチミツは、非常に栄養価の高い食品であると同時に一般的な砂糖のように体内で消化・分解する必要がないため、すぐ体内に吸収され筋肉の活性化に即効性があります。
また果糖は甘味が強く、砂糖と同じくらいの甘さがあるのにカロリーが少ないのも大きなメリットです。
砂糖大さじ1杯に対してハチミツは大さじ半分と同じくらいの甘さで低カロリーのため、ダイエットを気にする女性にとっても嬉しい食材でしょう。
ハチミツにはビタミンやミネラル、アミノ酸、酵素、ポリフェノールなど150種類以上の栄養成分がバランスよく含まれています。
またハチミツに混じっている花粉の中には、A・C・B1・B6・ナイシン・パントテン酸・葉酸などのビタミン類、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル類もあります。
代謝促進効果
ハチミツには、糖質代謝を促進するフルクトースや脂肪燃焼を促進するビタミンB群などが含まれており、代謝を促進し脂肪の燃焼を助けます。
消化促進効果
ハチミツには、消化酵素を活性化する効果があるため、食事の後にはちみつを摂取することで消化を促進し脂肪の吸収を抑制することができます。
またグルコン酸やオリゴ糖により、腸内環境を整える作用もあります。
食欲抑制効果
天然の甘味料としての甘味と豊富な栄養素が含まれており、少量のハチミツを摂取することで満腹感を得ることができます。
血糖値の維持
糖質の吸収を緩やかにする作用がハチミツにはあり、血糖値の急激な上昇を防ぎ空腹感を緩和することができます。
他にもグルコン酸やオリゴ糖により腸内環境を整える作用、メタボリックシンドロームを軽減するポリフェノールもあり、これらの栄養素がハチミツの健康パワーを維持できるのです。
予防や緩和、免疫力アップ

ハチミツには、ブドウ糖由来の過酸化水素(別名:オキシドール)という抗菌成分が含まれており高い殺菌効果をもっています。
中でもマヌカハニーは、この過酸化水素に加えてメチルグリオキサールという抗菌成分も含まれおり、一般的なハチミツと違う点がこの高い抗菌力(抗炎症力)です。
風邪・乾燥予防
鼻や喉、気管支などの粘膜が乾燥することで咳が出る場合は、ハチミツ少量でその患部を潤滑させることで咳を鎮める効果があります。
痛みや炎症の緩和
口の中にウイルスが侵入して起こる喉の痛みや咳などの症状が出る場合は、ハチミツの抗炎症作用により炎症を緩和させる効果があります。
筆者も喉が弱く時々炎症を起こすことがあるため、マヌカハニー入りのど飴を常に持ち歩いています。
高い殺菌効果
ハチミツの過酸化水素にはグルコースオキシターゼという酵素が含まれており、水が加わるとさらに過酸化水素が発生し強い殺菌作用を発揮します。
この過酸化水素は消毒液にも含まれる成分であり、ウィルスや細菌の侵入を防ぐことが可能です。
免疫力の向上
ハチミツを日常的に摂ることでウイルスをはじめとした外敵から身体を守ったり、一度かかった病気に繰り返しかかりにくくしたりすることで免疫力(抵抗力)を高めることができます。
またハチミツに含まれる豊富なビタミンCは、免疫細胞を正常に働かせるために欠かせない栄養素です。
美容や美肌にも効果
前述の通りハチミツには抗菌作用があるため、肌のバランスを整えながらニキビや吹き出物などの肌荒れを防ぎます。
またビタミンC・ビタミンB1・ビタミンB2などが含まれており、とくにビタミンCやフラボノイドなどの抗酸化物質は紫外線やストレスなどの外部要因から肌を保護し、免疫力を高めてくれます。
ハチミツには優れた抗炎症作用があり肌の再生を促進させる効果があるため、肌のターンオーバーを促進し新しい肌細胞を生み出すことで肌を明るく健康的に保ちます。
身体を潤す作用にも優れているため、ハチミツは健康だけではなく美容にも効果があるのです。
脳の活性化
ハチミツには、脳がエネルギーとして正常に機能し続けるために必要な栄養素の1つとしてグルコースという糖分が含まれています。
またビタミンB群には脳の機能を改善する効果があり、とくにビタミンB6やビタミンB12は脳の神経細胞の機能を改善するとされています。
さらにフラボノイドが豊富なハチミツには、脳の認知機能を改善する効果が期待されるといわれています。
ハチミツを摂取する際の注意点
そんな多くの効果をもたらすハチミツですが、摂取する際の注意点があります。
- 高温加熱
- 過剰摂取
- 乳児の摂取
- アレルギー体質の人
- 糖尿病などの疾患
高温加熱
ハチミツに含まれる成分のうち、ビタミンや酵素などは長時間の加熱や60度以上の高温に弱いため温度により栄養が損なわれることがあります。
加熱している最中に入れず、45~60℃くらいまでを目安に冷めてから入れるなど工夫をしましょう。
過剰摂取
ハチミツは、一般の砂糖より糖分量が少ないとはいえ過剰な摂取は肥満や糖尿病などの疾患を引き起こす可能性があります。
また虫歯などのリスクもあるため、適度な量で摂取しましょう。
免疫力を高めるためには、ハチミツだけに頼らずバランスのとれた食生活と運動習慣を維持することが重要です。
乳児の摂取
市販品のパッケージにも注意書きがされている通り、ハチミツは1歳未満の乳児には与えないでください。
腸内環境がまだ整っていない1歳未満の乳児は、ハチミツに混入しているボツリヌス菌によって乳児ボツリヌス症という食中毒を発症するリスクがあります。
ボツリヌス菌は加熱しても死滅しないため、ハチミツ入りの飲料や飴・グミといった菓子も1歳になるまでは与えないようにしましょう。
なお1歳を過ぎた子どもには栄養の高い食品のため、ハチミツを摂っても問題ありません。
ただし生のハチミツには花粉が多いため、子どもに限らず初めて摂る場合は稀にアレルギー反応を起こす場合があるため少し舐めてみて様子を見てから摂取しましょう。
アレルギー体質の人
ハチミツは天然成分とはいえアレルギー体質の人は注意が必要なため、医師の指導を受けながら適切な量で摂取するようにしてください。
また肌が敏感な人はアレルギー反応を起こす場合がありますので、初めて使用する際にはパッチテストを行うなど異常がないか確認することが大切です。
糖尿病などの疾患
ハチミツには疲労回復など健康にさまざまな効果があるとされていますが、糖の一種であるため血糖値に影響します。
糖尿病の人は、砂糖と同様にハチミツを使用する場合も注意が必要です。
ハチミツの摂取を控えたほうがよい病気・疾患は、糖尿病だけではなく肝臓疾患のある場合も避けたほうがよいとされています。
糖尿病と同じく絶対に食べてはいけないわけではありませんが、ハチミツの過剰摂取は肝臓に負担をかける可能性が高いです。
また中性脂肪を増やす原因にもなるため、脂肪肝になるリスクも高まります。
ちなみにハチミツは大さじ1杯(22g)あたり72.3kcalあり、摂りすぎてしまうと体重の 増加につながります。
ハチミツの効果的な摂り方・食べ方

