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地域の情報発信や特産品・伝統工芸品を販売提供するアンテナショップとは?

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企業が展開する新商品や地域の特産品や名産物を販売する、アンテナショップ。

実際に訪れたことがなくてもテレビやネットメディアで見たことがあったり、街中で実際に見かけたりすることも多いでしょう。

今回は、地域の情報や特産品などを展開するアンテナショップについて紹介します。

アンテナショップが生まれた経緯や目的・役割についても解説しますので、旅先やお住まいの近くにあるご当地の商品を利用するきっかけになれば幸いです。

アンテナショップとは

アンテナショップは地域の特産品・伝統工芸品のPRしながら、消費者のニーズやトレンドを分析する

アンテナショップは、企業や地方自治体などが自社の新商品あるいは地方の製品を広く紹介したり、消費者の反応やトレンドを探ったりする目的で開設された店舗です。

食品や製造メーカーなどが、消費者の反応やトレンドを調査したり、新商品をテスト的に販売したりするなど、企業のショールームとしての機能を兼ねていることもあります。

そして、次への商品開発や販促戦略などに役立てるために設置する小売店のこともいい、別名で「パイロットショップ」とも呼ばれます。

アンテナショップの始まり

1994年ごろ、バブル経済の崩壊により増えた、東京・有楽町や銀座エリアの空き家店舗を利用して、自治体が地域の特産品を売り出したことがアンテナショップの始まりです。

その後、東京都内で数軒程度だったアンテナショップですが、現在では50店舗を超えるほど全国から出店しており、増加傾向といわれています。

海外展開する自治体も

近年では、アンテナショップを海外展開している自治体も登場し、中国や香港、シンガポールなどアジアを中心に広がりを見せています。

アンテナショップという言葉

アンテナショップは、英語にすると「Antenna shop」で、外国人には耳慣れない和製英語で、海外で使っても通じません。

アンテナという言葉は「情報を得る手段」という意味もあり、情報の発信を目的にしているという意味で「アンテナショップ」という名前がつけられました。

企業が運営する場合、消費者のニーズを探る目的で自社製品を展示・販売する店舗を指しますが、現在、脚光を浴びているのは都道府県や市町村のアンテナショップです。

この記事では、全国各地の特産品・名産物、伝統工芸品の認知を広めるために、自治体が運営するアンテナショップを紹介していきます。

アンテナショップの目的

自治体アンテナショップとは、単なる観光物産を案内する施設ではなく、地域の総合情報を発信するとともに、特産品の販売や飲食の施設などを設置している店舗です。

地方自治体がアンテナショップを設置する目的は、地元が産んだ農水産物などを販売したり、飲食を通じて特産品のみならず広く観光 情報・地域情報を発信し、地方への交流人口を増加させることにあると考えられます。

アンテナショップの実態調査

地域活性化センターでは、都道府県を通じて「自治体アンテナショップ実態調査」を行っています。

調査内容は、以下の通りです。

  • 自治体が主体となって設立した施設(運営は民間企業等でも可)
  • 常設施設であること。短期間(1年以内)で終了する営業は含まない。
  • 観光案内所・事務所機能のみの施設は含まない。
  • 東京都内にあるアンテナショップ
  • 道の駅、直売所は含まない。
  • 毎年4月1日の状況
  • 調査内容は、所在地、設立年、設立目的など

引用:地域活性化センター

地域活性化センターとは

地域活性化センターは、町づくりや地域産業おこしなど、地域活性化のための諸活動を支援し、地域振興の推進に寄与することを目的として、1985年(昭和60年)に全国の地方公共団体と多くの民間企業が会員となって設立された財団法人です。

その後、2013年(平成25年)に一般財団法人へ移行しています。

また、地域づくりに関する各種情報を収集・整理しデータベース化するほか、地域の共通課題や地域社会の活性化に向けた諸施策をテーマとして調査・研究を行い、その成果について会員はじめ広く地域住民に紹介しています。

