
ここ最近で再び注目を集めているヤクルト飲料。
とくに標準的なヤクルト400の発売以来、20年ぶりのフラッグシップ製品として登場したヤクルト1000は人気沸騰中で売り切れが続出しているそう。
しかし、そもそもヤクルト飲料の何がそんなにすごいのか。
同じヤクルトでも、種類によってどんな違いや効果があるのか。
今回は、近年で再び注目を集めているヤクルト飲料について紹介します。
ヤクルトの誕生から定番商品のヤクルト400、人気沸騰中のヤクルト1000など種類による特徴の違い・効果まで解説しますので、毎日の健康的な身体を作るためのご参考になれば幸いです。
乳酸菌飲料・ヤクルトとは

ヤクルトは、株式会社ヤクルトが製造・販売する乳酸菌飲料です。
ヤクルトが生まれた起源
京都帝国大学医学部で微生物を研究していた医学博士・代田稔氏が、1930年(昭和5年)に乳酸菌の一種である「ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)」の強化・培養に成功しました。
それがきっかけで1935年(昭和10年)に飲料として製造・販売をスタートしたのが、乳酸菌飲料・ヤクルトの始まりです。
生きたまま腸内に届くをキャッチコピーに、腸内で有用な働きをする「乳酸菌 シロタ株」を毎日飲むことで人々の健康づくりに役立ててもらうことを願って発売されました。
ヤクルトという名前の由来
ヤクルト(Yakult)という商品名は、国際共通語であるエスペラント語でヨーグルトを意味する「ヤフルト(Jahurto)」から生まれ、言いやすい形にした造語です。
公式サイトによると、「いつの日か、世界の人々へ広がっていってほしい」という願いが込められています。
健康に寄与したいという想いが広がった現在では、日本を含む世界40カ国と地域で親しまれています。
ヤクルトの変遷

戦後、ヤクルトを販売する会社組織は全国に拡大し、1955(昭和30年)にこれらの組織を統括する機関としてヤクルト本社が設立されました。
日本国内でヤクルトの販売量が最多を記録したのは1972年(昭和47年)で、1日平均で1,600万本を売り上げました。
これは当時でいうと、約7人に1人が毎日ヤクルトを飲んでいた計算です。
その後には1981年に100億個の乳酸菌シロタ株を含む「ヤクルト80」、1991年に300億個の「ヤクルト80Ace」を発売しました。
1999年(平成11年)には乳酸菌シロタ株400億個の「ヤクルト400」が誕生し、現在でも発売されています。
そして、2006年(平成18年)時点ではオリジナルのヤクルトだけで1日約300万本、ファミリー商品を含めると約900万本が販売されました。
参考として2021年(令和3年)の乳製品における売上本数は世界で4,143万本/日、日本国内で978万本/日とのことです。
乳酸菌シロタ株とは
乳酸菌シロタ株は正式名称を「ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ・シロタ株(旧名称:ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株)」とし、ヤクルト社が独自で開発・培養している乳酸菌です。
当初は「ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株」と呼ばれていましたが、現在では「ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ・シロタ株」を正式名称としています。
普通の乳酸菌は、口から摂取した場合にほとんどは胃酸や胆汁に負けてしまいます。
そこへ乳酸菌シロタ株は耐酸性であることから、胃液や胆汁中でもほとんど死滅することなく最終的に排便まで生き続けられるのが大きな特徴です。
そのため、口から摂取しても生きたまま腸に到達します。
主に小腸で働き、私たちの腸内にもともと存在している有用菌のビフィズス菌を増やし、有害菌の大腸菌群を減少させるのです。
ヤクルトの主な種類と違い
現在、一般的に販売されているヤクルト飲料にはたくさんの種類があります。
そんな中でも、代表的な商品が以下の5種類です。
では、この5種類あるヤクルト飲料にはどんな特徴がありどのような違いがあるのでしょうか。
次項からは、それぞれの特徴や栄養成分などの違いを紹介していきます。
ヤクルト400
ヤクルト400は、1本(80ml)に乳酸菌シロタ株が400億個含まれている乳酸菌飲料です。
1999年に発売を開始し、多数あるヤクルト商品の中でも定番商品として流通されています。
現在は宅配専用商品となっているため、スーパーやコンビニなどで購入できるのは後述する「Newヤクルト」になります。
原材料
ぶどう糖果糖液糖(国内製造)、砂糖、脱脂粉乳、香料
機能性成分
乳酸菌シロタ株(L.カゼイ YIT 9029) | 400億個 |
栄養成分
熱量(エネルギー) | 62kcal |
タンパク質 | 1.0g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 14.4g |
食塩相当量 | 0~0.1g |
備考
宅配専用商品
Newヤクルト