ハチミツをより有効的に摂取してもらうポイントや注意点を紹介します。
喉の痛みにはのど飴の代わりに
喉に痛みがある場合、ハチミツは薄めずに原液のまま口に含みしばらく喉の付近に置いておくのがおすすめです。
小さじ1杯ずつ何回かに分けてのど飴のように摂るのもよく、殺菌作用の強い天然ハチミツやマヌカハニーのほうがより効果があります。
咳が辛くて眠れない時

咳が辛くて夜眠れない時は、入眠を促すカモミールティーにハチミツを加えてみてください。
立ち上る湯気を一緒に吸い込むのもおすすめで、筆者もLakshimi(ラクシュミー)の極上はちみつ入りカモミールティーを愛飲しています。
二日酔い予防に
ハチミツの果糖は、アルコールの代謝を高めるため二日酔いになりにくくなるといわれています。
ただしお酒を飲む前に摂取すると飲み過ぎに繋がるため、飲んだ後に翌日の二日酔いが心配な場合に摂るとよいです。
疲れがとれない時
ハチミツに含まれるブドウ糖は、成長ホルモンを分泌して寝ている間に疲れをとって身体を回復させる役割があります。
疲労回復には寝る1時間前に摂るといいですが、食前に食べると消化不良をケアしてくれます。
睡眠の改善
ハチミツにはトリプトファンというアミノ酸が含まれており、これがセロトニンという物質に変わることでリラックス効果が期待できます。
寝る前にハチミツをスプーン1杯分を摂取することで、睡眠の質を改善することができます。
ハチミツと相性の良い食材5選
ハチミツと同時に摂ることで、さらに効果的とされている食材をまとめてみました。
手の込んだ料理ではなく、手軽に混ぜるだけでいい食べ物に限定していますので試してみてください。
ハチミツ×レモン

