
季節の変化に伴って咲く代表的な花々を月ごとに12ヶ月分を配列した花暦。
昔の人々にとって自然界で咲く花は、季節を予知する上で指標ともいえる役割をもっていました。
現代に生きる私たちも街中で桜が咲けば春本番、旅先で彼岸花を見かけると秋の到来を感じることもあるでしょう。
今回は花暦の意味や起源から、旧暦や現代の新暦における1月から12月までの花暦を解説します。
最後のほうには花カレンダーを旧暦・新暦別に写真付きで紹介しますので、それぞれの月を代表する花の移り変わりを知るご参考になれば幸いです。
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花暦とは

花暦(はなごよみ)は、季節の花を月ごとに配列した暦です。
月ごとに咲く代表的な花、それぞれの月を代表する花という前提があります。
江戸時代に中国から伝わってきたもので、日本の季節や風土に合わせた花暦をつくり和風月名とともに季語としても使われています。
和風月名については、下記記事をご参考ください。
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1月から12月までの呼び方、和風月名とは?12ヶ月ある名前の意味や漢字・別名も解説
2025/12/17
花暦ができた起源・由来
花暦が始まったのはどんな経緯なのか、日本で花暦ができた由来を紹介します。
花暦の始まりは中国

花暦は、中国で月ごとにその時に咲く花を挙げた習慣が始まりです。
中国では古くから花・植物の生長や開花時期を、農作業を進める目安として使われていました。
12ヶ月にそれぞれ特定の花をあてた花暦は、清の時代に広まっていきます。
中国における花暦一覧


中国で使われていた花暦は、以下の通りです。
| 旧暦 | 中国の花暦 |
|---|---|
| 1月:睦月 | 梅(ウメ) |
| 2月:如月 | 桃(モモ) |
| 3月:弥生 | 牡丹(ボタン) |
| 4月:卯月 | 桜(サクラ) |
| 5月:皐月 | 木蓮(モクレン) |
| 6月:水無月 | 石榴(ザクロ) |
| 7月:文月 | 睡蓮(スイレン) |
| 8月:葉月 | 梨(ナシ) |
| 9月:長月 | 葵(アオイ) |
| 10月:神無月 | 菊(キク) |
| 11月:霜月 | 山梔子(クチナシ) |
| 12月:師走 | 芥子(ケシ) |
日本への伝来は江戸時代

中国の清時代に広まった花暦は、江戸時代に日本へ伝わり日本の風土や季節に合わせた花暦が作られました。
その後、俳句の歳時記や季語に取り入れられ、装飾芸術や花札遊びなど人々の暮らしに浸透していきます。
しかし明治時代の改暦により、旧暦と新暦の2つの暦ができます。
花暦ができた江戸時代の旧暦(太陰太陽暦)と現在の新暦(太陽暦)では、季節に約1ヶ月のずれがあるため同じ月の花でも違いがあります。
そのため新暦になると、現在の暦や季節に合わせた花暦を改めてつくり直したのです。
明治時代まで用いられた旧暦(太陰太陽暦)と、現在の新暦(太陽暦)については、下記記事をご参考ください。
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暦の定義とは?太陰暦や太陰太陽暦、太陽暦の仕組みや違い、うるう年の役目
2025/12/13
日本における花暦一覧
花暦は、季節別に咲く代表的な花を12ヶ月あるそれぞれの月に配置した暦です。
前述の通り日本には2つの暦があり、約1ヶ月のずれによって月ごとに代表的な花も異なります。
ここでは、日本の旧暦における花暦と現代の季節に応じた花暦を紹介します。
旧暦における日本の花暦

江戸時代から明治時代の改暦までの旧暦における日本の花暦は、以下の通りです。
旧暦での花暦に登場する花・植物は花札のモチーフとしても使われているため、ご存知の人も多いでしょう。
| 旧暦 | 日本の花暦 |
|---|---|
| 1月:睦月 | 松(マツ) |
| 2月:如月 | 梅(ウメ) |
| 3月:弥生 | 桜(サクラ) |
| 4月:卯月 | 藤(フジ) |
| 5月:皐月 | 菖蒲(アヤメ) |
| 6月:水無月 | 牡丹(ボタン) |
| 7月:文月 | 萩(ハギ) |
| 8月:葉月 | 薄(ススキ) |
| 9月:長月 | 菊(キク) |
| 10月:神無月 | 紅葉(モミジ) |
| 11月:霜月 | 柳(ヤナギ) |
| 12月:師走 | 桐(キリ) |
新暦(現代)における日本の花暦

