
日常生活を送る上で水分・栄養補給に欠かせないスポーツドリンク。
数あるスポーツドリンクの中でもポカリスエットとアクエリアスは代表格でもあり、比較されることも多いでしょう。
どちらも水分や電解質などの補給に役立つスポーツドリンクですが、成分や栄養価は異なります。
今回はスポーツドリンクの代表格であるポカリスエットとアクエリアスの特徴や栄養成分など違いを比較し、それぞれに適した飲み方を筆者の体験談を交えながら紹介します。
この記事を読むことでスポーツドリンクの最適な摂取方法を知って、あなたの身体や生活により良い毎日を迎えるためのご参考になれば幸いです。
スポーツドリンクとは

スポーツドリンクは、日常生活や運動などでの発汗によって失われた水分やミネラルを効率よく補給できる清涼飲料水です。
砂糖や果糖などエネルギー源となる糖類にナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれています。
人間が1日に必要とする水分は2.5リットルですが、人間が排出する水分は尿で約1.5リットル、汗などで皮膚から失われる不感蒸泄で約0.9リットル、便は約0.1リットルです。
その失われた水分の中にミネラル類を含み、最も量が多いのはナトリウムのため水分と一緒に塩分も補給することが必要です。
その時に水だけを飲むと体液の塩分濃度が下がってしまい、身体が摂取した水を吸収できずにそのまま尿として排出してしまうため水分補給ができません。
スポーツドリンクは、運動で溜まる乳酸の分解や回復に効果的なクエン酸や糖分を多量に含んでいるため水分と塩分を補給できるだけでなく疲労回復にも効果的です。
スポーツドリンクについての具体的な特徴や摂取することのメリット・デメリットについては、下記記事をご参考ください。
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スポーツドリンクの特徴や効果とは?摂取することのメリット・デメリット、注意点
2025/9/12
次項からは、スポーツドリンクの代表格とされるポカリスエットとアクエリアスについて紹介していきます。
ポカリスエットの基本特徴・性質

ポカリスエット(POCARI SWEAT)は、1980年に245mlの缶から発売を開始した大塚製薬のスポーツドリンク製品です。
現在では、アジア諸国を中心に世界20カ国と地域でも販売されています。
ポカリスエットの名前の由来
ポカリスエットの名前は、汗の飲料という開発コンセプトから「スエット」を用いて爽やかな青空を彷彿させる音の響きと語呂の良さから考えられた「ポカリ」と組み合わせて決定された造語です。
略称して、「ポカリ」とも呼ばれています。
鮮やかなブルーと白い波の形を表現したパッケージデザインは、当時からほとんど変更されていないそうです。
ポカリスエットの栄養成分
ポカリスエット100mlあたりに含まれる栄養成分は、以下の通りです。
エネルギー | 25kcal |
タンパク質 | 0g |
脂質 | 0g |
炭水化物 | 6.2g |
食塩相当量 | 0.12g |
カリウム | 20mg |
カルシウム | 2mg |
マグネシウム | 0.6mg |
ポカリスエットの原材料
砂糖(国内製造)
果糖ぶどう糖液糖
果汁
食塩/酸味料
香料
塩化K
乳酸Ca
調味料(アミノ酸)
塩化Mg
酸化防止剤(ビタミンC)
ポカリスエットの電解質濃度
陽イオン(mEq/L) | Na+:21、K+:5、Ca2+:1、Mg2+:0.5 |
陰イオン(mEq/L) | Cl-:16.5、citrate3-:10、lactate-:1 |
ポカリスエットの賞味期限
製造日より約12~13ヶ月
ポカリスエットの特徴・味
ポカリスエットは体液に近い成分とイオンバランスでできているため、水に比べて身体の外に排出されにくく長時間にわたって身体を潤し続けることができます。
スポーツや仕事のほかお風呂上がりや寝起きなどの発汗などにより失われた水分と、ナトリウムやカリウムなどの電解質(イオン)を適切な濃度でスムーズに補給し身体に負担をかけることなくすばやく水分を吸収します。
糖質が多いため、甘みは強く少ししょっぱさを混ぜたような濃い味です。
イオンウォーターについて
ポカリスエットには、「イオンウォーター」というカロリーを抑えた商品があります。
通常のポカリスエットは発汗時の汗の成分と同じ電解質組成の飲料で、脱水時に水分と電解質を補給するために作られたドリンクです。
一方でイオンウォーターは、汗をかいていない日常でも水分と電解質をバランスよく補給できるように配慮し甘さ控えめでスッキリとした後味のドリンクです。
エネルギー | 11kcal |
タンパク質 | 0g |
脂質 | 0g |
炭水化物 | 2.7g |
アクエリアスの基本特徴・性質