ハチミツにも少量ながらビタミン類が含まれていますが、さらにビタミンCを補うにはレモンが最適です。
レモンにはクエン酸も豊富に含まれているため、疲労回復にもなります。
作り方は簡単で、蓋付きの容器に薄くスライスしたレモンを入れてハチミツを加えたら冷蔵庫で2日ほど寝かせるだけです。
学生時代にスポーツの部活をされていた人は、休憩やハーフタイムに補給するビタミン食材としてレモンの砂糖漬けに覚えがあるかもしれません。
現役のスポーツ選手も合間のエネルギー補給や疲労回復に取り入れており、砂糖の代わりにハチミツを使うだけです。
クエン酸やピタミンが豊富なレモンと組み合わせて摂取することで相乗効果も期待でき、スポーツ後のハニーレモンは理にかなっているわけです。
ハチミツ×ヨーグルト

甘味があるハチミツと酸味のあるヨーグルトは、甘酸っぱい味わいを楽しむことができます。
ハチミツにはビタミンやミネラル、抗酸化物質を含み、ヨーグルトには乳酸菌が含まれているため腸内環境を整えるとともに免疫力を高めることが期待できます。
また満腹感が得られるだけでなく、脂肪燃焼を促進する効果があるためダイエットにもおすすめです。
筆者も腸内環境があまりよくない時には、無糖のプレーンヨーグルトにハチミツを加えて食べることがあり翌朝の排便が調子よくなります。
ヨーグルトの栄養成分や効能については、下記記事もご参考ください。
ハチミツ×コーヒー

ハチミツには、殺菌作用のほか炎症や腫れなどが起きた喉の粘膜を保護する働きがあります。
コーヒーに含まれるカフェインやキサンチンにも、喉の粘膜の炎症を鎮める抗炎症作用や気管支を拡張させる作用が期待できます。
両方ともに喉によいとされているため、一緒に摂取することで喉の痛みや咳をより抑える効果が見込めるのです。
またコーヒーを飲む時、砂糖の代わりにハチミツを入れることでカロリーが抑えられるだけではなくコクが増してまろやかな甘みを味わうことができます。
筆者は毎朝飲むコーヒーに砂糖ではなく市販の純粋ハチミツを足して飲んでおり、甘すぎないコクのある味が病みつきです。
またカフェでコーヒーを注文する時に、ハチミツをトッピングしてもらっています。
ハチミツ×シナモン

ハチミツは甘味物質、シナモンはスパイシーな成分食材です。
この対称的な味をもつ2つを組み合わせると甘くてスパイシーな風味を楽しめるため、デザートや洋菓子などに用いられることが多いです。
ハチミツにはビタミンやミネラル、抗酸化物質、シナモンには血糖値を下げたり炎症を抑えたりする効果があることが知られています。
ハチミツとシナモンを一緒に摂ることで代謝を活性化させ、脂肪燃焼を促す効果や食欲を抑える効果も期待されているためダイエットにも向いています。
ハチミツ×ショウガ

ショウガにもハチミツと同じく抗酸化作用や抗菌・殺菌作用があるため、一緒に摂ることで効果が倍増します。
ショウガは加熱すると辛味成分のジンゲロールが体を芯から温める作用があるショウガオールという成分に変化するため、風邪気味など冷えを感じた時にもおすすめです。
食べるだけではない、ハチミツの意外な使い方
疲労回復や健康の維持など体内に効果的な栄養成分が含まれているハチミツですが、食べ物や飲み物に加えるだけではない別の使い方もあります。
なお蜜を採取する花の種類によってハチミツの味や香り、効果に差があるように、加熱の有無によっても特徴が異なるためシーンや目的によって使い分けるのがおすすめです。
加熱済みのハチミツについて
加熱済みのハチミツは、味や香りの癖が少なく、毎日続けやすいのが特徴です。
化粧水や洗顔料、シャンプー、コンディショナーに加えたり、フェイスパックに使用したり、何かに混ぜる際は加熱済みのハチミツがおすすめです。
生ハチミツについて
加熱処理されていない生ハチミツは、加熱済みのハチミツと比べて香りが強く、抗菌・殺菌作用のある酵素が多い特徴があります。
顔や全身の保湿ケア

ハチミツには保湿効果があり肌を柔らかくする効果があるため、全身の保湿ケアにも適しています。
お風呂にハチミツを加えたりフェイスマスクやヘアパックに混ぜて使ったりすることで、肌や髪を潤すことができます。
髪の保湿ケア
ハチミツには浸透圧の作用により空気中の水分を引き寄せるモイスチャー効果と、水分が外に出ていかないようにするエモリエント効果があるため、ヘアケアに利用するとしっとり潤いのある髪になります。
シャンプーやコンディショナー、ヘアパックに加えて使用する場合は、1回に加熱済みのハチミツを小さじ1杯程度が目安です。
ぬるま湯でしっかり洗い流せば、ごわつきは気になりません。
スキンケア