明治時代の改暦以降に設けられた新暦における日本の花暦は、以下の通りです。
温暖化など季節や気候に応じて概念も時代とともに変化していき、地域によっても違いがあるためあくまでも参考としてください。
| 新暦 | 日本の花暦(花木・草本) |
|---|---|
| 1月:睦月 | 梅(ウメ)・福寿草(フクジュソウ) |
| 2月:如月 | 椿(ツバキ)・水仙(スイセン) |
| 3月:弥生 | 桃(モモ)・菜の花(ナノハナ) |
| 4月:卯月 | 桜(サクラ)・チューリップ |
| 5月:皐月 | 藤(フジ)・カーネーション |
| 6月:水無月 | 紫陽花(アジサイ)・花菖蒲(ハナショウブ) |
| 7月:文月 | 山梔子(クチナシ)・百合(ユリ) |
| 8月:葉月 | 百日紅(サルスベリ)・朝顔(アサガオ) |
| 9月:長月 | 萩(ハギ)・彼岸花(ヒガンバナ) |
| 10月:神無月 | 木犀(モクセイ)・秋桜(コスモス) |
| 11月:霜月 | 山茶花(サザンカ)・菊(キク) |
| 12月:師走 | 枇杷(ビワ)・石蕗(ツワブキ) |
日本の花暦カレンダー(早見表)
前述で紹介した旧暦・新暦における日本の花暦を、写真付きでカレンダー形式にしましたので参考にしてください。
| 月 | 和風月名 | 旧暦の花暦 | 新暦の花暦 <花木> | 新暦の花暦 <草本> |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 睦月 | ![]() 松(マツ) | ![]() 梅(ウメ) | ![]() 福寿草(フクジュソウ) |
| 2月 | 如月 | ![]() 梅(ウメ) | ![]() 椿(ツバキ) | ![]() 水仙(スイセン) |
| 3月 | 弥生 | ![]() 桜(サクラ) | ![]() 桃(モモ) | ![]() 菜の花(ナノハナ) |
| 4月 | 卯月 | ![]() 藤(フジ) | ![]() 桜(サクラ) | ![]() チューリップ |
| 5月 | 皐月 | ![]() 菖蒲(アヤメ) | ![]() 藤(フジ) | ![]() カーネーション |
| 6月 | 水無月 | ![]() 牡丹(ボタン) | ![]() 紫陽花(アジサイ) | ![]() 花菖蒲(ハナショウブ) |
| 7月 | 文月 | ![]() 萩(ハギ) | ![]() 山梔子(クチナシ) | ![]() 百合(ユリ) |
| 8月 | 葉月 | ![]() 薄(ススキ) | ![]() 百日紅(サルスベリ) | ![]() 朝顔(アサガオ) |
| 9月 | 長月 | ![]() 菊(キク) | ![]() 萩(ハギ) | ![]() 彼岸花(ヒガンバナ) |
| 10月 | 神無月 | ![]() 紅葉(モミジ) | ![]() 木犀(モクセイ) | ![]() 秋桜(コスモス) |
| 11月 | 霜月 | ![]() 柳(ヤナギ) | ![]() 山茶花(サザンカ) | ![]() 菊(キク) |
| 12月 | 師走 | ![]() 桐(キリ) | ![]() 枇杷(ビワ) | ![]() 石蕗(ツワブキ) |
草本とは
草本(そうほん)というのは地上茎の生存が1年以上続かない植物のことを指し、一年草・二年草・多年草があります。
季節の移り変わりを感じる花暦まとめ

季節の移り変わりをその時の代表的な花によって表すカレンダーの一種である花暦。
日常ではあまり馴染みがない暦ですが、365日ある誕生花と同じような意味合いで考えるとなんとなく納得できる気がしませんか。
また12ヶ月ある月ごとに特定の花を配する花暦は、日本の各月における季節や風土に合わせた点でいうと和風月名も同じです。
季節の指標として花暦ができてから装飾美術や生花、遊び道具、俳諧の季語・季題にも広く取り入れられ、私たち日本人の季節感をつくる素材となりました。
現代でも学校や職場などで特別な行事のアイデアに使ったり企画のモチーフに取り入れたりしながら、季節や暦を楽しんでみてはいかがでしょうか。
以下の記事では、花暦と同じように旧暦で1月から12月までの12ヶ月を表していた和風月名について紹介しています。
一般に使われる1月・2月・3月…とは別に、古くから用いられた睦月・如月・弥生…という12ヶ月それぞれにつけられた月名の由来や意味についても解説していますので併せてお読みください。
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1月から12月までの呼び方、和風月名とは?12ヶ月ある名前の意味や漢字・別名も解説
2025/12/17
春夏秋冬の四季別に咲く花・植物の観光スポットを下記記事で紹介しています。
季節ごとの主役というほどではないけれど、なぜか目を惹く珍しい花の生態や特徴も解説していますのでご参考ください。
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クリスマスローズやウメ、蝋梅など…彩りの少ない冬の花・植物の観光スポット
2025/4/2



