Newヤクルトは、1本(65ml)に乳酸菌シロタ株が200億個を含んだ乳酸菌飲料です。
ヤクルト400に比べると乳酸菌シロタ株の量は半分になりますが、その分カロリーが抑えめでスーパーやコンビニなどで手軽に購入できます。
原材料
ぶどう糖果糖液糖(国内製造)、砂糖、脱脂粉乳、香料
機能性成分
乳酸菌シロタ株(L.カゼイ YIT 9029) | 200億個 |
栄養成分
熱量(エネルギー) | 50kcal |
タンパク質 | 0.8g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 11.5g |
食塩相当量 | 0~0.1g |
備考
店頭販売商品
ヤクルトファイブ

ヤクルトファイブは、1本(80ml)に乳酸菌シロタ株が300億個を含んでいる乳酸菌飲料です。
他のヤクルト商品と違うのはカルシウム・ビタミンC・ビタミンD・ビタミンE・食物繊維といった5種類の栄養成分が別途含まれています。
2019年に発売開始し、スーパーなどで購入可能です。
現在は「ヤクルトマルチビタミン」に商品名とパッケージデザインがリニューアルされ、2025年4月より発売されています。
原材料
砂糖(国内製造)、脱脂粉乳、ポリデキストロース、ぶどう糖果糖液糖、果糖/安定剤(大豆多糖類)、乳酸カルシウム、香料、ビタミンC、甘味料(ステビア)、ビタミンE、ビタミンD
機能性成分
乳酸菌シロタ株(L.カゼイ YIT 9029) | 300億個 |
栄養成分
熱量(エネルギー) | 38kcal |
タンパク質 | 1.0g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 9.6g |
食塩相当量 | 0~0.1g |
その他の栄養成分
糖質 | 8.1g |
カルシウム | 50mg |
ビタミンC | 30mg |
ビタミンD | 1.7μg |
ビタミンE | 1.9mg |
食物繊維 | 1.5g |
備考
店頭販売商品
ヤクルト1000

ヤクルト1000は、1本(100ml)に乳酸菌シロタ株が1,000億個入った乳酸菌飲料でヤクルト商品でも1ml当たり10億個という史上最高密度の商品です。
機能性表示食品で、一時的な精神的ストレスがかかる状況でのストレス緩和・睡眠の質向上の2つの機能があります。
2019年(平成31年/令和元年)に首都圏を中心に先行発売し、初の機能性表示食品として認定された後に全国販売を開始しました。
現在は宅配専用商品となっていますが、同じヤクルト1000で少し大きめのボトルサイズの店頭販売商品があり商品名は後述する「ヤクルトY1000」です。
原材料
砂糖(国内製造)、脱脂粉乳、ぶどう糖果糖液糖、高果糖液糖/安定剤(大豆多糖類)、香料
機能性成分
乳酸菌シロタ株(L.カゼイ YIT 9029) | 1,000億個 |
栄養成分
熱量(エネルギー) | 63kcal |
タンパク質 | 1.5g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 14.1g |
食塩相当量 | 0~0.1g |
備考
宅配専用商品
ヤクルトY1000