アクエリアス(Aquarius)は、1983年に日本で発売を開始したコカ・コーラ社のスポーツドリンク製品です。
現在では、アジアから中東、南米など世界26カ国で販売されています。
アクエリアスの名前の由来
アクエリアスの名前は、英語で星座のみずがめ座から由来し、また「Aqua」にはラテン語で水・液体の意味があり水分や電解質などを身体に供給するアイソトニック飲料のイメージに合う語感をもっています。
略称して、「アクエリ」と呼ばれています。
ブルー系統のパッケージデザインは、製品価値である水分・栄養補給をウォータードロップを表現し2017年にリニューアルされました。
アイソトニックとは
アイソトニックは「等張」という意味で、人間の体液とほぼ同じ浸透圧をもつ電解質のことをいい、アイソトニック飲料は体液とほぼ同じ浸透圧の飲料を指します。
アクエリアスの栄養成分
アクエリアス100mlあたりに含まれる栄養成分は、以下の通りです。
エネルギー | 19kcal |
たんぱく質 | 0g |
脂質 | 0g |
炭水化物 | 4.7g |
食塩相当量 | 0.1g |
マグネシウム | 1.2mg |
カリウム | 8mg |
イソロイシン | 1mg |
バリン | 1mg |
ロイシン | 0.5mg |
アクエリアスの原材料
果糖ぶどう糖液糖(国内製造)
食塩
クエン酸
クエン酸Na
塩化K
硫酸Mg
乳酸Ca
酸化防止剤(ビタミンC)
甘味料(スクラロース)
イソロイシン
バリン
ロイシン
香料
アクエリアスの賞味期限
製造日より約12ヶ月
アクエリアスの特徴・味
人間は汗をかいてミネラルを含まない水だけを飲むと、体内に十分な水分を保持できなくなります。
アクエリアスはナトリウムやカリウムなどのミネラルを豊富に含んでいるため、乾いた身体の水分補給に適しています。
また汗で失われるミネラルを配合しているだけではなく、動く身体に必要なアミノ酸や疲労回復作用のあるクエン酸を主な成分としているため運動時に水分と栄養を補給してくれます。
甘さ抑えめであっさりとしていますが、クエン酸ならではの酸味を強く感じる味です。
アクエリアス ゼロについて
アクエリアスには「アクエリアス ゼロ」というカロリーゼロの商品があります。
電解質を配合した水分補給とカルニチンを配合した、燃焼系のWチャージが特徴です。
カロリーが気になる人や軽く身体を動かした時など、日常の汗をかいた時の水分補給に適しています。
エネルギー | 0kcal |
タンパク質 | 0g |
脂質 | 0g |
炭水化物 | 0.7g |
L-カルニチン | 10mg |
ポカリスエットとアクエリアスの違い・比較
前述の基本特徴を踏まえた上で、ポカリスエットとアクエリアスの違いを比較してみましょう。

ポカリとアクエリの違い比較(1)糖分
ポカリスエットとアクエリアスに含まれる糖質量は、以下の通りです。
栄養成分 | ポカリスエット | アクエリアス |
---|---|---|
糖質量 | 6.2g | 4.7g |
熱量(カロリー) | 26.8Kcal | 18.8Kcal |
ポカリスエットの糖分は、砂糖・ブドウ糖・果糖などを合わせて100mlあたり6.2gです。
ペットボトル1本(500ml)に換算すると約30gの糖分で、角砂糖でいうと6個分が含まれています。
それに対してアクエリアスの糖分は、100mlあたり4.7gとポカリスエットよりも少なめです。
熱量もポカリスエットが26.8Kcalに対し、アクエリアスのほうが18.8Kcalとカロリーが抑えめになっています。
糖分でいえばポカリスエットのほうが多いですが、エネルギー補給という目的だけでなく水分の吸収スピードをサポートするためにも糖質を多く含んだ飲料が適しているためです。
ただし糖質を過剰摂取すると肥満につながるため、飲み過ぎには注意しましょう。
ポカリとアクエリの違い比較(2)栄養
ポカリスエットとアクエリアスに含まれている栄養成分の中でも、とくに注目してほしい成分があります。
ポカリスエットの注目成分 | ぶどう糖果糖液糖・砂糖・果汁・ナトリウム |
アクエリアスの注目成分 | クエン酸・バリン・ロイシン・イソロイシン |
ポカリスエットはアクエリアスよりも多くのナトリウムと炭水化物が含まれているために身体に必要な栄養素を多く摂取できます。
複数の糖類が含まれていることで水分の吸収が早くなる特徴があり、ポカリスエット発売当初のコンセプトが「飲む点滴」だったことからも納得がいくでしょう。
一方でアクエリアスは、ミネラルはじめアミノ酸やクエン酸といった疲労回復物質を主に含んでいるため疲れた身体に必要な栄養素を摂取できます。
またバリン・ロイシン・イソロイシンを総称したアミノ酸(BCAA)は、筋肉のエネルギー源になるのです。
ポカリとアクエリの違い比較(3)味
ポカリスエットは、アクエリアスより糖分も塩分も多いため甘さとしょっぱさを兼ね備えた比較的味が濃い傾向です。
アクエリアスは、ポカリスエットと比べると甘さ抑えめでクエン酸ならではの酸味が強く比較的さっぱりしています。
ポカリスエットを飲み慣れている人は、アクエリアスのあっさりした味に物足りなさを感じるかもしれません。
ポカリスエットとアクエリアスの飲み方・効果
前項で挙げたポカリスエットとアクエリアスの違い比較から、どういった状況の時に飲むべきなのか、どう飲み分けたらいいのか、双方それぞれに適した飲み方・効果をまとめました。
体調不良の時にはポカリスエット