化粧水にハチミツを加えて肌につけると、ニキビや吹き出物などの肌トラブルに有効です。
化粧水100mlあたりハチミツ5ml程度が目安で、加え過ぎるとゴワゴワするので注意しましょう。
入浴剤
ハチミツを、入浴剤代わりに使用することで保湿ケアになります。
ハチミツを湯船に入れる場合は、大さじ1~2杯が目安です。
傷口の消毒・治療
ハチミツには抗菌・殺菌効果があるため、傷口の消毒や治療に使うことができます。
ただしあくまで軽い傷の場合に有効なため、深い傷や重症な傷の場合は医師の診察を受けましょう。
口腔ケア・虫歯予防
生ハチミツには細菌の繁殖を抑える作用があるため、歯磨き粉の代わりに使用することも虫歯予防になります。
またハチミツをぬるま湯で溶いて、うがいの際に活用すると風邪予防にも有効です。
ハチミツに関するよくある質問
ハチミツに関する疑問や質問をQ&A形式にまとめましたので参考にしてください。
ハチミツはいつ食べるのが効果的?
ハチミツを摂るのに、1日の中で特に効果的な時間などはありません。
一般的には朝食の時が多いですが、コーヒーやヨーグルトなどに砂糖の代わりとして入れる手軽さからきているでしょう。
最近では、寝る前にハチミツを摂る方も増えていますが、過剰摂取は肥満の原因になるため、適量を守るようにしてください。
ハチミツは虫歯になる?
ハチミツの甘み成分は、主にブドウ糖と果糖であり、虫歯菌が餌にできないため、そのまま食べても虫歯になりません。
食べたものがハチミツだけである場合、歯を磨かなくても虫歯にはならないです。
ハチミツに殺菌作用があるのはなぜ?
ハチミツには、ブドウ糖由来の過酸化水素(別名オキシドール)が含まれており、高い殺菌力をもちます。
グルコースオキシターゼという酵素が含まれていて、水が加わるとさらに過酸化水素が発生するため、強い殺菌作用を発揮します。
ちなみに、この過酸化水素は消毒液に含まれる成分です。
寝る前にハチミツを摂取するとよい理由は?
ハチミツは、主成分であるブドウ糖と果糖がバランスよく入っていることにより、血糖値を緩やかに上げて、長時間血糖値を安定させる働きがあります。
血糖値の安定を作ってくれるハチミツを、寝る前にスプーン1杯分を摂ることで睡眠の質が向上すると考えられています。
ハチミツが固まったり濁ったりするのはなぜ?
ハチミツの多くを占めるブドウ糖は、5~14℃程度の温度で結晶化する性質があるため、寒い日や冷蔵庫に保存していると固まりやすくなります。
とくに生ハチミツは酵素が生きた状態のため、発酵による炭酸ガスの濁りや泡立ちが見られます。
ハチミツが白く固まっても食べられる?
ハチミツが白く固まっていても食べることができます。
ハチミツは天然の結晶を含んでいるため、一定の温度になると結晶化して固まることがあります。
固まったハチミツは品質や風味に影響はなく食べることができるため、湯煎で加熱することで液体状態に戻すことができます。
ただし加熱しすぎるとハチミツの栄養素が失われることがあるため、注意が必要です。
ハチミツの生産地はどこが安全?
世界各国に広がるハチミツの産地ですが、とくにEUは基準が厳しいとされています。
その中でもドイツは「はちみつ純正法」という規格があり、加熱の基準や酵素含有量など厳しい審査が行われています。
その「はちみつ純正法」の規約に則っているのがルーマニア産で、ドイツの厳しい審査をクリアしているため安全といえます。
筆者も市販のハチミツには、ルーマニア産の純粋ハチミツを利用しています。

症状緩和だけでないハチミツの効果まとめ

パーフェクトフードと呼ばれるほど栄養成分が豊富で、古くから咳止めや風邪予防などに利用されてきたハチミツ。
ハチミツには良質なビタミン類やミネラル類をはじめ、アミノ酸や酵素などさまざまな栄養成分がバランスよく含まれそれぞれに作用・効能があります。
その数は150種類以上に及ぶことから、ハチミツは天然の栄養成分の宝庫といわれています。
近年では咳・喉の痛みなどの抗菌作用や症状緩和だけではなく、腸内環境を整えたり保湿や口腔のケアにも使えたりするなど健康に嬉しい効果が多くあることがわかってきています。
そんなハチミツの栄養成分と効果・効能、あらゆる活用法で、普段のセルフケアに上手に取り入れていきたいものですね。
以下の記事では、ハチミツと同じブドウ糖で栄養が豊富でありながらも低カロリーなバナナについて紹介しています。
皮をむくだけで手軽に食べられるバナナの栄養成分とそれぞれの作用、摂取することで得られるメリットやデメリット、効果的な食べ方を解説していますので併せてお読みください。