ヤクルトY1000は、1本(110ml)に乳酸菌シロタ株が1,100億個を含んでいる乳酸菌飲料です。
機能性表示食品に該当しており、乳酸菌シロタ株には一時的な精神的ストレスがかかる状況でのストレス緩和や睡眠の質向上の機能があることが報告されています。
前述で紹介したヤクルト1000の店頭販売商品として2021年(令和3年)に全国販売を開始しましたが、乳酸菌シロタ株がヤクルト1000より100億個多いのが大きな特徴です。
原材料
砂糖(国内製造)、脱脂粉乳、ぶどう糖果糖液糖、高果糖液糖/安定剤(大豆多糖類)、香料
機能性成分
乳酸菌シロタ株(L.カゼイ YIT 9029) | 1,100億個 |
栄養成分
熱量(エネルギー) | 70kcal |
タンパク質 | 1.7g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 15.6g |
食塩相当量 | 0~0.1g |
備考
店頭販売商品
代表的なヤクルト5商品の比較表
項目 | ヤクルト400 | Newヤクルト | ヤクルトファイブ | ヤクルト1000 | ヤクルトY1000 |
---|---|---|---|---|---|
乳酸菌シロタ株 | 400億個 | 200億個 | 300億個 | 1,000億個 | 1,100億個 |
熱量(エネルギー) | 62kcal | 50kcal | 38kcal | 63kcal | 70kcal |
内容量(1本) | 80ml | 65ml | 80ml | 100ml | 110ml |
発売年 | 1999年 | 2013年 | 2019年 | 2019年 | 2021年 |
販売形態 | 宅配専用商品 | 店頭販売商品 | 店頭販売商品 | 宅配専用商品 | 店頭販売商品 |
ヤクルトファイブはリニューアルによりヤクルトマルチビタミンへ名称変更され、従来通りカルシウム・ビタミンC・ビタミンD・ビタミンE・食物繊維も含みます。
他にもあるヤクルト飲料
発売スタート当初は現在のヤクルト400でいう基本商品1種類のみを販売していましたが、菌の強化や培養などさまざまな研究・開発によって種類が増えていきました。
ヤクルト400に比べてカロリーを30%カットした「ヤクルト400LT」や、ガラクトオリゴ糖を含む「ヤクルト400W」なども発売されています。
またNewヤクルトやヤクルト1000、ヤクルトY1000には糖質を抑えたタイプまで登場し、2025年時点では計10種類のヤクルト飲料商品が揃っています。
宅配専用商品は一般のスーパーやコンビニなどでは販売されていませんが、ヤクルトの宅配センターや自動販売機では購入可能です。
宅配専用商品が購入できなくても、店頭販売商品には栄養成分のバランスがとれた種類で並んでいますのでとくにヤクルト400やヤクルト1000にこだわる必要はないと考えます。
容器は全商品ともにアルミキャップ付きのポリスチレン容器で、お住まいの自治体によって資源ゴミ・可燃ゴミと異なりますのであらかじめ確認してください。
ヤクルトの摂取効果

機能性表示食品である乳酸菌飲料のヤクルトを飲むことで、どんな変化や効果があるのでしょうか。
ヤクルトを飲むことによる効果は、大きく分けて3つです。
- 乳酸菌が生きて腸に達する
- 腸内の良い菌を増やして悪い菌を減らす
- 腸内環境を整える
人間の口から乳酸菌を摂取した時は、通常であれば胃液や胆汁に負けてしまいます。
ところがヤクルトの乳酸菌はシロタ株といって強化・培養されているため、生きたまま腸に到達することができます。
そして腸を刺激して蠕動運動を高め、便中の水分を調節し便秘や下痢に対して効果をもたらします。
またヤクルトを飲むと、体内のビフィズス菌が2.5倍以上に増えるといわれています。
蠕動運動とは
蠕動運動(ぜんどう運動)は、腸管の口側が狭く収縮し肛門側が広く弛緩して内容物を先へ押し出していく運動のことです。
主に腸の内容物を移動させる働きを指し、消化管の左右にうごめくような運動が起こることからうごめき運動ともいいます。
ヤクルトを飲んでみた筆者の体験レビュー

筆者は実家に住んでいた当時、ヤクルトを飲んでいたことがあります。
幼稚園児だった頃のことなので記憶が定かではありませんが、定期購入で毎朝、家の前に牛乳と一緒に数本か置かれていました。
その後はあまり意識しなくなったのですが、最近になってヤクルトの効果を耳にして飲んでみたのが今回記事にした経緯です。
ここではスーパーなどで市販されている3種類の代表的なヤクルト飲料を飲んだ筆者の商品レビューを紹介していきます。
はじめにNewヤクルトを飲んでみた

まずいつも利用するスーパーで、定番商品となっているNewヤクルトの10本パックを購入し10日間飲んでみました。
これまではヨーグルトを毎日飲んでいたのですが、ヤクルトを飲んだ翌朝の気分がいつもと違って軽かったのを鮮明に覚えています。
1週間経った頃には排便も1日おきでありながらも、決まった時間帯にいつもより量が多く出るようになりました。
ただその後は身体が慣れてしまったのか、Newヤクルトだけでは便秘が再発してしまいました。
乳酸菌シロタ株がNewヤクルトの倍もあるヤクルト400は宅配専用商品ということもあり、腸の調子がよくない日はNewヤクルトに加えてヨーグルトと一緒に飲んでいます。
次にヤクルトY1000を飲んでみた