アンテナショップの形態と特徴

東京都内のアンテナショップで中心となっている東京交通会館

アンテナショップの定義は、主に地域特産品のPRから販路拡大、ご当地グッズの販売など商品開発から販売までを手がけていることが一般的です。

近年では観光面だけでなく、地方移住に向けた取り組みも実施しており、移住者に向けたパンフレットや移住相談コーナーの設置なども行っています。

つまり、アンテナショップには、地産品の販売と地域情報伝達という大きな機能があります。

アンテナショップには、都内型と地方型という2つの形態パターンがあり、それぞれに異なる特徴があります。

都内型アンテナショップ

場所

東京都内で展開する店舗

客層

  • 東京都内に住む各地域の出身者
  • 東京都内を訪れた観光客や出張などのサラリーマン
  • 都道府県に興味をもつ願客

役割

  • 移住・観光促進に向けた都道府県のPR
  • 地域ブランドの確立
  • その都道府県・地域への顧客呼び込み

地方型アンテナショップ

場所

東京都以外の地方で展開する店舗

客層

  • その都道府県や地域を訪れる観光客
  • 地元に住む人
  • 元地元民

役割

  • 観光客に向けた都道府県や各地域のPR
  • 地産地消など地域振興
  • その都道府県・地域の窓口

都内や地方のアンテナショップには、それぞれの顧客層や誘致が異なり、バランスよく見込めることがわかります。

道の駅について

アンテナショップとは別に、高速道路や一般道路で道の駅を見かけたことのある方も多いでしょう。

道の駅は、その地域周辺に住む地元民だけでなく、設置施設のある高速道路・一般道路を通過する観光客・利用客も見込めます。

渋滞や目的地の道路交通環境や地域情報の提供ができるほか、店舗の近郊地域を含む農作物などの地産品・サービスの消員を促す地産地消の役割があります。

アンテナショップの役割・活用方法

アンテナショップは地域の特産品・伝統工芸品のPRや販路拡大だけではない役割や活用方法がある

私たちにとって、アンテナショップにはどういった役割や活用方法があるでしょうか。

入手困難な地域特産品の購入

興味のある地方の特産物が、都会などでなかなか手に入らない場合、アンテナショップで入手することができます。

あのお菓子をまた食べたい、あの調味料がよかったなど、地方でしか入手が難しい商品がアンテナショップでは手に入ることがあります。

同郷同士の交流の場

地方から上京し、都会を中心に働く方たちにとっては、同郷人が集う交流の場になることもあるようです。

また、転勤や転職、結婚などにより別の土地から移住してきた人にとっても、その地域にあるアンテナショップで情報を収集したり、特産品を購入したりすることで繋がりができることもあります。

災害支援

アンテナショップでは、天災による被害や災害に遭ったその地域のために、産地のものを買うことで支援することができます。

特産品や伝統工芸品、和洋菓子だけではなく、日用品やキーホルダー、文具類なども販売されています。

2016年4月に熊本地震が起きた翌日、東京・銀座にある熊本県のアンテナショップでは行列ができているほど多くの方が詰めかけ、特産品や銘菓などの商品を購入していきました。

筆者は、当時の上司2人とランチに行った帰りに銀座熊本館に寄りましたが、店内は多くの人で混雑しており、商品がほとんど残っていませんでした。

この時、日本人ならではの助け合い精神を改めて感じたものです。

地震や台風などで被災した地域に対して、直接的な支援をしたいけど、どこに募金したらいいのかわからない、現地に行く時間や余裕がない、という時には、その地域のアンテナショップで被災地の商品を購入し、貢献することも1つの方法でしょう。

アンテナショップに関するQ&A

アンテナショップに関する疑問や質問を、Q&A形式でまとめてみました。

アンテナショップが多い場所は?

アンテナショップの多くは、東京の有楽町・銀座エリアに集中しています。

北海道や沖縄をはじめ、岩手や山形、茨城、群馬、富山、石川、長野、和歌山、島根、広島、高知、長崎、熊本、鹿児島などがあり、特に多いのが、有楽町駅の近くにある東京交通会館です。

まさに、有楽町・銀座エリアだけで日本一周旅行できる気分が味わえるでしょう。

東京都内にある全国各地のアンテナショップについては、下記記事をご参考ください。

アンテナショップと物産館の違いは?

アンテナショップは、各地域・地方の農水産物や工芸品などを販売するとともに、新たな市場開拓や新商品のテスト販売を行うために、自治体が無期限で構えている店舗のことです。

それに対して物産館は、約1週間の期間限定で営業するブース、いわゆるショーケースです。

百貨店やショッピングモールなどの商業施設で、物産展が開催されているのをご存知の方も多いでしょう。

アンテナショップは特定の場所に固定された店舗展開のため、全国各地の催事・企画などで話題性の大きい物産展に出店すると、地域の産品や商品の販路拡大に繋がる良さがあります。

終わりに

地域を活性化させるために、自治体などが展開しているアンテナショップ。

それぞれの地域がつくった農水産物や特産品、伝統工芸品などを販売しながら地域を知ってもらうことが大きな目的です。

多くの人が集まる都心に店舗展開したり、全国各所で地産地消の機能を果たしたり、いずれも地域づくりに関わっています。

また、アンテナショップは、観光案内所に似たイメージが強いですが、何も観光情報だけでなく、地方移住に向けた情報発信も行っています。

そんなアンテナショップは交流の場でもあり、旅行や出張などでその土地や企業をまったく知らない人には新しい発見があり、古くから親しみ深い人には思わぬ懐かしさをもたらしてくれるでしょう。

アンテナショップは観光客のためだけでなく、帰省者や元地元民、現在の地元民との交流の場
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