ポカリスエットは、炭水化物やナトリウム(食塩)を多く含んでおり体調不良で食欲がない時に必要な栄養分を補給することができます。
また人間の体液に近い水分とイオン成分で、アクエリアスより栄養価の高いポカリスエットは風邪をひいた時などにはより効果的です。
糖分が多いことは水分を吸収するスピードも高くなるため、発熱などの水分補給にはポカリスエットをおすすめします。
そのため、ポカリスエットは体調不良時の水分・栄養補給に適しています。
運動時の補給にはアクエリアス


アクエリアスは、ナトリウムやカリウムなどのミネラルのほか動く身体に必要なアミノ酸、疲労回復やエネルギー代謝を助けるクエン酸を豊富に含んでいます。
またアクエリアスに含まれるアミノ酸のイソロイシン・バリン・ロイシンは、筋肉にとってのエネルギー源にもなります。
1時間以上の運動や激しいスポーツを行う場合にエネルギー補給のためのブドウ糖は脱水予防があり、クエン酸は疲労回復などに役立つのです。
つまり、アクエリアスは運動前後の水分・栄養補給に適しています。
ポカリとアクエリを飲み比べた筆者の体験談
筆者がこれまでに飲んできた、ポカリスエットとアクエリアスの体験談を紹介します。
学生時代はポカリ一筋

筆者は、学生時代の部活で練習の合間や試合には仲間とともにポカリスエットを飲用していました。
試合のある日は、後輩としてのルーティングワークとして前日にポカリスエットのパウダーを1リットルの専用ボトルに水と混ぜて冷凍庫で凍らせ、当日に先輩たちに渡していたことがあります。
自分たちの代でも後輩たちからギンギンに凍らせたポカリスエットのボトルを受け取っていました。
とくに真夏の暑い日にはポカリスエットが比較的解けやすい品質であることから、最後に残った溶けかけの塊をシャーベット感覚で飲み干すのが好きだったほどです。
部活を引退した後も食欲がない日や発熱があった夜には、必ずストックしておいたポカリスエットのおかげで翌日には休むことなく通学・通勤できていました。
アクエリへ方向転換したら・・・

その後は年齢を重ねるにつれ、ポカリスエットの強い甘みと時に混じる塩味の濃さが辛いことがあり一時期アクエリアスに変えたことがあります。
ところがある日に発熱した際、アクエリアスで水分補給したところ翌朝でも体調がよくならないことに気づき市販薬を飲んでも効果がありませんでした。
アクエリアスを十分飲んでも常に熱が続いている状況で、身体が火照ていて熱いままなのです。
そこでポカリスエットを購入して飲んでみたところ、身体の熱が適度に落ち着いて翌朝には体調が回復したのです。
アクエリアスより多く含むポカリスエットの糖質は、味は濃いものの栄養もあり水分の吸収速度を上げるために適しているのでしょう。
また人間の体液に近い水と電解質(イオン)のバランスが身体を正常に戻してくれるのだと気づきました。
確かに発熱している時や体調の悪い時に飲むポカリスエットは、普段感じる強い甘さではなくちょうどいい濃さの味になるのです。
ポカリとアクエリを用途別に保管