ヤクルト1000の店頭販売商品であるヤクルトY1000は、普段利用しているスーパーでは常に売り切れていてなかなか購入できません。
そんな時にちょうどお盆過ぎで数年ぶりに地元へ帰省した時に、ヤクルトY1000を見つけました。
コンビニへ立ち寄ったところいつも飲んでいるヨーグルトが売っていなく、代わりにヤクルトY1000が3本並んでいたのです。
これは飲んでみるチャンスだと思い、3本全部を購入しました。
そして風呂上がりにヤクルトY1000を飲んで寝た翌日、確かに睡眠の質がいつもと違いました。
いつも寝つくまでに時間がかかるために夜更かしをしてしまいがちな筆者ですが、飲んだ日の夜は夜更かしをすることもなくそのまま眠ってしまったほどです。
翌朝は身体も軽く目覚めもよかった一方で、便の方はいつもと変わりませんでした。
最近では別のスーパーで6本パックを見かけるようになったため購入してみましたが、心身ともに疲れている時にこのヤクルトY1000を飲むとうたた寝をしてしまうほどすぐに眠くなります。
翌朝は、よく眠ったというすっきりさがあります。
またお盆の帰省時に3本飲んだ時よりも、6本パックで約1週間にわたって飲んだことで排便量が多かったです。
つまり継続して飲むことに意義があるのだと、今は感じています。
ヤクルトファイブも飲んでみた

ヤクルトY1000がなかなか手に入らない中、Newヤクルトの傍に陳列されていたヤクルトファイブも3本パックを購入し飲んでみました。
ヤクルトファイブはいつもと変わらない睡眠の質でしたが、翌朝の排便がいつもと違って快調でした。
Newヤクルトを飲んだ翌朝とも違い、排便量も多かったのです。
栄養成分表を見てみたところ、ヤクルトファイブには5種類の栄養成分を含んでいることが特徴でその中に食物繊維が記載されていました。
3種類のヤクルトを飲んでみて

Newヤクルトは、定番とされるヤクルト400より乳酸菌シロタ株が半分の200億個のためにあまり比較にはなりませんが、定期的に飲むことで体調を維持できるという実感があります。
毎日飲んだ時と飲まない時との違いは歴然で、身体が軽く胃の不快感も解消されたことから健康的な身体づくりには適しているといえます。
ヤクルトY1000は1,100億個もののシロタ株を含んでいますが、どちらかというと睡眠の質を高めてくれる印象です。
筆者はストレスを溜める性格ではないため緩和されたのかは実証できませんが、翌朝に感じる低血圧気味の体調は落ち着いていて身体全体が軽くなっていることを実感できました。
個人差はあるでしょうが、飲んだ後は寝つきがよく翌朝の目覚めも自然にすっきりしたものの整腸効果としてはNewヤクルトとあまり変わらない感じです。
ヤクルトファイブは食物繊維やビタミン類を含んでいることもあり、翌日の排便がすっきりして整腸効果は大いに実感できたという結果です。
ヤクルト400よりは少ないもののNewヤクルトより多い300億個のシロタ株に食物繊維が加わっているため、スーパーなどで手軽に購入できる意味でもヤクルトファイブは便秘に悩む人におすすめの飲料といえます。
Newヤクルト | 乳酸菌シロタ株・200億個 |
ヤクルトファイブ | 乳酸菌シロタ株・300億個+カルシウム、ビタミンC・D・E、食物繊維 |
ヤクルトY1000 | 乳酸菌シロタ株・1,100億個 |
よって、筆者の体験談をもとにいえることは以下の通りです。
・毎日の健康・身体づくりには、Newヤクルト(シロタ株200億個)
・睡眠の質を高めたい場合には、ヤクルトY1000(シロタ株1,100億個)
・便秘解消につなげたい場合は、ヤクルトファイブ(シロタ株300億個+食物繊維など)
なおヤクルトに含まれる乳酸菌シロタ株や他の栄養成分は、個々の体質との相性によって効果はさまざまです。
まずは、1~2週間ほど継続して飲んでみることをおすすめします。
ヤクルトの健康効果まとめ

近年で再び人気を呼んでいる乳酸菌飲料、ヤクルト。
中でもシロタ株を1,000億個も含むヤクルト1000や1,100億個のヤクルトY1000は、現代社会で生きる多くの人々が抱えるストレスや睡眠に関する悩み解消の効果があることで注目を集めています。
なんとなく身体が重い、胃腸の調子が悪い、布団に入っても寝つけないなどという人には、健康的な身体をつくる習慣としてもまずはNewヤクルトから飲んでみてはいかがでしょうか。
以下の記事では、同じ乳酸菌飲料ではあるものの乳酸菌の種類としてまったく異なるヨーグルトについて紹介しています。
ヨーグルトの基本概要から種類や特徴、栄養成分の役割、効果的な食べ方を解説していますので併せてお読みください。