それ以来、筆者は風邪気味や発熱などの体調が悪い時にはポカリスエット、汗をかくほど運動したり喉が渇いたりした時にはアクエリアスというふうに用途で使い分けるようになりました。
また防災グッズの備品として長期保存用のミネラルウォーターだけでなく、水分・栄養補給としてポカリスエット数本を常にストックするようにしています。
真夏の猛暑が年々過酷さが増す中、熱中症に近いだるさや熱っぽさを感じる時はポカリスエットを飲んでみてください。
ポカリスエットを飲んだことのある人は、もともとの強い甘味がすっきりしたちょうどいい濃さになるはずです。
粉末タイプのポカリスエットについて
前述でポカリスエットのパウダーに触れましたが、ポカリスエットには飲料タイプと粉末タイプがあります。
当然ですが、より売れているのは飲料タイプのポカリスエットです。
粉末タイプのポカリスエットは水と混ぜて作るのが面倒だという理由が多いですが、水の量を調整して味を濃くしたり薄くしたりすることができます。
またスポーツドリンク専用のプラスティック製ボトルで振って混ぜた後に冷凍室で一晩寝かせて凍らせると、猛暑の夏にはシャーベットとしても味わうことができるのでおすすめです。
さらには防災の備蓄品として飲料タイプのポカリスエットとは別に粉末タイプも用意しておくと、スペース的にかさばらないのもいいところでしょう。
凍らせる場合の注意
ポカリスエットを冷凍すると溶けるのが比較的早いためシャーベットとしても楽しめますが、アクエリアスを凍らせるとポカリスエットより硬いためシャーベット状にならない点には注意してください。
ポカリとアクエリを飲む際の注意点・デメリット

ポカリスエットとアクエリアスを飲む際には注意点・デメリットがあり、以下を参考にして摂取しましょう。
カロリー過多による肥満
まず参考例としてコカ・コーラは100mlあたりで45kcal、オレンジジュースは47kcalです。
それに比べるとポカリスエットは100mlあたりで27kcal、アクエリアスは19kcalと半分くらいになります。
ドリンクの種類 | カロリー | 糖分 |
---|---|---|
コカ・コーラ | 45kcal | 11.3g |
オレンジジュース | 47kcal | 10.7g |
ポカリスエット | 27kcal | 6.7g |
アクエリアス | 19kcal | 4.7g |
しかしポカリスエットのペットボトル1本(500ml)を飲むとカロリーは125kcalになり、白飯の茶碗半分(約75g=117kcal)に相当するカロリーがあります。
糖分も上記表の通り100mlあたりで見ると低いですが、ポカリスエットのペットボトル1本(500ml)で糖分は31g、アクエリアスは23.5gです。
体調不良でもなく運動量もないのに例えば食事時に水の代わりにスポーツドリンクを飲むと、お茶や水よりは糖分を含むカロリーの摂り過ぎで太りやすくなります。
ポカリとアクエリの公式サイトでは飲む量に制限はないとありますが、肥満や糖尿病、高血圧などで食事の制限を受けている人は上記の栄養成分量を確認した上で調整しましょう。
糖分摂取による虫歯や糖尿病
ポカリやアクエリを常に飲み続けていると、口内に大量の糖分が残ることになります。
入浴後などに水分補給として摂取しても、そのまま就寝してしまうと虫歯や歯周病になる原因です。
そのため、夜に飲んだ後は必ず歯みがきをするなど対策しましょう。
水で薄めるのは避ける
ポカリスエットもアクエリアスも比較的味が濃い飲料水のため、水で薄めて飲む人が多いです。
しかしポカリスエットやアクエリアスの公式サイトでは、以下のように薄めることをおすすめしていません。
ポカリスエットは、水分とイオン(電解質)のスムーズな吸収を助けるために現在の内容成分に決定しています。
ポカリスエット公式サイトより引用
水で薄めた場合は、水分とイオン(電解質)のスムーズな吸収が損なわれてしまう可能性があります。
アクエリアスは、電解質、糖分、浸透圧など体内での吸収に適した濃度に調整されています。
アクエリアス公式サイトより引用
そのため、薄めずそのまま飲むことをおすすめします。
もし軽い運動による水分補給でさっぱり飲みたい場合は薄めてもよいですが、前述で紹介したイオンウォーターやアクエリアス ゼロを飲むとよいでしょう。
ポカリスエットとアクエリアスの違いまとめ

多数ある種類の中でも、さまざまな特徴や違いがあるスポーツドリンク。
中でもポカリスエットとアクエリアスには、水分・栄養補給だけでなくその時の状況や目的に応じて考えられたスポーツドリンクの代表格ともいえます。
近年ではカロリーゼロの種類も登場し、双方を正しく飲むことであなたの身体や生活にとってより良い飲料になるでしょう。
人間の身体はそれぞれに体質も異なるため、何より自分の身体に合ったスポーツドリンクであることが重要です。
ポカリスエットとアクエリアスが自分の身体に適していない、状況改善に繋がらないといったことがあれば他のスポーツドリンクを試してみてください。
以下の記事では、スポーツドリンクの全体特徴やメリット・デメリットについて説明しています。
ポカリスエットとアクエリアス以外のスポーツドリンクについても紹介していますので併せてお読みください。
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スポーツドリンクの特徴や効果とは?摂取することのメリット・デメリット、注意点
2025/9/12